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ニイガタビト

日々立ち止まりながら、てくてく進む

2017.02.22 掲載

NPO法人 緑とくらしの学校(森のようちえんてくてく)スタッフ

代田梨恵さん

33歳歳 上越市在住

 東京都生まれ。1歳になる前に群馬県榛東村(しんとうむら)に家族で移り住む。専門学校を卒業後、幼稚園教諭として11年働き、子どもたちと向き合ってきたが、園の環境が変化していく中で、自分の考えている教育とは?と悩むようになる。群馬県にある森のようちえんやセミナー、海外の保育視察に赴く中で、「自分がやりたいと思ったら、行動できるんだ」と感じるようになり、最後の園児を見送ったのち退職。その後、ご縁があって上越市の森のようちえんで働くこととなり、自分の考える「教育」を模索し続けている。

「子どもが好き」と「人がちょっと苦手」

 子どもの頃は近くに暮らすいとこと外遊びをよくしていて、忍者ごっこをしたり秘密基地をつくったりしてアクティブに遊んでいました。
 中学校では新体操部に入って頑張っていたんですが、高校では友人と遊ぶのが楽しくなってきて、そっちに傾いていましたね。授業をちょっとサボっちゃったり(笑)。中学校の校風が厳しかったせいか、その反動で高校ではゆるく、自由にしたくなったんです。将来のことはあまり考えていなかったし、成績もそこまで…だったんですが、焦りはあまり感じていませんでした。でも、進路を選択する時期になってきたら、やっぱり何かを選択しなくてはいけなくて。
 興味のあることは何だろうと考えたときに「子どもが好き」「人がちょっと苦手」というのは自覚していたので、幼稚園教諭を目指そうと思ったんです。その時は「子どもと遊ぶだけだからできるかも!」と思ったんですけど…なってみたら全然違いました(笑)。

幼児教育が大事

 もうひとつ、進路を考えるときに、心の奥で「なんで自分はこうなったんだろう」とか、その背景にある教育のことを考えていたかもしれません。高校受験の時、昔お世話になっていた先生から思いがけず、他の大人たちと同じように「いい学校に行けば、いい人生が待ってる」みたいなことを言われて、少し悲しくなったんです。小学生の頃、その先生は他の授業ではないような体験型の授業をしてくれて、すっごく楽しかったんです。この先生は違うって思ったから、余計にショックを受けたのかもしれません。
 それなら小学校の教育を、となるのかもしれませんが、いきなり小学校だと子どもの気持ちはわからないと思って、まず幼児教育を学ぼうと思いました。幼稚園教諭から小学校教員という転身まで考えていたわけではありませんでしたが、やっぱり幼児教育が大事だと考えていたかもしれません。

「お母さん」と一緒にいる時間は子どもにとって大事

 進学先は県内の専門学校を選び、2年間通学しました。県外に行くことも東京に憧れもなかったので、暮らしやすい実家から通えるところにしました。
 幼児教育には、大きく分けて保育所と幼稚園の2種類ありますが、私は幼稚園教諭を目指し、勉強していました。私自身は、1~3歳は保育所、年中年長は幼稚園に通っていました。両親が忙しく、特に母は自宅で美容室をやっていたので、私は小さい頃から預けられていて、幼心に寂しかったのを覚えています。いとこや姉・祖母がいても、やっぱり「お母さん」と一緒にいたかったんだと思います。
 保育園は働くお母さんのためにあるので、子どもを預かる時間が長くなりがちです。私自身が寂しかったと感じていた記憶があったので、母親と子どもの時間がもう少しゆとりのあるような環境が大切なのではないか、そう思い幼稚園で働くことを望みました。

違和感を感じる日々

 働き始めた幼稚園は木が多く、広い園庭が開放的。1クラスが20人くらいの小規模だったこともあり、子どもたちの自主性を大切にする雰囲気の園でした。ただ、数年経つうちに、園児数がどんどん増えていき、子どもたちのやりたいことを大切にしたいと思うのに、自分の余裕がなくなっていって、「ちょっと待って」と言うことがすごく増えたんです。クラスがまとまっているほうがよい、という雰囲気も出てきて子どもたちをまとめてしまう。「みんな」じゃなくて「ひとりひとり」を見たいのに…。子どもたちが帰って、1日を振返ってみたら、「今日、あの子と話してない…」という日が多くなり、自分が見えていない部分が増えてきたんです。それなのに、就業年数だけが増えてベテラン扱いされるようになってきたことが怖かった。主任という立場になり、すごく違和感を覚えたんです。違和感を感じるとともにだんだん自分のやりたいことが見えてきて…そんな時に、森のようちえんに出会いました。

