2023.06.09 掲載
しろくま接骨院
金澤 駿介さん
十日町市
十日町市出身。栃木県の大学に進学し、国家資格である柔道整復師資格を取得後、接骨院やデイサービスに勤務。JRC関節矯正法を学び、施術の経験を積んだ後、2019年にUターン。デイサービス施設で勤務しながら開業準備を行い、20年4月に十日町市にしろくま接骨院を開業。
【Q. 柔道整復師とはどういう仕事ですか】
打撲や捻挫などのケガを手術や投薬で治療する医師に対して、施術によって回復させていくのが柔道整復師です。柔道の伝統的な技術を活かして治療を行うので、この名前で呼ばれているんです。人間の持つ自然治癒力が発揮できるような施術を行う、日本の伝統医療です。私は栃木県の大学で知識と技術を学んで資格を取り、そのまま栃木の接骨院やデイサービス施設に勤務していました。
【Q. 開業しようと思ったのはなぜですか?】
年齢や属性に関わらず、多くの人の痛みを和らげたいと思ったからです。また、自分で考え、患者さんに最善の方法を選択して施術できたら大きなやりがいにつながるだろうと思ったことも一因です。例えば、私が行うJRC関節矯正法は、いわゆるポキポキ系ではなく、優しい施術で関節を動かしていく方法なので、高齢者や子どもにも怖がられません。だから、この治療法を広く活用したいと思いました。
【Q. Uターンを決めたきっかけを教えてください】
大学進学時から、いつかは地元のために自分の技術を活かしたいと思っていたので、私の中では最初からUターンと開業は結びついていました。だから栃木で働きながらタイミングを計っていたという感じです。大学の同期が開業していくタイミングで、「よし、十日町に帰って開業しよう」と決心して2019年にUターンしました。まずはデイサービス施設に勤務して、高齢者の分布や人の流れ、町の状況などを調べながら、開業の準備を始めました。
実は、現在の店舗は市の中心部にあり、駐車場付きで規模感もちょうどよく、前々から「開業するならここがいい」と思っていた場所なんです。日々通りながら眺めていたら、ある日、「空」の表示が出たので、すぐに不動産店に連絡をして契約しました。それが2019年の12月です。
【Q. 開業の準備は順調でしたか?】
資金面では、十日町市の融資制度と、UターンIターン者への起業補助金が大きな助けになりました。リフォームや看板製作、広告などの準備は家族や友人の紹介や協力のおかげでとてもスムーズに進みました。なにしろ地元なので知り合いが多く、何かと支えてもらえて心強かったです。店名は多くの人に親しんでもらえるように動物の名前で、十日町の雪のイメージに合うものをと考えて「しろくま」という名前に決めました。
【Q. 患者さんはどういった方が多いですか?】
2020年4月にオープンしましたが、顔なじみの人たちも来てくれました。その中で保育園の時の先生が来てくださったのはうれしかったですね。地元っていいなあと思いました。高齢者はもちろんですが、40代50代も、中学生・高校生も幅広い層の患者さんが通ってきます。スポーツ外傷も得意なので、部活動中に筋肉を痛めたという生徒さんも治療します。十日町では、雪が解けると農作業や屋外での部活動が始まるので、春先に患者さんが急増します。冬期間は外に出づらいせいか患者さんは少ないんです。
【Q. Uターンにはもう一つ理由があったそうですね】
子どもの頃から自然が好きで、今もキャンプや釣り、スノーボードなどアウトドアが趣味。四季を通して自然を楽しみたいとなると、十日町に勝るところはないと思っていたこともUターンの大きな理由です。栃木にいた頃も、夏になると友人たちを新潟に連れてきて一緒にキャンプしていたくらいです。
Uターンしてからは、一人でも、友人たちと一緒でも、キャンプによく出掛けます。十日町は山と川は近くにありますし、少し走れば海にも行けるので、多彩な楽しみ方ができます。忘れられないのは、昨年の夏に行った海沿いでのキャンプですね。アオリイカを釣って刺身にし、夕陽を見ながら日本酒の肴にするという贅沢な時間を過ごしました。目下の夢は、新潟県内のキャンプ場を制覇することです。
【Q. キャンプの道具はハンドメイドですか?】
シェラカップやケトルなどのハンドルが持ちにくかったので、皮革のカバーを作ってプラスしただけです。全くの初心者ですが、作っているうちにおもしろくなって、財布やバッグまで作っちゃって、今はイベントやカフェのマルシェで販売もしています。ビジネスじゃないですよ、これでまた新しい出会いが生まれ、人とつながれるのが楽しいんです。いいなと思ったことはまず、やってみます。フットワークは良い方なんです(笑)
【Q. 今後の目標を教えてください】
十日町では高齢化が深刻なので、これからリハビリや介護予防の需要は伸びていくでしょう。通う方法のない方も少なくないので、今後は往診を増やしていきたいと思います。将来的には保険外診療の場も作り、より幅広いニーズに応えられる体制を作っていきたいです。
仕事以外では、いつか自分でキャンプ場を持ちたいと思っています。十日町の自然を多くの人に楽しんでもらい、地域の賑わいを創り出したい。里山でキャンプ&サバイバルゲームなんていいんじゃないかと、あれこれ考えている最中です。
【Q.Uターンを考えている方にメッセージをお願いします】
生活の環境が変わるとはいえ、Uターンなら地域の雰囲気も地理もわかるし、家族や友人もいるし、私は安心材料の方が多かったです。同業で頑張っている同級生や地元で働いている友人、カフェをオープンさせた友人などの存在が支えになり、張り合いになり、一緒にやっていこうという気持ちにもなれました。Uターンはゴールではなく、新しいスタートです。次の一歩がきっと踏み出せるはずです。
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