2013.06.24 掲載
勉強やスポーツを人から教わったことで、今まで以上にそれが好きになったり、見違えるほど上達した経験はありませんか?誰かから直接学ぶと、独学だけでは分からない面白さを発見できるものです。
今回迫るのは、“教える・育てる”仕事の世界。ボクシング指導者としてジムを運営する杉澤誠さんと、長岡造形大学が実施している小学生向け講座、『こどもものづくり大学校』をご紹介します。
今年、地元である新潟市南区に『杉澤ボクシングジム』を立ち上げた、杉澤誠さんからお話を伺いました。
「高校を卒業してから、三条市の格闘技ジムでボクシングの修行を積んだ後、プロの格闘家を目指して上京しました。プロとして試合に出場していましたが、怪我により引退した後はセコンドとして格闘技に携わっていました。セコンドの活動を通して、次第に、選手をケアし育てる“縁の下の力持ち”の仕事にやりがいを感じるようになりました。」
「その後、ボクシングジムを設立させた仲間の影響もあり、本格的に指導者の道に進もうと決意し、Uターンして『杉澤ボクシングジム』を立ち上げました。新潟県にはプロボクサーを育成する環境が無かったので、ジムを開き、世界チャンピオンを育てたいと考えました。
地域の方からは設立当初から応援していただき、私も積極的に地域の行事に関わるように心掛け、地域密着のジムを目指しています。南区は毎年6月に開催される白根大凧合戦が名物で、今年はジムとしても特製の凧を用意しました。また、凧合戦開催中は、お客さん向けに歩行者天国でミット打ち体験やスパーリングなど、ジムを知っていただけるような催しも実施しました。」
「強い選手でも、指導する立場になるとミットさえ上手に持てないことがあるため、ボクシングの世界では“戦うこと”と“指導すること”は別物です。また、練習生とのコミュニケーションが大切である上、一人一人の練習に向き合う体力も要するので、指導者の仕事は難しいと感じます。
ですがその分、練習生が上達した時はとても嬉しいです。初心者だった練習生が大会で勝った時は、指導した私も周りから評価してもらえるので、非常にやりがいがあります。」
「新潟県にはプロ加盟のジムがないので、まずはプロ加盟することを目指しています。また、ボクシングは始める年齢が若いほど上達するので、小中学生を中心に練習生を増やしたいです。
新潟の人は控えめだとよく言われますが、私は負けず嫌いな性格なので、今後も人より一歩前に出る人間でいたいです。どんなことも気持ちで負けたら終わりなので、練習生も、精神面で強くなれるよう育て上げたいと思います。」
続いて、長岡造形大学が平成23年から実施している『こどもものづくり大学校』について、同大学総務企画課長の久島芳尚さんからお話を伺いました。
「最近の学校教育では美術の時間が削減され、子どもたちがものづくりに接する機会が失われていると感じます。そこで、芸術を専門とする本学の高度な設備を活かし、子ども達に講座を実施するプログラム、『こどもものづくり大学校』を開始しました。」
「今年度のプログラムでは、小学校3~6年生を対象にガラス、絵画、彫刻、デザイン、クラフトや木工など合計10回の講座を実施しています。講座では本格的なものづくりを体験してほしいと思っており、例えば初年度のガラス講座では、材料のガラスを割る作業から始めました。子ども達は、“危ないもの”であるはずのガラスを割るよう指導されて最初は驚いていましたが、普段できないことなので、新鮮な表情で取りかかってくれました。」
「受講を重ねる度に、子ども達は集中して作品を作るようになり、昼休みも早めに食事を終えて自主的に作業を再開する子が多くなります。この様子を見ると、ものづくりは集中力を高める効果があると実感します。
また、講座では子ども同士のコミュニケーションも大切にしています。学年も地域も異なる子どもたちが集まるので、年上の子が率先して年下の子の面倒を見てくれ、講師が働きかけなくても自然と仲良くなる様子が伺えます。」
「このプログラムを始めて3年目になりますが、全員が途中で辞めることなく修了しています。プログラム自体非常に好評で、毎年希望者の中から抽選で受講者を決定している状況なので、今後はより多くの子どもたちが受講できる環境を整えたいです。
また、子ども達には、講座を通して自分の将来についても考えてほしいです。大学としては、将来学生として再びここで学びたいと思う子が一人でも増えてくれればと思っています。
本学は、来年度から私立大学から公立大学へと移行する予定なので、今後一層、地域社会に貢献できるよう努めていきたいです。」
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