2016.04.27 掲載
vol1
一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会 専務理事
木村義彦さん
28歳 新潟市在住
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茨城県出身。福島大学・大学院卒。大学院では、農山村地域における活性化をテーマにグリーン・ツーリズム事業と都市農村交流事業の可能性を研究。卒業後、首都圏で市民の起業をサポートするNPO法人に勤務し、2013年新潟市に転勤。若者の就労支援を主として担当していた。その後退職し、2014年一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会を設立。新潟市を拠点に、市民による自然エネルギー事業の普及と環境教育活動に力を入れている。好きな花 :梅。
はじめまして、木村義彦と申します。今回ご縁があって、一年間・計4回、私の働き方のお話をさせてもらうことになりました。
新潟で、「新しい働き方」を見つけたいと思っている方の小さな刺激になればと思い、筆を執ることにしました。
さて、私が新潟に来たのは2013年夏、転勤してきたことがきっかけです。その後退職し、2014年「一般社団法人 おらってにいがた市民エネルギー協議会」を設立、地産地消エネルギーを自分たちでつくる事業を始めました。
その過程を皆さまにお伝えしていければと思いますが、今回は私のパーソナリティや原点になっていることについてお伝えすることにします。
私は「ド田舎っぺ」だと自認しています。玄関から山に向かって叫ぶとやまびこが返ってきますし、庭に野兎やタヌキが遊びにくるような自然豊かな環境で高校までの時間を過ごしました。
そんな私は高校生の頃から「どうして自分の生まれ育った土地で生活することが難しくなっているのか」という疑問を持ち、また漠然とした不安を感じ始めました。農業や家業を継いでも食べていけない現実や、就職先や進学先が年々遠く、離れていくといった現象は全国どこの田舎でも起こっていることでしょう。雇用や経済情勢など複雑な問題が絡んでいるからでしょうが、大切な家族や友人とともに、代々続く土地で暮らし続けることが難しくなっている現実は、地元が大好きな私にとって、とても不安で寂しいことのように感じました。
そしてそんな不安と寂しさは、目に見える形でわかるようになってきています。私の地元では、母校も、祭りもなくなってしまいました。少しづつ寂しくなっていく地元をどうにかしたい、田舎でも色んな選択肢を持ち、好きな選択肢を選びながら暮らし続けられる社会を模索したい。そんな思いを抱くようになりました。
「田舎に選択肢をつくる。」それを学ぶため、私は福島県の大学・大学院に進学しました。
慣れ親しんだ土地を離れることは、寂しさを感じることもありましたが、この日々が、私を人として大きく育ててくれたと実感しています。
私は、福島県飯舘村や喜多方市をフィールドに、時に住み込みながら、地域の人たちと村おこしに取り組んできました。
当時はまだ流行り始める前のグリーン・ツーリズム(田舎宿泊体験)や農業の手伝い、町中での朝一マルシェ出店、茶屋の店番など、本当に色々な事に参加させて頂きました。
真剣に何かに打ち込む姿や、背中で語ってみせてくれる姿はとても力強く、そんな人たちが集い助けあいながら暮らしていく文化や風土にこそ、真の地域力があるように感じました。
地域に暮らす人がいて、営みがあるから選択肢も生まれたり、また新たな選択肢が必要になる。
私達のようなソトの人と協力しながら、地元で暮らしていく選択肢を共につくっていく。その場面に立会い、関われたことは、私がこれから何を成し遂げたいのかをじっくりと考えさせてくれる時間となったのです。
そんな充実した学生生活を過ごしていた時、東日本大震災を経験しました。本当にショックな経験でしたが、大学院を卒業して福島を離れ、時間が経つほどにあの経験や出来事は一体何だったのかとつくづく思うのです。
私たちの何気ない日常は自分たちの力ではなく、これまでの人々の営みによって支えられていること。良いことも悪いことも全てつながって私たちは生きているのだと。
だからこそ、私たちが次の世代のために、どのような営みの選択肢を残すのか考え、挑戦していかなければならない責任があると強く感じています。私が現代社会の営みに不可欠かつ直接的なものである「エネルギー」事業をやってみようと決断することができたのは、この「責任感」を感じたからでしょう。
そして、高校生の頃に思い描いていた「田舎に選択肢をつくる」こと、その具体的な選択肢を支えるために必要なものだと思ったのです。そうでなければ右も左もわからない「エネルギー」に携わろうなんて思うこともなかったのではないかなと思います。
こうして私は、2014年この想いを共感しあった皆さんと地産地消のエネルギーを自分たちでつくる事業を始めました。
次回は、少し戻って新潟に来た時のことや、おらって設立に至るまでのお話をしたいなと思います。
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