2016.10.05 掲載
プロトレイルランナー トレイルランナーズ代表
松永紘明さん
36歳 見附市在住
静岡県藤枝市出身。高校卒業後、長岡市内の大学に進学。新潟を選んだ理由は「スキーができるから」。雪があまり降らない静岡では雪を楽しむことができなかったので、熱中して取り組み、インストラクターの資格を取得。卒業後、就職のため愛知県名古屋市に引っ越したが、都会の雰囲気に慣れることができず5か月後、新潟に戻る。その後、自身で「トレイルランナーズ」というトレイルランニングを普及する事業を立ち上げ、地元地域を巻きこんだイベント開催などに取り組んでいる。
サッカー王国静岡らしく、学生の時はサッカーに明け暮れ、本気でプロのサッカー選手を目指していました。もともと自然が大好きなこともあり、トレーニングの一環として、近くの山を走っていました。その頃は、まだ「トレイルランニング」というスポーツはありませんでしたが、今思えばこれが私のトレイルランニングの原点となりました。
雪にもすごく憧れていて、新潟のような雪国がうらやましかったです。新潟の人からしてみたら信じられないかもしれませんが、子どもの頃、あまり雪の降らない静岡で、どうしても雪に触りたくて、雪を求めて何時間も自転車を漕いだこともあったんですよ。
特に勉強が好きだったわけではありませんでしたが、「スキーがしたい」という理由だけで、長岡市の大学へ進学。スキーは本当に楽しくて、インストラクター資格までとりました。
この頃、高校生の頃から続けていたトレーニングのおかげで、だんだん走力が付いてきたこともあり、いきなり100キロマラソンに出たこともあります。「話のタネに」という程度の軽い気持ちで参加したのですが、ロードと違って山道は難しく、上位に入れませんでした。この時の悔しい思いを覚えていたのか、その後目に留まったのが「ハセツネ」という最も歴史のある山岳マラソン大会でした。それ以来、山を走る楽しさに魅了され、国内のいろいろな大会に参加し、「トレイルランニング」というスポーツに興味を持ち始めました。
大学卒業後は、就職が決まったこともあり、愛知県名古屋市郊外で暮らしていたことがあります。
私にとっては、交通事情、水、匂い、人口密度、すべてにおいてが都会で、今までの生活環境とはガラッと変わってしまう場所でした。もし、多感な学生時代を都会で過ごしていたら違っていたかもしれませんが、自然豊かな静岡・新潟で暮らした私にはなかなかなじみにくい環境でした。そして、引っ越して1か月も経たないうちに、妻から「最近笑わなくなった」と言われました。
昔の自分を取り戻そうと、週末には、山と緑を求めて自転車で片道2時間走ったこともあります。ですが、そんな生活は5か月足らずで限界を越えてしまい、仕事を辞め、「もう一度山と緑の近くに住む」 と決めて、新潟へ引っ越しました。
私にとって山と緑の近くに住む暮らしとは、ご近所付き合いが多いことのように思います。隣のおばあちゃんとお茶飲みをしたり、散歩へ行けば、「これを持ってけ」と、近所の人から両手に大根を持たせてもらいました。
ゆっくりとした時間や人のぬくもりに、とても心落ち着き、ほっとしました。遠くに出かけ、新潟に帰ってくる度にいつもこの感覚を思い出します。「幸せとは?人生とは?」都会を離れ、自然豊かな新潟に戻ってきてからそんなことを考えました。あくまで私個人になりますが、山と緑の近くに住むことで解決することがいっぱいあったように思います。
新潟に戻ったのち就職をしましたが、長くは続かずに退職しました。父が仕事第一の働き方をしていたので、私は反対に自由な働き方に憧れており、いつか海外で働きたいと考えていました。
その後、2006年トレイルランニングの普及活動を行う「トレイルランナーズ」を立ち上げたことで、私が思い描いていた自由な働き方を得ることができました。日本で叶えることができたことで、海外に行く必要がなくなり、今は妻の実家である見附市を拠点に活動しています。
昨年までは、初心者向けの仲間づくりを目的としたイベントの開催を主に行い、今年からは、行政や地域の方にご協力頂きながら、今までとは一味違ったイベントづくりをしています。参加賞に地元の特産品を取り入れたり、地域の方と参加者の出会いの場となるような交流会を行ったり、新潟の魅力を発信できる内容にし、トレイルランニングを通じて新潟の良さも感じてもらいたいと思っています。そうすることで、「イベント会場の新潟」から、「心落ち着く新潟」という思いにシフトしていくのではないかと思うのです。トレイルランニングを通じて私の人生が変わったように、誰かの人生を変えるきっかけづくりを、これからも続けていきたいと思います。
【直近イベントのご案内】
10月10日 トレイルランナーズカップ上越くわどり大会
12月1日 2016トレイルランナーズビルクライムカップin朱鷺メッセ
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