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ニイガタビト

自分が快く働ける環境を探してたどり着いた三条市
- 92歳のウコン農家の畑を継ぎ、6次産業化を目指す -

2021.03.08 掲載

ウコンで物語をつくるブランド「KAZUICHI」

斉藤翔さん

三条市

\斉藤さんってこんなひと/
◎出身など 青森県むつ市出身、三条市在住
◎移住時期 2019年
◎活動 ウコンの6次産業化に取り組む、ウコン農家
◎経歴 高校卒業後、前橋工科大学に進学→建設会社の 建築事務所(群馬)→フリーランスでグラフィックデザイナー+花屋(群馬)→地域おこし協力隊(三条市)→起業
◎暮らし 友人とシェアハウス生活
◎にいがた暮らしのおすすめポイント
古民家レストラン「TREE」を運営する友人をはじめ、同世代で精力的に活動する仲間が身近にいること。自分も頑張ろうという気持ちになれます。

建築設計士としてキャリアをスタート

 今でこそウコンを中心に活動していますが、僕の最初のキャリアは建築設計士でした。建築業界に入ったきっかけは高校の先生。当時は宇宙飛行士になりたいと思っていましたが、大学受験で、自然科学系の学部に落ちてしまったんです。そのときに先生に「ロケットとかつくれそうだし、建築やってみたら?」といわれ、建築系の学部に進学しました。まぁ、建築設計士がロケットをつくれるはずがなかったんですが(笑)。ただ、大学で建築を学ぶなかで、自分がつくった模型が実際の建築物となることに面白さを感じ、建築設計士を志すようになりました。建築設計士は、建物や内装のデザインから、安全性や耐震性を考慮した構造設計や、電気・空調などの設備まで、建築物の全体図を描くことが主な仕事。ただ設計するだけではなく、部屋の大きさから建具の仕様まで一つひとつに意味を持たせ、さまざまな立場の人とチームを組んでひとつの建築物をつくりあげていく楽しさがありました。

グラフィックデザイナーに転向し、独立

 大学を卒業すると、病院や浄水場、温泉施設などの大型施設を建てる建設会社に入社。主に図面設計や工事監理を行っていました。特に図面設計は細かさが要求される作業ですが、好きなことに没頭する性格に合っていたみたいで仕事は楽しかったです。
 しかし、入社後約3年で退職。その理由は、仕事に対する興味の変化や毎日夜遅くまで働く生活への疑問、そして会社の外で出会った憧れの先輩たちの影響でした 。建築会社がお客さまに携わるのは「建てるまで」ですが、次第に「建てられた後、どのように使われているか」といった“用途”に興味を持つようになりました。同じ頃、前橋の中心商店街にあったコミュニティスペースで仕事もプライベートもイキイキと楽しむ先輩たちと接し、自分の働き方を考え直。また、ここで知り合った人からの依頼でロゴを制作し、デザインしたものが瞬時に「格好良い/ダサい」と判断されるグラフィックの楽しさを経験しました。それだけでなく、ロゴを制作した後に、チラシやイベント告知ページをつくることもあり、顧客との付き合いが長く続くことも魅力でした。「グラフィックデザインのほうが本当にやりたかったことに近いのでは?」と感じ、2018年4月にフリーのグラフィックデザイナーとして独立しました。

三条市下田地域の地域おこし協力隊に応募

 グラフィックの仕事を始めてみると、デザイン後の事業に継続的に関わっていくことは思った以上に難しく、長くものづくりに関わりたいという思いへの明確な答え を見出せずにいました。そんなときに三条市地域おこし協力隊をしていた田中美央さんと知り合い、初めて三条市を訪れました。その際に「三条スパイス研究所」や「燕三条 工場の祭典」の話を聞いて、お店やイベントの企画進行を担当するディレクション を生業とする人の存在に驚かされました。前橋ではディレクションはあくまで制作会社が担う機能の一部。でも、三条市ではそれが独立した仕事として成立していた。「ここでなら建築士やデザイナーの経験を生かしながら、自分がつくったものに長く携われるの では?」と感じたのです。そのときに下田の地域おこし協力隊を募集していることを知り、応募しました。

