2013.04.17 掲載
福祉プロダクトの企画と販売『koro』
中嶋梨沙さん、小林あかねさん
福祉施設で作られた製品の企画・販売を手掛ける『koro』は、愛知県出身の中嶋梨沙さんと、新潟市出身の小林あかねさんが立ち上げたユニットです。「福祉施設の利用者の技術を活かした製品を、社会に広めたい」という思いから、新潟市を拠点に、二人で活動することを決意。福祉と社会のパイプ役として、日々活動に励んでいます。
中嶋さん(写真左)は中学生の頃から福祉関係の仕事に興味を持ち、福祉施設にボランティアに通っていたそうです。
「福祉系の大学を卒業した後は特別支援学校の講師として勤務し、とても充実した毎日を過ごしました。一方で、ボランティアをしていた頃から、障害を持つ人が作る製品があまりにも低価格で販売されることに疑問を抱いており、いずれはそのような製品の魅力を世の中に伝える仕事がしたいとも思っていました。
そのため、数年働いた後に講師の職を離れ、まずは福祉施設におけるものづくりの作業について詳しく知るため、色々な施設を見て回りました。また、結婚を機に夫の仕事先がある新潟市に移り住んだので、新潟で活動していくことを決めました。」
一方、小林さん(写真右)が福祉の世界に出会ったのは、大学を卒業してからのことです。
「高校を卒業してから、滋賀県の造形大学で住環境デザインについて学び、卒業後は石川県金沢市の劇団で、美術担当としての仕事に携わりました。その頃、美術関係の知り合いには、個々の活動をしながら福祉施設で働いている人が多かったので、私も福祉の仕事に興味を持ち、障害を持つ人の入所施設で支援員や美術の講師を務めました。
この経験を通して、福祉施設における芸術活動やものづくりに魅力を感じ、その良さを外にアプローチする活動がしたいと思うようになりました。」
その後、友人を通じて知り合ったお二人は、福祉に関して互いに共通の思いを持っていることを知り、ユニットを組んで活動することを決意。小林さんも金沢から新潟へUターンし、2010年に活動を始めました。
「親しみやすく、人から覚えてもらいやすいユニットにしたいと思い、ヒョウタンの形のロゴマークを考えました。またユニット名も、ヒョウタンの別名である「葫蘆(ころ)」から取って『koro』と付けました。
活動においては、福祉施設を訪問して職員から話を聞くなどして、利用者の得意な技術を把握し、その技術を活かして作ることのできる製品を提案しています。提案した製品は実際に利用者に作ってもらい、完成したものを私たちの手でお店に卸します。
それまで眠っていた利用者の力を集めた製品を、世の中に送り出せることにはとてもやりがいを感じています。また、製品が売れたことを、作った本人や施設の職員に報告できる時は特に嬉しいです。お客さんが製品を評価し買ってくれたという成果は、製品作りに関わった人全員の自信になり、また新しいことに挑戦しようという意欲につながると思っています。」
「『koro』は2010年に結成したばかりのユニットなので、自分たちにどれ程のことができるのかをまだ模索している段階です。まずは、現場である施設との信頼関係を大切にしながら、提案した製品を定期的に作ってもらい、お店にまとまった数を卸すという流れを定着させられるよう努めたいです。
また、私たちは、障害を持つ人が品物を作って売ることは何も特別なことではないと思っています。そのため、今後は‘福祉施設で作られたもの’という説明がなくても、製品の良さをお客さんに伝えられるような活動にも取り組みたいです。」
「都会に比べて、新潟は仕事や趣味に関する一つ一つのコミュニティが小さいので、一人知り合いができると、その人を通じてまた別の知り合いができ、次々とつながりが生まれます。色々な人と密に情報交換ができることは、新潟で活動することの魅力であると思っています。
また、地元の新聞やフリーペーパーで『koro』を取り上げてもらうこともあり、活動について丁寧に説明できる機会をいただいています。それをきっかけにお客さんが『koro』の活動に興味を持ち、もっと知りたいという気持ちになってくれることもあるので、大変有り難く感じています。」
「やりたいことがあるのなら、それを誰かに話してみるといいと思います。思っていることを口に出せば、自分の考えがまとまりますし、話を聞いた相手が背中を押してくれたり、夢につながる何かと結びつけてくれることもあります。
私たちも、これまでの色々な経験が今の活動へと結びついているので、‘これやってみたいな’と感じたことにはどんどん挑戦してほしいです。一つ一つの経験が、今後の人生の役に立つと思っています。」
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