2024.07.17 掲載
小式澤 正美さん
東京都板橋区出身。専門学校でCADを学んだのち、東京都内で不動産業界を中心に数社で勤務し、図面の作成や営業事務、社内SEなどを経験。2011年に新潟へIターンし、個人事業主を経て2023年に「りそうの合同会社」を設立。夫と義両親との4人暮らし
【Q. Iターンのきっかけは?】
生まれも育ちも東京で、東京を離れることは全く考えていませんでした。移住前の新潟のイメージといったら「雪と田んぼ」。両親ともに愛媛県出身で、寒い地域には全く縁がない環境で育ちました。ただ当時お付き合いしていた人が新潟出身で、彼のUターンをきっかけに、結婚を視野に入れて私も2011年に新潟へ。一人でアパートを借りて1年間新潟でやっていけるかを知るための“お試し移住”を経て、結婚しました。
【Q. 新潟に移住してみていかがでしたか?】
ペーパードライバーだったので、心配したのが車なしで生活できるのかということ。実際は家の近くに経験を活かせる職場やスーパーもあって不自由を感じることはありませんでした。買い物をする場所の選択肢は東京より少ないですが、食べ物はおいしく、県産の野菜は種類が豊富!移住のタイミングが30代手前で、「目新しさ」よりも「おいしい」や「落ち着いている」ことに価値を感じました。
【Q. 新潟でのお仕事内容を教えてください。】
新潟でも最初は東京時代と同じ不動産や土木に関係する仕事をしていましたが、セラピストに興味があり、リラクゼーション業界へ。契約の関係でこの時から個人事業主になりました。しかし、やりがいを感じ、一生モノの仕事として考えたいと思っていた矢先に病気が発覚。そこで治療に入る前に、手術後の生活を見据えて仕事の準備をしておこうと始めたのが、自宅でできて、自分の技術を生かせるSNSの運用代行です。
転機が訪れたのは、治療が終わり新潟での仕事を増やそうと、顧客になり得るフリーランスの利用者が多い関屋浜にある海の家兼コワーキングスペースSea Point NIIGATAへ足を運ぶようになった頃。Sea Point NIIGATAで開催された「Startup Weekend」という、チームを組んで3日間で起業プランを練るイベントに参加したことで、仲間ができました。
現在さまざまな企業のバックオフィス業務を請け負っていますが、それはこの時の仲間の仕事を手伝うようになったことがきっかけです。ここに東京で裏方の業務を一通り手掛けてきた経験が生きています。
「Startup Weekend」の出会いの中でも特に大きかったのが、同じチームだった整体師の後藤純子との出会いです。意気投合して後藤の事務作業をサポートするようになり、取引先との関係性やインボイス制度の施行を機に、2023年に一緒に「りそうの合同会社」を立ち上げました。後藤の得意とする整体事業と私が手がける個人事業主や中小企業のバックオフィス業務をベースに、事業を広げている最中です。
法人化したことでクライアントの幅も広がり、経営の相談もできるようになったりと、この変化は非常に面白いですね。
【Q. プライベートについても教えてください。】
移住当初は会社と家との往復でなかなか友達はできませんでしたし、この時は仕事とプライベートはしっかり切り分けたいと思っていました。
しかし、前出の「Startup Weekend」で仲間ができてからネットワークが広がり、後藤と二人で「理想の休日ドットコム」というユニットを組んでカレーイベントやパフェ作りなどを企画し、人を巻き込んで遊ぶように。
こうなると仕事と遊び両方で関わる人も重なってきますが、オン・オフで人間関係を分けなくても全く問題なく、かえってその方がうまくいく今の状態が楽しいです。
現在は「理想の休日ドットコム」で田んぼを借りて、普段の管理は農家さんにお願いしつつ、友達家族も一緒に田植えや稲刈りなどを手作業でやっています。
家族との時間はドライブに行くことが多く、県内や県外にも足を延ばしています。
【Q. Iターンして感じる新潟の魅力や自身の変化はありますか?】
新潟は遊べる場所が近いですよね。温泉が近郊にこんなにたくさんあることは最初知らなかったし、海もすぐそば。東京なら観光地として紹介されそうなシロツメグサの群生が雑草扱いとか(笑)。あの贅沢さは東京にはないものです。
私自身は新潟に来て「変わった」と思っていたのですが、小学校からの友人には「ようやく元に戻ったね」と言われます。会社員時代は家と会社の往復、あとは仲間と飲む、という生活スタイルから外れることなく、静かすぎたと。言われてみると、確かにいろいろな活動を自由にしている方が本来の私なのかもしれません。
最近では、新潟が私にとって「移住先」から「ふるさと」になってきたなと感じています。
【Q. 今後の目標を教えてください。】
義両親も理想の休日ドットコムの活動を写真に撮って楽しんでくれることもあり、そんな様子に夫も私の活動を応援してくれています。りそうの合同会社と理想の休日ドットコム、まだこの二つがある状態を楽しみきれていないので、家族の理解も得ながら両方の活動をもっと楽しめたらいいなと思っています。
【Q. UIターンを検討している方にメッセージをお願いします。】
インターネットで移住情報を探しても、楽しいか愚痴かの極端な情報しか出てきません。悩むよりもまず生活してみることが一番です。暮らしてみると意外となんとかなるものですよ。
そして住んでみるなら、会社と家との往復だけではなく、私にとっての「Startup Weekend」のように、人が集まるところに行ってみたり、サードプレイスを作ることをお勧めします。
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