2011.09.22 掲載
地元の人々や学生達とつながりながら、街を元気にしているカフェ「まちカフェ・りんく」(新発田市)と「Cafe CopoCopo(カフェコポコポ)」(新潟市内野町)をご紹介します。
新発田駅前通りにあるカフェ。リニューアルオープンして1周年になりました。ここは新発田市内にある敬和学園大学の学生達が中心になって運営しています。運営を任されているのはマネージャーの平野友里(ヒラノ ユリ)(写真)さん。現在も同大学の研究生に在籍しながらの勤務です。働いているホールスタッフも全て同大学の学生達です。
カフェのコンセプトには、シャッター通りとも言われる「新発田駅前通り商店街の活性化」や「運営に関わる学生の起業精神の育成」、「地域社会ネットワークづくり」などが込められています。
地域社会との連携ということから新発田市社会福祉協議会(以下、市社協)も、オープン当初からカフェの運営に加わっています。例えば、市社協の給食ボランティアの方々がカフェのランチメニューの創作にも関わってくれています。
また、時には「1Dayシェフ」の日として地域にお住まいの料理自慢の方々が、それに加えて、毎月第2火曜日には新発田市紫雲寺地区のおかあさん達がランチ作りに腕をふるってくれています。そういったイベント性を加えるなど、カフェ経営の工夫も学生達が行っています。
今後の展開としては、新発田市役所と連携しながら、郊外にある限界集落の活性化のために、新発田市街地と郊外集落を結ぶ取り組みを始めました。先日も、新発田市の山間地にある赤谷(アカダニ)集落に、敬和学園大学の教員と学生がニーズ調査に入りました。
市街地と郊外集落を結び互いに活性化していく取り組みの拠点的の役目を、この「まちカフェ・りんく」が担っていくことが期待されています。
カフェのある「内野」は新潟市西部にある街。カフェコポコポは、内野駅の真ん前のビルに今年3月にオープンしました。今年9月からは、カフェスペースを厨房も含めてレンタルする事業をメインにすることとしました。ここをコーディネートしているのが宮澤拓(ミヤザワ タク)さん(写真)です。宮澤さんは、新潟大学の学生時代から、飲食店経営に強い関心をもち、卒業後に大学の近くの街にカフェをオープンすることができました。
レンタルカフェへの完全移行の目的は、「出会いの場」を提供することをもっと色濃く出したいという気持ちから。彼自身、自分を提案する側「ありがとうコーディネーター」と称して、このスペースを「出会いの場」として、もっと利用してほしいと期待をもって語ります。
現在は、新潟大学など地元学生がパーティーなどでの使用だけでなく、地域の人たちがこのスペースを「出会いの場」として利用してくれているといいます。
このカフェのキーワードは「偶然の出会いを、必然にする。」ということと彼は言います。難しく聞こえますが、友達が出来たり、情報交換や協同企画できるような仲間に遇えたのは、偶然ではなく、このスペースがあったから必然的にそういうことが生じるということ。
毎週月曜日には県内で活躍する野菜ソムリエのランチメニューも好評です。
同じビルの1階には、カフェと同じコンセプトをもってオープンし、9月に少しリニューアルした「ツルハシブックス」があります。店長の今井あゆみさんは群馬県からのIターン。キャッチフレーズは「自分と世界を発掘」で、発掘だから「ツルハシ」。日常を楽しくしてくれる本やカフェスペースもあるので人との出会いもあるかもしれません。
宮澤さんの構想はもっと膨らんでいます。カフェのひとつの軸は「出会いの場」の提供ですが、もう一つの軸に据えたいのが「感謝を伝える場」の提供だといいます。
例えば、家族の誕生日に、自らで端正込めて作った野菜や自分で釣った魚を食材に、カフェの厨房で家族が料理に腕をふるい、その料理を囲んで感謝を伝えるなど、そういう場の提供になれればと彼は熱く語ってくれました。
また、今年も10月に行われる芸術祭「うちのDEアート」にも、積極的に関わり、街をより元気にする活動にも協力したいとのこと、カフェと地域が協力し合いながら内野の街がもっと元気になることを期待しています。
今回、2つのカフェを取材して強く感じたことは、主体的にそれぞれの目的をもって、カフェを運営したいという気持ちから起業したということでした。しかし、より印象的だったのは、それぞれが地元の人達と強く関わりを持ち、理解を得られながら、カフェを工夫し発展させようとしているところでした。
新潟には、そういった「気概のある若者」を助けたいという新潟人特有の「優しさ」や「人をすんなり受け入れる素地」があります。自分らしさを発揮するため、新潟で起業チャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。
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