2023.06.27 掲載
Daily Lives
鈴木 亮平さん
聖籠町
五泉市出身。山形県の大学で建築デザインを専攻。東京の出版社に就職し、旅行情報誌の編集に関わる。2011年にUターンし、新潟市の出版社に入社し、住宅情報誌を編集。2018年に独立し、編集者・ライター・カメラマンとして活動。妻と2人の子どもの4人家族
【Q. 山形から東京経由で新潟に戻られたのですね】
山形の大学で建築デザインを学びました。学生時代は作品をCGや写真や文章として発表することが多く、このプレゼンの経験は出版業界と相性がよいと考えて、就活では出版業界を中心に活動。Uターンも考えましたが、「自分の場合は、キャリアを都会でスタートさせることが、その後の人生の糧になりそうだ」と思い、東京の出版社に入社。仕事は楽しく充実していましたが、自然も好きだから週末は東京を離れて各地へ登山に出かけていました。
平日は東京、週末は他県という生活を繰り返しているうちに、「この移動の時間は無駄では?」「住むところを間違えているかも」と感じ始め、2011年に退社して新潟に戻りました。
【Q. 仕事はどうされましたか?】
新潟に戻った後はすぐに仕事に就かず、半年ほどは見聞を広めるためにアジアや中欧などへ旅に出ていました。当時は28歳であり、「20代はやり直しがきく」と思っていたので。その後、新潟市の出版社に入社しました。そこでは5年間、住宅情報誌の編集に関わり、新潟県内で延べ400軒以上の住宅を取材して誌上で紹介しました。
【Q. 建築は大学での専攻ですから、ぴったりの仕事ですね】
建築業界の人とのつながりができ、建築に関して深い話ができるようになっていくのが楽しかったですね。それに元々各地を旅しながら、その土地の人々のライフスタイルを知ることに興味がありましたので、住宅の取材は私の感覚にとても合っていました。
【Q. 独立の経緯を教えてください】
こだわりが詰め込まれた住宅を、紙媒体だけでなくWEB媒体でも伝えたいと思うようになりました。
ちょうど多くの住宅系の企業が自社のWEBサイトのコンテンツを充実させようとしていましたので、自分が独立することで、その分野でフットワーク良くコンテンツを作る仕事ができるのではないか?と考えるようになりました。紙媒体とWEB媒体はそれぞれ異なる特長がありますが、両方の現場で思い切りやってみたいと思ったことが独立の理由です。
【Q. 大きな決断ですね】
私は決して楽観的な性格ではなく、むしろ不安症なタイプです。だから、独立してうまくいかなかった場合に備えて貯金をしていました。今も不安は尽きないので生活は質素です。また、会社員時代からいくつかのWEBメディアを作り、個人的な活動として取材をしていました。そこで関係性ができた方から仕事を頂くこともあったので、独立前から個人事業のイメージはある程度できていました。当時は長男が2歳になったばかりでしたが、妻も賛成してくれたことで独立に踏み切れました。
現在は、編集者・ライター・カメラマンとして複数のスキルを組み合わせて仕事を受けることもあれば、それぞれの職能で仕事を受けることもあります。
各種広告制作やメディアの記事制作の仕事もしますが、住宅系の仕事の割合が多いです。コピーライティングや建築写真撮影、WEBサイト制作や運用、リーフレット制作など、クライアントとパートナーシップを持って取り組む仕事にやりがいを感じます。
【Q. 仕事はご自宅でされているんですか?】
固定費を抑えるために仕事部屋は自宅(賃貸アパート)の一室にしています。ちなみに65㎡・2LDKの賃貸アパートで家賃は6万円台(駐車場2台込み)。
窓からサクランボの果樹園を眺められるのが聖籠町らしく、のどかな風景に癒やされています。
【Q. 新潟での暮らしについて教えてください】
遠くに行かなくても自然を感じられるのが新潟のいいところです。普段から椅子とテーブルを車に積んでいるので、いいなと思ったところで降ろして、気軽にアウトドアを楽しんでいます。例えば、夏であれば朝6時頃に友達と鳥屋野公園に集合し、朝食を一緒に食べて8時には解散したり。ちょっとした時間でも自然の中でリフレッシュできます。
もう一つの楽しみは、新潟県内の豪農の館巡りです。特に6月頃の雨の日がおすすめです。雨の日は庭の緑も苔もより美しく見えますし、人も少ないのでゆっくりと鑑賞できます。
【Q. ご自宅の建築を予定していらっしゃるとか】
住宅を取材して紹介するだけでなく、自分でも住宅の概念や基本設計を提案してみたいと思うようになりました。いま自宅の建築を計画していて、基本設計を自分で行っています。日射遮蔽や軒下空間、風通しの良さ、可変性などを重視した設計です。私は建築士資格を持っていないので建築士の実務はできませんが、今後、住宅のコンセプトを考え基本プランまでを作る仕事ができないか?と考えています。自宅の建築はそのための実験でもあります。
【Q. 今後の目標を教えてください】
「伝える仕事」というのは今後もなくなることはないと思いますが、求められる表現方法は変わっていきます。時代やニーズの変化に合わせ、これからも人の役に立てるように活動をしていきたいと思います。核は住宅ですが、私は人の営み全般に興味がありますので、建築以外の取材や記事制作もやっています。
今後も多様な人の営みや、生み出している価値、面白いことに関わっていきたいですね。
【Q. Uターンや転職を考えている方にメッセージをお願いします】
私がそうなのですが、興味がないことや好きではない仕事をするのはとてもしんどいと感じます。逆に好きなことであれば、休みの日でも主体的に考えたり調べたり、時には睡眠時間を削って没頭して、気が付けば専門的な知識やスキルが身に付いていきます。ですので、移住や転職では、好きなこと・興味があることができるかどうか?を判断基準にしてもいいのではないでしょうか?いきなり移住をするのではなく、休日を利用して、移住したい土地で副業やボランティアを経験してみるのも、移住後の仕事のイメージづくりになるのではないかと思います。
このページをSNSで共有する