温かく見守ってくれるウコン農家山崎さんとの出会い

 2019年7月に地域おこし協力隊としての任期がスタート。三条マルシェや小学生の田植えや登山の引率、イベントのチラシ作成などさまざまな業務を行いました。そのなかで、先輩隊員の手伝いで行ったのが、ウコン農家である山崎一一(やまざきかずいち)さんの畑でした。そこには、協力隊として案内してくれた美央さんもいました。最初は業務の一環だったものの、穏やかに教えてくれる山崎さんのおかげで、「難しいウコンの栽培も山崎さんと一緒なら楽しい!」と感じるようになっていきました。畑に行った後は毎回山崎さんのお宅でお茶をいただくのですが、そこでの他愛もない話がすごく好きで、僕たちを温かく見守ってくれていることをいつも感じていました。

ウコンをより多くの人に知ってもらうため、6次産業化を目指す

 ウコンを育てているうちに、地元青森県でホップ農家のお手伝いをしたことを思い出しました。その農家さんが「このビールは俺のホップを原料に作られているんだ」と誇らしげに話していて、こんな風に農家も製造会社もみんなが誇りに思えるものを作りたいと思ったんです。そこで、ウコンの収穫が終わった2019年11月頃からウコンを活用した新商品開発に向けて動き始めました。協力隊の仕事の一環としてではなく、自分たちの事業として本気でやりたい。その想いから2020年6月に協力隊を退任し、山崎さんの手伝いをしてきた美央さんと一緒にウコンの6次産業化に向けて商品を開発することになりました。ウコンを誰でも気軽に飲めるシロップにしようと、クラウドファンディングに挑戦。県内外から多くの人に支援していただき、目標金額の129%を達成しました。当初の目標を大幅に上回り、周りの人の温かさが身に染みる経験となりました。現在は、安定してシロップを生産・販売できるように生産体制を整えています。

同世代で頑張る友人が身近にいる生活が力になる

 僕は現在、三条市内の商店街でシェアハウスをして 暮らしています。ウコン事業を始める頃に古民家を借りて自分たちでリノベーションし、過ごしやすいように室内も何度かレイアウトを変えています。このシェアハウスでは月に一度、住民やその友人たちが好きな料理を持ち寄って「おいしいご飯を食べる会」を開催。普通に働いているだけだと知り合う機会のない人との繋がりが生まれる場にもなっています。
 また、近くには地域活性に精力的に取り組む古民家レストラン「TREE」があります。運営しているのは、20代後半の同世代の友人たち。デザイナーやフォトグラファーなどのクリエイターも集まってくる場です。こうした同世代で精力的に活動する友人が身近にいると、自分も頑張ろうと思えてくるんですよね。

山崎さんの意思と、種を受け継ぐ者として

 今後はノンアルコールシロップの生産体制を整えながら、今までも作っていた粒状や粉状のウコン製品をリデザインして売り出したり、ウコン染めの試作をしたり、新たな商品化に取り組む予定です。こうしてウコンの使い方のバリエーションを増やすことで、いずれは他のウコン農家さんと協力して栽培の規模を大きくし、販路を広げていきたいですね。ウコンは水やりや草取りなど手をかければかけるだけ良くなる植物。山崎さんが大切に育ててきた種を途絶えさせないようにしっかりと育てていきたいです。
 また、山崎さんが言っていた「人生は長く、楽しいもの」という言葉もずっと大事にしていきたいと思っています。山崎さんは定年退職してからウコン栽培を研究し、新潟で初めて成功した人。30年以上もウコンに愛情を注いできた人だからこその説得力ある言葉です。そんな山崎さんから託されたウコンと意思を受け継ぎ、より多くの人に知ってほしい。そのためにウコンの栽培も、6次産業化も長く楽しく続けていきたいです。

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