2014.05.07 掲載
vol1
栗原里奈さん
長岡市在住
vol1
千葉県出身。結婚を機に長岡市に移住。東京・六本木にある“生産者とお客様、地域と都市をつなぐ”レストラン「六本木農園」スタッフ。消費者が生産地を巡り、料理人がその場で生産物を調理するツアープロジェクト「にっぽんトラベルレストラン」と、新潟の未来の価値を引き出すメディア「新潟まいふうどチャンネル」の事務局も行っている。また、中山間地域の魅力を発信する活動「移住女子」の活動や、長岡の農×食プロデュース団体「おもいのほか」の活動も行っている。
新潟県生産者・生産物の開拓と、地域の魅力の掘り起こしをし、新潟県の魅力発信に取り組んでいる。東京の視点を持ちながら、地域に眠る、暮らしの文化価値の発信に努めている。
千葉生まれ、千葉育ち。東京の短大を卒業して大手企業に就職し、文句ない生活を送っていました。しかし、東日本大震災をきっかけに価値観が変化。「お金を持っていても食べ物を買えないなんて…。」買い占められてお米を買えなかった震災直後の体験は、私の心に強く残りました。そして、自分で作って自分で食べる環境が整う、地方への移住願望を持ちました。
そんな折、新潟県長岡市川口荒谷集落が企画するツアーに参加。そこで「自然に寄り添って暮らす荒谷の人たちのようになりたい!」というライフモデルと、「この人なら私の想いに寄り添って一緒に生きてくれそう」という男性を見つけました。
程なくして上記の男性と結婚し、新潟への移住を果たすことができました。念願の地、長岡市川口に住まいながら、ライフモデルとなるおばあちゃんやおじいちゃんの姿からたくさんのことを学んでいます。
新潟に住み始めたことで、たくさんの新潟の楽しさや面白さを発見し、実践できるようになりました。東京にいた頃とは180度違う暮らし方にとても満足し、毎日充実しています。
かつては大手企業に勤めており、そうすることが当たり前だと思っていました。しかし、フリーランスという仕事の仕方があることを知り、新潟への移住をきっかけにその道に進むことにしました。私が目指しているライフモデルは『百姓』を実践している人たちだったからです。
“大学を卒業して大手企業に勤めることが道”とする働き方が当たり前とされた時代から、“百の仕事ができる人“という『百姓』の働き方を選択しやすい時代へ変化したように思います。複数の生業をもって活躍する人も多く見受けられるようになりました。
私も新潟への移住によって、願っていた『百姓』という働き方を不自由なく叶えることができました。これができるのは、夫の安定的な収入と、東京よりも安い生活費のおかげです。パートナーの収入は精神的に安心できますし、新潟生活の家賃や食費などのコストは東京よりも断然掛かりません。
フリーランスという職業の選択は、肩書や役割を固定することなく、“新潟の魅力を発信する”ことを軸にして動き回ることを可能にしました。私の移住を多くの新潟の方が喜んで下さり、「いつか新潟に恩返しがしたい」と思っていた中、こういったワークスタイルを実現できることはこの上ない幸せです。
私の仕事は一言で説明できず、いつも困ってしまいます。時にイベントプロデューサーであったり、ライターであったり、WEBディレクターであったり…。なんでもかんでも引き受けて働くわけではなく、“新潟の魅力を発信するお仕事か”という基準をもって働いています。
主なお仕事は2つあります。“生産者と消費者、都市と地域をつなげる”をコンセプトにしたレストラン、六本木農園(東京都・六本木)のスタッフとしての活動です。新潟県の生産者や職人の発掘、さらに、新潟をPRするイベントやツアーの企画・運営などを行っています。東京へつなげられる、可能性に富んだ活動をさせて頂いています。
もう1つは“中山間地域の魅力を発信する”をコンセプトにしたフリーペーパーChuClu(ちゅくる)の製作メンバーとしての活動です。他県から移住してきた女性“移住女子”の目線から、中山間地域で暮らす豊かさや価値を冊子やWEB、イベントを通して伝えています。新潟は中山間地域の多い県で、やりがいある活動です。
“よそ者・若者・ばか者“が感じる、新潟の魅力は数えきれません。県外の方にはもちろん、自分の住む場所の良さに気付いていない地元の方にも知ってもらいたいと思って活動しています。
作り手との距離の近さが、新潟の魅力の1つと言えます。街と田んぼや畑は目と鼻の先。食べ物が育つ過程を知ろうと思ったら、自分の畑や田んぼがなくても学べる環境がすぐ側にあります。また、テレビや雑誌の影響で東京のレストランやカフェに憧れがちですが、美味しいものはごく身近にあるのです。
新潟の桃農家さんに伺った時に、枝に生ったまま完熟した桃を食べたことがあります。甘味が強く、程よい柔らかさ。口に入れた時に溢れる蜜…。あの時の感動は忘れられません。私は桃が苦手だったのですが、この体験があって苦手意識がなくなりました。
一般的にスーパーで並んでいる桃は完熟前に収穫しています。私が食べた完熟桃の味わいは、スーパーや東京では手に入りません。桃農家さんに行かなければ、あの美味しさは味わえないのです。新潟にはその環境があります。
移住してきた私としては、新潟の人がわざわざ食を求めて県外へ出向くことを残念に思います。食の学びも美味しさも、新潟で十分堪能できるのです。
このことに気づいてもらえるように、地元の方に向けたイベントも企画しています。地元の人の発信は、説得力とクチコミ力があるからです。内と外に向けた新潟の魅力発信を、これからも頑張りたいと思います。
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