2015.06.11 掲載
株式会社巴山組
谷口惠梨さん
阿賀町
株式会社巴山組
奈良はるかさん
阿賀町
建設業の技術者は男性が多いイメージかもしれませんが、本県では、多くの女性が技術者として活躍されています。
今回は、阿賀町の建設会社「株式会社巴山組」で施工管理を担当する女性技術者、谷口惠梨さんと奈良はるかさんから、新潟で就職した決め手や、女性技術者として働くこと、建設業への思い等をお聞きしました。
※写真は後輩社員の江口達也さんと。中央:谷口惠梨さん 右:奈良はるかさん
福井県出身。福井工業高等専門学校卒業後、長岡技術科学大学へ3年次編入し大学院を修了。
平成26年に阿賀町の建設会社「株式会社巴山組」へ入社し、現在は土木施工管理を担当。
「就職は、新潟以外の企業も検討したのですが、学生生活で新潟の暮らしに魅力を感じました。新潟は四季がはっきりしていて、自然も豊か。夏は海水浴、冬はウインタースポーツと季節毎に楽しめます。特に気に入ったのは花火大会で、新潟に残りたいと思った理由でもあります。越後三大花火といわれる柏崎・長岡・片貝をはじめ、規模の大きな花火大会が盛んです。県外の友人は長時間かけて新潟の花火大会に来ますが、新潟に住んでいれば思い立った時に見に行ける。大好きな花火をすぐに見に行ける距離で暮らしたいと思いました。」
「新潟が好きになり、長岡以外も知りたくなりました。福井県への道中にある上越に比べて下越は馴染みがなかったので、就職は下越にと思ったのですが、知らない土地でやっていけるのか不安もありました。巴山組は、説明会や会社訪問でアットホームな社風を感じることができ、ここならやっていけると思いました。」
「平成23年の新潟・福島豪雨では阿賀野川が増水し、生活道路まで冠水しました。この水害対策である河川堤防工事の現場で、先輩について施工管理※を担当しています。地域を水害から守る仕事にやりがいを感じていますし、作業員さんが仕事しやすいように工程管理ができ「ありがとう」と声をかけてもらえると、次も頑張ろうという気持ちがわいてきます。
今年は後輩が現場にはいってきたこともあり、自分の仕事のやり方を見直すことが多くなりました。自分ならではの施工管理のあり方を身につけ、将来的には一人で現場を任されるようになりたいです。完成した現場を、友人にも自慢したいですね。」
※施工管理とは、建設工事現場において、施工全体を管理・監督すること。作業員、材料、方法、機械などの管理の他、施工計画の策定、原価管理や工程管理、品質管理などを行う。
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青森県出身。弘前市内の高校を卒業後、新潟大学法学部へ進学・卒業。平成26年に阿賀町の建設会社「株式会社巴山組」へ入社し、現在は土木施工管理を担当。
「公務員関係の仕事に就きたいと思い法学部に進んだのですが、在学中に東日本大震災を経験して、道路などの土木施設の大事さを痛感。建設業への就職を考えるようになりました。
大学で開催された就職説明会で建設業関係を中心に参加したのですが、女性で文系の自分が技術者として建設業に入るのは思ったより難しく、なかなか面接まで行き着けませんでした。そんななか、説明会で「女性歓迎!」「文系歓迎!」「未経験者OK!」と張り紙している巴山組に出会い、間口の広さに感動して受けてみようと思いました。」
「実際に阿賀町で暮らしてみて、田舎での生活が寂しくないのかと地域の方に言われますが、特に不便は感じていません。一人暮らしということもあり、職場や地元の方から山菜や野菜を分けていただけることが多いです。地元の外から来たからこそ、気にかけてもらえている部分もあると感じています。」
「入社以来、希望していた道路の現場で施工管理を担当しています。文系出身なので技術面での不安はありましたが、とにかく何でも聞くように心がけていますし、周りの方も最初は何も分からないと思って丁寧に教えてくれるので、ありがたいです。
地元の要望を町や県に伝え、調整するのは大変ですが、やりがいを感じる瞬間でもあります。昨年つくった道路を人や車が通っているのを見たときには、とても大きな達成感が得られました。道路工事の現場はたくさんの方に見てもらえ、声をかけてもらえることも多いです。モチベーションが維持しやすいので、今後も道路関係の工事を中心に担当していければと思っています。」
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【谷口さん・奈良さん】
「県内建設会社の新入社員向け研修会があるのですが、思ったより女性が多かったのには驚きました。他にもこの業界で頑張っている女性がいると思うと心強いし、絶対数が少ないからこそ頑張ろうと思えます。
技術者として女性が入社するにあたり、現場での分煙を進め、セクハラ・パワハラ防止について改めて社内研修でおさらいしたと聞いています。現場では、女性にあわせて作業階段を緩やかにしてもらえるのですが、結果として現場での無事故に繋がっている部分もあると思います。女性が働きやすい職場は、男女ともに働きやすい職場だと感じます。」
【谷口さん】
「現場での注意喚起看板を任されているのですが、色使いやイラストの使用など、遠目でも目立ちやすいように意識しています。社内パトロールの優良現場賞を何度か受賞しました。安全対策は、女性の視点や感性を活かせる部分が多いですね。」
【奈良さん】
「逆に困ることもあって、安全靴や作業服などの土木関係用品は基本、男性向けにつくられているので、なんとなくしっくりしないことが多いです。最近は、女性技術者の増加に伴い女性向けにサイズ展開しているところも増えてきましたので、今後に期待したいです。」
【谷口さん・奈良さん】
「冬期間、作業員さんは夜中に道路除雪をした後に、朝から工事の現場での作業にあたっている方もいます。朝、通勤道路の除雪がされていることは当たり前のことですが、その暮らしを支えている人たちがいます。電話や水道があり、道路が通じていて、河川の水があふれないこと。当たり前の暮らしを守る難しさが実はあります。」
【奈良さん】
「新潟は首都圏への交通網も発達していてすごく便利ですが、豪雨災害や地震でインフラが打撃を受け、当たり前の暮らしが出来なくなったことも経験しています。建設業はそんな当たり前のことを当たり前にするために頑張る職業だと、この1年で感じました。私に出来ることは小さいかもしれませんが、その一助になれればと思います。」
【谷口さん】
「まずは、作業員さん方の仕事がしやすいように施工計画等をたて、支えていけるようになることが夢です。」
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