2020.03.19 掲載
GOOD MELLOW CAMP 代表
斉藤友香さん
見附市
新潟在住の女性8名によるキャンプユニット、GOOD MELLOW CAMP(グッドメローキャンプ)の代表。高校卒業までを地元の見附市で過ごし、専門学校への進学をきっかけに東京へ。卒業後は都内にあるグラフィックデザインと映像制作を手掛ける会社に就職。その頃からキャンプや音楽フェスに足を運ぶようになり、気づけばキャンプ大好き女子に。「キャンプ場もフェスもある新潟で暮らしたほうが楽しい!」とUターン。フェス仲間とともにGOOD MELLOW CAMPを結成し、キャンプの様子をインスタグラムで発信。女子キャンパーたちがおしゃれに楽しくアウトドアライフを過ごす姿が多くの人たちからの支持を得る。現在はキッチンメーカーでフォトグラファーとして働く一方、GOOD MELLOW CAMPとしてイベント企画やブース出店、グッズをリリースするなどして、キャンプというフィルターを通してローカルの暮らしと新潟の魅力を発信中。
\インタビューのポイント/
●東京で感じたアウトドア遊びの大変さ
大好きなキャンプをもっと楽しみたくてUターン
●キャンプの魅力が詰まった新潟
四季の自然を楽しみながら地元メーカーの道具でキャンプができる幸せ
●自分から発信することで人とのつながりが広がる
やりたいこと、やっていることを声に出せば協力してくれる人がいる。
高校卒業までを地元の見附市で過ごし、専門学校への進学をきっかけに東京に出た斉藤さん。デザイン系の専門学校で2年間グラフィックを学び、その後また別の専門学校で1年間絵のデッサンを勉強しました。「当時は“新潟に戻る”という選択肢は全然頭の中になかったです(笑)。東京暮らしはもちろん楽しかったですし、卒業後はそのまま都内にあるグラフィックデザインや映像制作を手掛ける会社に就職しました」。
そこでデザイナーとして働く傍ら、プライベートでは友人とVJユニットを組んでクラブイベントに出演。その頃からキャンプや音楽フェスにも足を運ぶようになり、オンオフ問わずアクティブな東京ライフを過ごしていました。
「フジロックがきっかけで、だんだんキャンプや野外音楽フェスなどのアウトドアにハマっていったんです。都内から山梨まで友達とキャンプに行くこともありました」。東京でのひとり暮らしですから、さすがに自分のクルマは持っていません。「一度家を出て、レンタカー店までクルマを借りに行って、それから自宅に戻ってキャンプ道具を積んで、友達をピックアップして、ようやく出発になります。当然、戻ってくる時もまた同じ。仕事を頑張って、休日に大好きなキャンプに行くのに“これってすごく時間とお金のロスじゃない?”と思ってしまった瞬間があったんです」。
フジロックに行く時も、都内からたくさんの荷物を抱えて新幹線に乗って行く大変さを実感したと言います。そこで頭に浮かんだのは地元・新潟でした。「本格的にキャンプをするようになると道具も増えて、都内のひとり暮らし用の部屋には入りきらなくなってきました(笑)。新潟の実家ならガレージもあるし、道具を置けるなと思って」。新潟にはキャンプ場も多いし、フジロックをはじめ、楽しいフェスはたくさんあります。「じゃあ、一度戻ってみてもいいかなと思って、新潟に戻ったんです。あんまりない理由だと思いますが、私のUターンのきっかけはキャンプです(笑)!」。新潟で暮らしたほうが絶対に楽しめる―自分らしいライフスタイルを選択したポジティブなUターンの形です。
現在は県央地域にあるキッチンツールのメーカーに勤務。自社の製品写真や自社のキッチン用品で作った料理撮影など、フォトグラファーとして働いています。「東京の頃とは違う仕事なんですけど、元々写真も好きだったし、今は動画も撮れるように勉強をしています。自分のできることを何でも増やしたい性格なんでしょうね」。仕事も遊びも、自分の手でいろんなことにチャレンジしていくのが斉藤さんのスタイルです。
