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新しい働き方 第137回

木の実のお菓子作りを受け継いで2代目に
- 「継業」という選択 -

2019.10.02 掲載

佐渡赤泊かやの実会 2代目代表

野口菜々さん

佐渡市

 新潟県佐渡市出身。高校卒業まで佐渡市赤泊地区で育つ。国際NGO、NPO等への就職を希望し、東京の大学に進学。国際社会学を学び、在学中に東南アジアを中心に海外研修へ赴く。その際、海外へ支援するよりまず自国の地盤を固めるべきだと感じ、故郷のためになる仕事を志すようになる。大学を卒業後、2017年に地元の佐渡市赤泊地区の菓子製造事業「かやの実会」を継業し、2代目の代表に。赤泊地区特産品「かやの実」を使った菓子製造のほか、かやの木の保全活動も行っている。

佐渡を離れて東京へ。あの頃は佐渡のことはそれほど…

 高校まで佐渡島で育った私は、何事においても非常に視野が狭かったと思います。人間関係も考え方も生き方も、限られた選択肢の中で選択し、時にはその選択すらさせてもらえずに敷かれたレールの上を歩き、それ故に自分の人生を生きている感覚もなかったように思います。東京に行くことにしたのは、もともと学びたい学問や夢があり、それを実現するために大学に進学したのが一番の理由ですが、島外の世界を見てみたかったし、自分のことを知らない人ばかりの環境でチャレンジしたいという思いも少なからずありました。「大学卒業後は、きっと佐渡には帰ってこないだろう」―そう思いながら島を離れたのを今でも覚えています。

自由な学生生活の中で、自分に自信が持てた

 大学はすべてが自由で、東京には何でもありました。アルバイトや海外研修への参加、一日一日の計画ですら、自分の意思で決定して管理していく生活で充実感に満ちた毎日でした。そして自分の好きな学問を熱心に学んで、夜まで友人と熱く語り合い、何気ない話で盛り上がる―そんな日常が心地よくてたまりませんでした。友人や教授など大好きで尊敬する人たちに囲まれて生活する中で、次第に自分に自信が付き、ここまで育ててくれた家族への感謝の思いが自然に湧き上がっていきました。上京した当初、きっと佐渡には戻らないと思っていた私ですが、東京での生活を通して私の中での故郷への認識が徐々に変わっていったのを感じていました。

外から見た故郷。世界平和は各家の食卓から

 幼いころから国際協力に興味があった私は、将来は貧困問題などを解決できる仕事につきたいと考えていました。大学では国際社会学を学び、海外研修に参加したことで様々なことを学びながら知見を広げることができました。
 それまで私は、日本は経済的に豊かだからこそもっと海外に対して支援をするべきだと思っていたのですが、実際に現地の人たちを見ると人生を心から楽しんで生きているように見えました。逆に過労死していく大人たち、いじめに耐えられず自殺する子どもたちが絶えず存在する日本は、果たして本当に豊かなのかと考えるようになりました。そして同時に、生まれ故郷である佐渡の偉大さも実感しました。当たり前だと思っていた環境も食べ物も、本当はとても恵まれたものであり、大切に守り育んでいくべきものだということを東京での生活や海外研修から学び、卒業論文でも佐渡島の発展をテーマに取り組みました。
 「世界平和は各家の食卓から」という言葉がありますが、外へ支援する前にまずは自国の基盤をしっかりしなければ本末転倒ではないかと強く考えるようになり、「自分の生まれ故郷は決してお金では買えない。佐渡へ帰って故郷のために生きよう」と決意するに至りました。

かやの実会との出会い。人生をかけてやりたいことは何か?

 しかし、実際のところ佐渡での仕事は限られています。悩んだ末に「いっそ仕事を作ってしまえばよいのでは」と考えました。そんな時に、地元の特産品であるかやの実を加工・販売している「かやの実会」という組織の代表、笠木隆子さんに出会いました。榧(かや)は赤泊に自生している常緑針葉樹で、その実は食用として用いられています。笠木さんは「かやの実でもっとこの地域をよくできる」と話してくださいました。しかし、ご高齢で後継者もいないため事業を畳もうかという時でした。私は考えに考え「それならば、ぜひ卒業したらかやの実会の2代目として事業を継がせてほしい」とお願いしました。
 もちろん葛藤や不安はありましたし、家族を含めた周囲は大反対でした。確かに、このお菓子作りだけで生計を立てていけるようにするのは生半可なことではなく、膨大なエネルギーがいることだと思います。しかし、だからこそ「できない」と思われている固定観念を変えていきたい。地元に新たな可能性を、仕事を生み出したい。これこそ、自分の人生をかけて取り組むべき価値のある課題だと思いました。信念を持って生きていきたい。そして何より、この道を選んで自分が新たにやりたいことを考えると、それだけでワクワクして胸が膨らみました。
 家族には心配をかけてしまう道だと思いましたが、私にとっての親孝行は、親の想像を超えて成長することなのではと思っています。この仕事を始めて早3年目になりますが、ありがたいことにたくさんの方々に支えていただき、今日まで歩んでくることができました。今ではそんな私を見て、家族も応援してくれています。これからも周囲の方への感謝を忘れず、精進していきたいと思っています。

佐渡での暮らしのよさ。食の豊かさ

 佐渡にUターンをしてから、自分の中で食生活の質がとても上がったと感じています。特にスーパーで売っている魚の安さとおいしさに衝撃を受けました!東京では魚は高くてなかなか買えなかったので、そこはすごく大きかったです。魚介類をはじめ、佐渡はまさに「平和は各家の食卓から」を地で行く暮らしが残っていて、豊かな食文化があることを実感しました。逆に大変な点といえばクルマ社会だということです。佐渡島は結構大きい島なので、クルマがないとなにかと不便だと感じるところがあるかも知れません。クルマ移動で、あまり歩かず、食べ物が美味しいのでよく食べるという足し算ばかりの生活で、佐渡へ帰ってからは太ってしまいました(笑)…。最近は、日々運動をするように意識しています。

これからの目標。そして、佐渡島を出た若い人たちへ

 この仕事を通して実現したい目標は、島内のたくさんの人に地元に興味を持ってもらうきっかけを作ること。そして、佐渡における職業選択の幅を少しでも広げることです。私がこの仕事で少しでも花開くことができ、それによって単に「就職」という選択肢だけでなく、島特有の資源をいかして自ら仕事を作ったり、継業したりして若い人が島に帰って来やすい状況が生まれれば、子どもたちや若い世代の人にも希望を持ってもらえるのではないかと思うのです。自分の切り開いた道を、いつか私よりも年下の人たちが「おもしろそう!自分もやりたい」と飛び込んで来てくれたなら、こんなにうれしいことはないと思っています。そして子どもたちや若い人に、生まれ故郷が佐渡であるということに誇りを持ってもらえるような、そんな島にしていくことが私の夢です。
 私は佐渡島を出た多くの人たちが佐渡へ帰ってきてくれた時に、いつでもふわっと包み込むような心安らぐ故郷を、いつまでもいつまでも守っていきたいと思っています。なので、みなさんいつでも羽を伸ばしに帰ってきてくださいね!もちろん、佐渡出身でない方も、いつでも遊びにいらしてください。
 かやの実のお菓子作りという仕事に就いて得た、たくさんの素敵なご縁と出会いに感謝すると同時に、何百年も佐渡島を見守り続けてきた「かや」と一緒にお仕事ができる幸せをかみしめながら、これからも故郷と私を支えてくださる皆様に恩返しができるよう、日々頑張っていきたいです。

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