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ニイガタビト

新潟市民の新たな循環に関わり続ける

2016.10.19 掲載

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木村義彦さん

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 茨城県出身。福島大学・大学院卒。大学院では、農山村地域における活性化をテーマにグリーン・ツーリズム事業と都市農村交流事業の可能性を研究。卒業後、首都圏で市民の起業をサポートするNPO法人に勤務し、2013年新潟市に転勤。若者の就労支援を主として担当していた。その後退職し、2014年一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会を設立。新潟市を拠点に、市民による自然エネルギー事業の普及と環境教育活動に力を入れている。好きな花 :梅。

前回は、初めて新潟に来た時のことや、おらってにいがた市民エネルギー協議会を始めるときの話をしました。
今回は、市民エネルギー事業のことと普段の私の仕事についてお話しします。

広がりを見せる「市民エネルギー事業」

 おそらく多くの方にとって「市民エネルギー事業」という言葉は聞いたことはあっても、あまり馴染みのない言葉かと思います。わかりやすく言うと、「エネルギーのあり方を、その生産から流通、消費に至るまで、市民自らが考え、実践すること」です。この動きは世界中の色々な国で活発化していますが、日本はまだまだ遅れているといわれています。
 東日本大震災後、日本ではエネルギーをどう安全に、安定して供給していけばよいのか、そのあり方を見つめなおす議論が国だけではなく、市民の間でも活発になされるようになりました。そうした経緯もあり、いま市民エネルギー事業は広がりを見せ始めています。例えば隣県の長野県や福島県では、太陽光発電事業が行われるようになったり、全国各地の市民エネルギー団体や共感する組織で構成された「一般社団法人全国ご当地エネルギー協会」という団体が発足しました。ここでは最新業界情報や事業ノウハウなどの共有ができ、全国各地の団体とつながり、互いに発展しあえる協力体制を整えています。

市民が市民に知恵や技術を教える場づくり

 私の目標は、「新潟で暮らす一員として多くの方々と手を取り合いながら、新潟らしい暮らしを支える地産地消エネルギーを実現させること。そして雇用を生み出し、一緒に働く仲間を増やすこと」です。
 おらってにいがた市民エネルギー協議会では、情報交換や学びの場・活動推進の場として毎月行われる定例会と、事業と協議会運営の推進を担う運営委員会があり、私はこれら全般の事務を担当しています。また、運営委員の皆さんと一緒にイベント活動や事業にも参加しています。
 定例会の特徴は、内容を地産地消エネルギーに限定せず、環境問題や経済社会など、その時々に会員の中で生まれた疑問や関心をテーマに、専門家やゲストをお招きして、学ぶ場をつくっています。面白いことに、会員の中に専門家や実践者がいることが多く、いつの間にか「市民が市民に知恵や技術を教える場」になっています。
 例えば「電力自由化がわからない」という疑問が出た時は、それに携わるお仕事をされている方が、また「手軽に実践できるエコってないの?」という時には実践者がいたということもありました。「最近着目されている水素の活用を知りたい」という時には、同級生が水素研究の第一人者だという方が現れたりと、市民が持つネットワークの豊かさに驚いてばかりいます。
 市民からの疑問や声に、同じ市民が反応し、新たな輪を生みだし、また新しい人たちが加わっていく。気付けばそんな循環ができています。偶然の積み重ねのような動きに関わり続けられることを嬉しく思う日々です。

一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会へのリンク

たくさんの思いを重ねた太陽光発電所

 「地産地消エネルギー」と一口に言っても水力発電、風力発電など方法はいくつかあります。その中でも事業リスクや専門性、資金調達などを考え、私たち素人でも実現可能な太陽光発電事業を選択しました。大規模な高圧発電所と違い、小規模な低圧発電所は、理論上、発電所周辺地域の電源となることができ、また分散して設置可能なことから、災害など非常時の停電リスクを分散することができます。
 そして、「エネルギーの地産地消を私たち市民の手で実現させたい。」と掲げた目標のため、2300万円の出資を募り、おらって市民エネルギー株式会社を設立。さらに市民から6700万円のファンドを募集して、新潟市と一般市民、企業・団体様の屋根・土地をお借りして、新潟市内17か所、新発田市内1か所、村上市内2か所の全20か所(一般家庭約300世帯分の発電量)に太陽光パネルを設置する事業をスタートさせました。今年8月から発電所を稼働していて、発電した電気は売電し、収益の一部を市民向け環境教育やエコ普及活動等に充てる計画です。
 こうしてたくさんの人たちの思いを重ねていった発電所ですから、事務以外のもう一つの仕事である発電所の点検にも気合が入ります。また、発電所の「普段近寄れない危険な場所」というイメージを変えられたらと思い、定期点検を手段にしてより身近に感じていただけるような機会づくりをこの秋から始めました。毎月の発電量記録やパネル破損などをチェックする簡単な目視点検を、その地域に暮らす地元会員やボランティアさんに参加・体験してもらっています。参加者からは、「太陽光発電の仕組みや施工工程がわかり身近に感じた」とか、「家庭に取り付けた場合の相談などもできてよかった」という声を頂いています。

おらって市民エネルギー株式会社へのリンク

趣味で始めたお出かけでの出会いが、生活の支えに

 ここまで「エネルギー」というテーマで話してきましたが、冒頭でも書いたようになんだか壮大で難しく、馴染みのないテーマですよね。もしかして読み疲れてしまった人もいるかもしれません…。(笑)
 さて、読み進んでこられた方の中にはある疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか?そう、「この人は、準備期間の2年間どうやって生活していたの?」と。
 おらっての太陽光発電事業が安定してきた今は、上述したように、おらって市民エネルギー協議会の事務員・おらって発電所点検管理員として給与をいただいています。それまでの約2年間は、なんとなくみなさんが予想されていたようになかなかに苦しい生活でしたが、「やり繰りすればなんとかなる」と色んな収入源を組み合わせて生活していました。
 前職のNPO団体に所属していた頃一緒に仕事をしていた方や、趣味友達から短期の仕事を紹介してもらったり、貯金を崩したり。また、おらってメンバーから心ある大家さんを紹介してもらい、格安で住まいを提供していただくこともできました。引っ越しの際は、新潟に来てから始めた「釣り」でつながった仲間が手伝ってくれました。情報収集で始めた新潟お出かけが、まさかこんな風につながるなんて思ってもいませんでした。
 新潟のことを知らずに転勤で訪れ、住み着いた自分を応援してくれる仲間や友人からの仕事の紹介や差し入れなどは、経済的にも精神的にも、お腹にも(笑)とても助かりました。メンバー全員がボランタリーで進めている準備期間だったので、なりふり構わず一所懸命に働いていたような気がします。
 次回は最終回、これからの私の目標とおらっての展望についてお話します。

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