オフにはキャンプやフェスを楽しみながら、その様子を自らインスタグラムで発信していた斉藤さん。明るくポジティブな性格も手伝って、野外フェスなどで友達を増やしていきました。「3~4年くらい前に、フェスや音楽イベントでよく顔を合わせる女友達同士で“何かみんなで一緒にやらない?”って始めたのがGOOD MELLOW CAMP(グッドメローキャンプ)です」。GOOD MELLOW CAMPは斉藤さんが代表を務める新潟在住の女性8名によるキャンプユニット。自分たちらしいスタイルでキャンプを楽しみながら、その様子をインスタグラムで発信をしています。「女子だけでキャンプをしていること自体が珍しかったようで(笑)、次第にいろんな方面から声をかけられるようになりました。みんなでその日のドレスコードを決めてファッションを楽しんだり、作る料理やテントまわりの装飾にもこだわったりしながら週末のアウトドアを楽しんでいます」。
おしゃれに楽しくアウトドアライフを過ごす姿が多くの人たちからの支持を集め、今ではキャンプ用品メーカーからの依頼で商品PRをしたり、イベントプロデュースや出店、オリジナルグッズをリリースしたりと、その活動の幅は広がっています。「最近はイベントに出店すると声をかけてくれる人が多くなってきて“いつもインスタ見ています”“同じテントを買いました”と言ってもらえるんです。例えば、ウェブサイトを作るとか、何かイベントをやるとか、自分ひとりではできないことでも、8人の仲間がいると、大抵のことはその誰かのつながりでできてしまう(笑)。それが私たちの強みでもあると思います」。
そんな斉藤さんにとってのキャンプの魅力とは―?「シンプルだけど、春夏秋冬を感じてそれを楽しめることです。春は桜の木の下で。夏は海や湖のそばで。秋になったら落ち葉のじゅうたんを探してテントを張ります。その季節だけの景色が見られるし、自然とひとつになって過ごせますよね。季節に合わせて作る料理を変えればそれがもっと楽しくなるし、新潟は本当に四季がハッキリしているからキャンプには最適な場所だと思うんです」。
なんと冬には雪中キャンプも楽しむとか。「寒いですけれど、雪中キャンプはやめられないです。薪ストーブを囲んで熱燗を飲む時間は最高です。それに県央地域にはキャンプ用品を製造しているメーカーが多く、キャンプ帰りに直営店に立ち寄ることもあります。地元企業が作った道具を使ってキャンプができるのは、実はとても幸せで誇らしいことだと思います」。
また、新潟で暮らすようになって、人と人とのつながりが東京と比べて強いと感じるとも言います。「何かやりたいって声に出すと、必ず誰か協力してくれる人がいるし、いろんな人がいろんな人を紹介してつなげてくれる。人の数で言えば東京の方が比較にならないほど多いのに、人との出会いやつながり、それによる行動範囲は新潟にいる方が間違いなく広いです。クルマで移動するようになったのでリアルな意味での行動範囲も広がりましたし、長野など県外のキャンプ場まで足を伸ばしやすいのも新潟で暮らすメリットです」。
斉藤さんはキャンプという目線で自らのライフスタイルを積極的に発信しています。そしてそれは自分の知らないところで、いつの間にか新潟で暮らす良さの発信にもなっています。昨年の秋には、女性に向けて新潟の暮らしの魅力を伝えるガイドブック「にいがたじかん」の編集にも携わりました。「にいがたじかんの冒頭の言葉にもあるとおり、足りないものがあるなら、自分たちで作ればいいですよね。新潟なら、やりたいことを発信すれば必ず反応したり、手伝ったりしてくれる人がいます。それが、東京とは違う新潟の良さだと思うんです。」
「この冬、燕市のゲストハウス・トライアングルを会場に一晩限りの『間借りスナック』を開催したんです。単純な思いつきとインスタグラムでの発信から実現したのですが、思いのほか好評でたくさんの人たちが遊びに来てくれました。」自分たちが「楽しい」と思うことをやってみることで、新たな交流を生んで新潟を楽しくすることになったわけです。「知らない町の人たちと交流できるのは、すごく楽しいことじゃないですか。私たちの活動を通して新潟に暮らす人たちが笑顔になって、楽しい時間を過ごしてくれたら嬉しいです」。
GOOD MELLOW CAMPの活動を通じて感じるのは、意外と女の子キャンパーも多いということです。だから、これからは女子だけのキャンプイベントも開催できたらいいなと思っています」。
楽しい遊びや豊かな暮らし方を見つけるのは自分次第――斉藤さんの暮らしにはそんな言葉が本当に似合います。これから新潟で暮らす方も、そういう気持ちがあればきっと仲間も増え、自分らしい「にいがた暮らし」ができるはずです。
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