2017.01.30 掲載
公益社団法人中越防災安全推進機構ムラビト・デザインセンター コーディネーター
日野 正基さん
長岡市・東京都のダブルプレイス
Uターン・Iターン、地方移住、地域づくり、地域おこし。地方創生の動きが活発化するなか、"地方"を取り巻くこれらのキーワードを耳にしない日はありません。
いつかは新潟に戻りたいけど、すぐには動けないし、仕事はどうしようという方も多いのでは?
今回は、都市と地方のいろいろな関係づくりに取り組む(公社)中越防災安全推進機構の日野さんに、自分らしい新潟との関わり方をさがすヒントをお聞きしました。
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新潟市出身。長岡造形大学環境デザイン学科卒。 (公社)中越防災安全推進機構ムラビト・デザインセンターのスタッフとして、中山間地域への移住・交流事業など地域づくりに取り組む。新潟と東京の二地域に拠点をかまえ、Iターン留学「にいがたイナカレッジ」や「移住女子」プロジェクトのプロデュースの他、デザイナーや編集者としても活動中。
※保護者向けUターン情報誌「新潟生活」第27号(2016年3月発行)掲載インタビュー(掲載内容は取材当時のものです)
大学のゼミで中越大震災の復興支援に関わったのが縁で、中越の新しい地域づくりに取り組むムラビト・デザインセンターのスタッフになりました。
僕の場合、地域の人がおもしろい、かっこいいっていう思いがあって。
山の人の暮らしの技はすごい!何でもできる。かんじきを自分で作り、イノシシを狩る。イノシシのレバーや肉味噌がパパっとでてくるんですよ。昔の暮らしとか、何食べてるとか、話していてすごく面白い。海沿いの住宅街で育ったので、山には僕の知らない世界が広がっていました。
この人たちと、この地域で何ができるか考えるのが、とにかく楽しいんです。
Iターン留学“にいがたイナカレッジ”は中越の中山間地域を中心としたインターンシッププログラム。地域が高齢化するなか新しい担い手や移住者を呼び込もうと2011年に立ち上げました。農業はもちろん、和紙工房や狩猟、酒蔵の手伝いなど、村の暮らしを体験しながら自分にあったライフスタイルを見つけてもらいます。
イナカレッジを立ち上げたとき、他と違うことをやろうと始めたのが“移住女子”のプロデュースです。当時、移住した女性視点の情報って、あんまりなかったんですよね。
まずは、移住女子4人が編集を担当するフリーペーパー「ChuClu(ちゅくる)」を発行し、女性目線で地域の人の魅力や暮らしを発信することからはじめました。移住女子の活動は多くのメディアで取り上げられ、今では、地方紙でのコラム連載や講演に繋がっています。移住した女性の仕事づくりになればと始めたのですが、僕も把握しきれないほど“移住女子”の活躍のフィールドは広がっています。
移住に限らず、都市と地方の色々な関わり方をつくりたくて、2015年から東京にも拠点をかまえました。12月には、“全国移住女子サミット”を開催。移住女子を中心としたゲストが、地方の女子の暮らしを伝えました。
すぐに移住しなくてもいいんです。移住って、すぐに実行できるわけではないし、人によってタイミングがある。でも、移住を考えたとき、思い浮かぶのは何らかの繋がりがあるところ。あそこであんな暮らしをしていたなとか、あんなヒトがいたなとか。ふとした時に思い出してもらうきっかけになればいいですね。
今は、県の事業“にいがたライフスタイルカフェ”の企画・運営も担当。最近は、自治体からの仕事も増えています。
僕らみたいに、仕事として地域に関わる人がもっと増えるといい。この仕事は色々な地域に行けるし、やり方が決まっていないから、試行錯誤しながら自分の考えたことをできるのが面白い。職業として成り立つのか不思議がられることもありますが、僕の場合は成り立っている。仕事をひとつに絞らず、デザイナーや編集者としても活動しています。
東京でのイベントは、僕らの仲間づくりでもあります。地域には、まだまだ人が足りない。この仕事がもっと一般的になるよう広げていきたいです。
※画像は日野さんが制作した新潟県移住ポスター