自分がやりたいと思ったら、行動できる

 群馬県赤城山にある森のようちえんでは、県内の幼稚園・保育園の子どもたちが1日森の中で過ごす、という活動を行なっており、私もクラスの子どもたちと参加したのが始まりです。たまたまそこの代表が専門学校の先輩だったこともあり、休日にもボランティアとしてよく通うようになりました。
 ある時、「森のようちえん全国交流フォーラムがあるから一緒に行かないか?」とその先輩から誘ってもらい、参加することに。その3日間のフォーラムの中で「この人の話、知ってる!」という1コマがありました。それが、働き始めたばかりのころ大切に読んでいた保育雑誌に出ていたデンマークの森のようちえんの話だったんです。あまりに突然のことだったので、びっくりして。一気に憧れみたいなのが出てきましたね。「ここにいたんですか!」みたいな(笑)。
 そのお話をされていたのが、上越市で森のようちえんを運営されている小菅さんだったんです。その時はまだ、そこで働きたいと思った訳ではなかったんですが、小菅さんの話を聞きながら、「自分がやりたいと思ったら、行動できるんだ」と思い、本当に行動している人を見て、自分もそうなりたいと思ったんです。

子どもはどこの国でも、子ども

 実は、ずっと海外の幼児教育が気になっていたんですが、なかなか行けずにいました。でも、フォーラムから帰ってきて、「行動しよう!」と思い、1週間お休みを頂いてドイツに行きました。行ってみて分かったことは「どこにいても子どもは子ども」だということ。海外なら、他の幼稚園ならきっと違うと思っていたけど、そうではありませんでした。子どもたちはどこの国にいたって、子どもの時代を生きているんです。行ってみて、見たからこそ腑に落ちたことでした。
 そう思って働き始めた11年目が最後の1年になりました。受け持った36人のクラスは個性豊かなキャラクターばかりで、「やりたい!やりたい!」がとても多い、賑やかなクラスでした。ただ、1クラスの人数としてはやはり多すぎる環境で、子どもたちそれぞれがやりたいことを充分にやりきれているのか?私はそのサポートができているのか?そんな疑問はいつも私の中にありました。そして、そんな気持ちのまま保育を続けることはできないと感じ、受け持ったクラスの子どもたちを見送ってから辞めることにしました。
 その後のことは何も考えていなくて、旅でもしようかなと思っていたんですが(笑)、たまたま上越市の森のようちえんの募集を見つけました。当時30歳くらいだったので人生設計を考えたりもしていたのですが、行ってみよう!と思いきって応募しました。両親は、私が自分で確かめないと気が済まないという性格も知っていたし、母親も自分の仕事をやりたいようにやっていたから、反対することなく送り出してくれました。子どもの頃は、自分より仕事を選ぶ親の姿に寂しさを感じていたけど、今思うと「やりたいことをやる」という姿を見せてくれたことに感謝しています。

1年目に分からなかったことが、体になじんできた

 森のようちえんの見学に来るまで上越市に来たことはなかったし、存在も知りませんでした。暮らしてみて、正直なところ群馬がいいなあなんて思う時もありました。でも、先日、異業種交流会に誘ってもらって行ってきたら、すごく楽しかったです。これから上越をどう面白くしていくかという話をしていて、そういう動きを知れたことが嬉しかったし、私も参加したい!と思いました。この地域に対して思っていることを人に話すことで、新たなきっかけにつながる気がしました。
 森のようちえんでの仕事は、やっと体になじんできた感じです。今までの保育とは全然違いすぎて1年目は雲をつかむような毎日でした。雨が降っても風が吹いても、一日中森の中で過ごし、火を焚いたり、森を歩いたり。そして子どもの行動や表情から気持ちを読み取るというか、言葉として発している言葉の裏でその子が思っていることを見つけていくというか。毎日「こうなのかな、ああなのかな」とスタッフで話しているんですが、そんな職場が嬉しくて面白いです。今の日本の自然環境、子どもが育つ場、子育てをしていく場としての環境、人間の本能の部分などもよく話題に上がり、今まで考えてこなかったようなことを考える機会も多く、刺激をもらっています。2年目ももうすぐ終わりですが、1年目には分からなかったことを感じて楽しめるようになり、私自身も変わってきたような気がします。そんな自分の変化も嬉しいし、子どもたちの気持ちに少しでも近づけているのかなと思うことが嬉しいです。でもそれは自分の思い上がりなんじゃないのかと、日々立ち止まりながら、てくてくと進んでいる感じです。
 3年目に向けての目標は、体を大事にすること。2年目は体調を壊してしまったんですよね。体になじんでいなかったから、気付かぬうちに気を張っていたのかもしれません。上越に来てよかったー、と今は心から思えるようになってきたので、上越での生活もおもいきり楽しんでいきたいです。

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