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ニイガタビト

兵庫からIターン。独自の戦略で米を育てる
- 糸魚川でイチから学んで農家として独立 -

2023.12.01 掲載

農家

石田 泰雅さん

兵庫県明石市出身。専門学校時代、知らないところへ行きたいという思いで、住み込みのアルバイトを募集していた糸魚川市の山小屋に。2011年、結婚を機に山を下りて、イチから農業を学ぶ。現在は稲作農家として独立し、冬期は造り酒屋に勤務。妻と子、義父母の5人暮らし。

「そうだ、雪国へ行こう!」と明石市から移住

【Q. 糸魚川市に来たきっかけを教えてください。】

きっかけは「そうだ、雪国へ行こう!」です。地元の兵庫県明石市で専門学校に通っていたころ、自分の将来が見えずに煮詰まってしまい、「遠くへ行きたい」「すぐに行きたい」「雪が見たい」の条件を満たすアルバイトを探していたら、たまたま糸魚川市の山小屋での住み込みの仕事を発見。そこで、「そうだ、雪国へ行こう!」と決心して、すぐに応募し、糸魚川に来ました。「糸魚川」の読み方もわからないくらい、全く縁もゆかりもない場所でした。

【Q. 糸魚川の第一印象はどうでしたか?】

アルバイト先は標高1500メートルの山の上にある山小屋でした。春のオープンに合わせて3月に着きましたが、ちょうど豪雪の年で積雪は8メートル。ここでは、考える暇もないくらい身体を動かし、これまでに知らなかったことを知り、多くのお客さんと出会う毎日でしたが、それが楽しくて、ここでの仕事は自分に合っていると思うようになりました。
2005~2010年まで糸魚川の山小屋やスキー場でアルバイトを続けていたときに、妻に出会い、結婚しました。糸魚川定着、確定です(笑)

地域の人たちとの交流が就農を支えた

【Q. 農業を始めたのはいつですか?】

自然に囲まれて働いているとき、漠然と「自然相手の農業もいいな」と思ってはいましたが、実際に就農したのは結婚後です。妻の友人の専業農家のもとで働きながら、稲作の知識や技術、農機具の扱い方など農業についてイチから教えてもらいました。
周りには兼業農家が多く、高齢化も進んでいたので、20代で仕事として農業をしているとそれだけで注目され、「もし農業をするなら、うちの田んぼの面倒をみてもらえないか」と声も掛かるようになりました。そのような声はうれしかったですが、やるからにはしっかりと向き合いたい、農法にもこだわりたいし、事業として成り立つようにしたい、と思い、時間をかけて準備を始めました。


【Q. 準備とはどういうことですか?】

農家としてはゼロからの出発なので、まずは十分な農地と必要な農具を揃えること、そして農閑期の冬の間の収入の確保を目指しました。どれも自分一人で何とかなることではなく、周囲の多くの人に助けてもらいました。もともと祭りが好きだったので地域の祭りや行事には積極的に顔を出し、消防団にも入っていたので、みんなが親身になってくれ、ありがたかったです。
合計で2町歩(1町歩=約1ヘクタール)の水田を借りることができ、冬に酒造メーカーの勤務が決まったことが後押しとなり、2016年に農家として独立。新潟県の新規就農給付金と地元JAからのサポートで必要な農機も揃えられ、米と野菜を作り始めました。

「農業はもうからない」という定説を覆したい

【Q. 現在の仕事内容を教えてください。】

経営面積は今では10町歩になり、4町歩半で酒米・五百万石、1町歩でコガネモチ、4町歩半でコシヒカリを栽培しています。酒米は私が勤めている酒造メーカーに納め、それ以外の米の多くは直接、お客様に販売しています。以前はホームページでも販売していたのですが、リピート購入が多くなって新規の販売はできない状況です。
実は、稲作以外にも「仕事」をしています。手掛ける面積が5町歩になったとき、かなり大規模な倉庫を建てました。農機具の保管や作業だけでなく、置きたいものがあったんです。それは、周囲の農家の乾燥を請け負うための穀物乾燥機です。一般的に農家は自前で乾燥機は持たずJAなどの施設に持ち込みますが、「近くにあったら便利では」と考え、「うちにあったら使う?」と事前に調査し、採算の目途を立てた上で乾燥機を導入。仕事のひとつの柱にしました。

【Q. 目の付け所が斬新ですね!】

「農業はもうからない」という定説を笑って覆したかったんです。専業農家ならしっかりと収益が出ますよ。例えば新潟県産コシヒカリは人気があるので、糸魚川地域でも需要が高く、作れば収益につながります。
農機具については、私は1台を使い倒すのではなく、タイミングを計って、売ってはハイスペックのものに買い替え、効率よく回すことを心掛けています。年長者には不思議がられますが、わらしべ長者的な発想というか、投機的というか、そのような考え方も取り入れ、長期的な戦略を立てて農業をやっていくのはおもしろいし、きちんと「もうかる」に繋がります。

湿潤な気候に癒される糸魚川ライフ

【Q. 糸魚川での暮らしはどうですか?】

糸魚川は米や野菜、魚などの食材が豊富で新鮮だし、一年を通して適度な湿度があって心地よく、暮らしやすいです。関西の方が暖かいと思われがちですが、冬の空っ風が強くて寒いし、乾燥しているので肌や唇が荒れます。私は糸魚川の方が好きですね。それに、新幹線があるから移動も便利ですし。

【Q. 今後の目標を教えてください。】

一人で農業を続けていくには限界があります。2、3年くらい前から、新たに人を受け入れて、手掛ける面積や仕事内容を増やしていきたいと考え、模索しています。農業には計画から土壌の整備・生産・営業や販売・農器具の管理まで多種多様の仕事が含まれ、やるべきことが多い分、やり方は人それぞれ。自分なりの戦略を立て、法人化も視野に頑張っていこうと思っています。

【Q. 移住を考えている方にメッセージをお願いします。】

人生行き当たりばったりみたいな私が言うのもなんですが、まずは気軽な気持ちで行きたいところを訪れてみることがいいと思います。どんなに調べても、行ってみないとわからないこと、過ごしてみないと見えないものがあります。人によって感じ方はそれぞれだからです。
ただし、仕事を先に決めておくことは必須です。収入はもちろん大事ですが、仕事を通して人と知り合い、つながることができるので、新たな地で生きていくのがスムーズになります。

ニイガタビトの想い出&推しスポット      白馬岳蓮華温泉ロッジ

標高1475メートルに立つ「白馬岳蓮華温泉ロッジ」が、私の糸魚川の出発点であり、運命を決めた場所です。3~5月はスキー、7~10月は登山を目当てに多くの人が訪れます。泉質の異なる4つの露天風呂が標高差100メートルの間に点在し、野趣あふれる温泉巡りも人気です。手付かずの自然が味わえるのに、糸魚川市内のJR平岩駅から車で1時間で来れるので、老若男女と客層が広いのも特徴です。

糸魚川市に移住した時の私は20歳、さまざまなことを吸収できる時期でした。体力がつき、山やスキーの知識を得て、人間関係の築き方を学び、酒の味も知りました。自分の将来が見えず、何者でもなかった若造が成長し、農業という仕事に出会えたのは、ここでの4年間のおかげだと思っています。私が一番好きなシーズンは夏オープン直前の6月。山は静かで、頂の残雪と麓の新緑とのコントラストが美しく、山菜もおいしい。最高の推しスポットです。

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