2014.10.01 掲載
伝統文化と環境福祉の専門学校 学科主任教員
後藤 唯さん
佐渡市在住
佐渡出身。親の転勤で中学校から新潟市に。高校在学中に環境問題に興味を持ち、三重県の四日市大学に進学。大学3年時にオーストラリアのクイーンズランドに2週間ほど環境研修に行き、日本との環境の違いを肌で感じた。四日市大学の先生の勧めで、武蔵工業大学(現・東京都市大学)の大学院へ進学、環境情報学を学び、その縁で「伝統文化と環境福祉の専門学校」へ就職。現在は自然環境保全学科の講師として基礎生態学を教えている。
高校在学中に環境問題に興味を持ちました。ちょうど京都議定書が発表されたころで、漠然と環境に関する興味が湧いてきたのを思い出します。四日市市の大学を選んだのは、公害が有名だったこともあって、環境に関して最先端の学びが得られると思ったのも動機のひとつでした。校内でも、さまざまな専門分野の先生を掴まえては話を聞いていましたし、専門以外の講義も聞きに行くなど「知りたいこと」があれば、動いてしまうそんな学生でした。四日市大学を卒業後、武蔵工業大学の大学院で環境情報学を学びました。学んできたことを仕事に生かしたいという気持ちは常にありましたが、環境を仕事にするのは、当時も今も本当に狭き門です。将来的に環境系で働くことは、難しいと考えていたところ、佐渡にある「伝統文化と環境福祉の専門学校」の校長を紹介され、同じ佐渡出身ということもあって、希望する環境分野の仕事に就くことが出来ました。
現在の仕事は、座学が中心になりますが、自然環境保全学科で自然の必要性や自然の中に人が介在することの問題点を理解してもらう授業や、環境保護に関する法律全般を教えています。
他の先生の授業では現地調査を行いながら、自然環境の実態を感じてもらう講義を行っているので、それを踏まえた内容を取り入れることで、教室の中だけでは分からないことも実感できるような授業に努めています。また就職相談室室長も兼務しているので、学生の将来に関する就職相談や履歴書の書き方なども指導をします。
学校以外の活動として、佐渡に伝わる国の重要無形民俗文化財のひとつである「文弥人形」の※大夫として語りと三味線を担当しています。また人形遣いとして出演したこともあります。
もともとは、小学校の時に総合学習で体験したことが大きかったです。中学校で新潟市内に引っ越したので、残念ながら一旦活動は中止しましたが、戻ってきてから再度始めたので、実質7年間、文弥人形と関わりを持っているといえます。
※大夫=三味線と節を一緒に行う人を大夫という。全国の人形芝居で三味線と節を一緒に行うのは極めて珍しい
佐渡は自然が豊かなのですが、逆にいうと都会よりは不便ともいえます。若い時は、それをデメリットと感じてしまいがちですが、佐渡にしかない自然、佐渡でしか感じられない風景があるのですから、それを守っていくことの方が大切だと思います。なくなってからでは、どうにもならないことを知って貰いたいと思います。このことは学生に伝えています。時々思うのは、街中に文化財や建築物があり、自然保護に関しても凄い取り組みがされている。ですが、佐渡島民がそれに一番気付いていない。それは、本当に勿体ないと感じるひとつです。
佐渡はさまざまな魅力がありますが、観光で来られる方には目的があると思うので、それをまずは楽しんで貰いたいと思います。佐渡の魅力を一言で説明するのは難しいのですが、個人的に好きな場所は、大佐渡スカイラインの白雲台からみる佐渡の風景ですね。佐渡の良さが一目でわかる風景だと思います。それにドンデン山もオススメの場所です。
私が、武蔵工業大学の大学院に進んだのも、先生からの紹介があったから。その縁で、希望する仕事を手にすることができました。若い人に限らないと思いますが、アンテナを張って、自分の考えや思いを伝えることを大切にしてほしいと思います。そうすると縁が生まれ、そのチャンスを生かしてほしいです。いつかは帰らなければならないと思っていた地元で、望んだ道に就職というカタチで戻れたのも出会いがあったからだと思っています。一度、島外、県外に出てしまうと戻ることに躊躇してしまいますが、戻ってきたら地元の人は皆味方になってくれると思うので、心配しないで大丈夫ですよ。
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