2026.08.19 掲載
miracleave株式会社 佐渡SI事業部
佐藤 裕介さん
千葉県出身。京都府の大学を卒業後、千葉県のIT企業に就職し、システム開発の上流工程や品質保証業務に携わる。その後、個人事業主としてWebサイトの管理・運営を行ったほか、千葉県内の鍼灸院に勤務。離島振興のための補助金の存在を知ったことをきっかけに、佐渡での暮らしや仕事についてリサーチを重ね、2024年4月に佐渡へ移住。現在はmiracleave株式会社の佐渡拠点メンバーとして活躍している。
【Q.なぜ佐渡へ移住しようと思ったんですか?】
もともと「いつか独立したい」という思いがありました。ただ、当時暮らしていた関東圏は家賃などの生活コストが高く、独立するにはハードルが高いと感じていて、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
そんな時、ある著名人が動画で紹介していたことをきっかけに、離島振興のための補助金の存在を知りました。その内容に興味を持ち、「独立するなら離島も選択肢になるかもしれない」と考えるようになったんです。もともと独立する場所や住む場所に強いこだわりはなかったので、全国の離島について調べてみました。その中で一番魅力を感じたのが佐渡でした。
正直、それまでは佐渡の名前を知っている程度で、どんな場所なのかほとんど知りませんでした。でも調べるうちに、島内で産業がしっかり成り立っていることや、新潟市と船で結ばれていて交通の利便性が高いこと、さらに移住者を受け入れる雰囲気があることなど、生活する場所として暮らしやすい環境だと気づきました。
もちろん、すぐに移住を決めたわけではありません。本当に佐渡で暮らしていけるのか、自分のやりたいことを実現できるのかを考えながら、約2年間かけて情報収集や準備を進め、2024年4月に佐渡への移住を決意しました。
【Q.佐渡に移住してからの仕事について教えてください。】
移住後の1年間は、地域おこし協力隊として活動していました。私は教育委員会で部活動の地域移行に関するサポートを担当していたほか、地域資源や佐渡の魅力の発信や、農作業の支援などさまざまな業務に携わりました。
この活動を通じて多くの方と出会い、佐渡での人とのつながりが広がりました。また、この1年で佐渡での暮らしに慣れ、地域とのつながりも築くことができました。本当に貴重な経験だったと思います。
その後、ご縁があり、2025年6月からmiracleave株式会社に佐渡拠点メンバーとして入社。現在はシステムエンジニアとして、主にWebアプリケーションの開発に携わっています。
プロジェクトごとにさまざまな技術に触れるため難しさもありますが、関東のIT企業で培った経験を生かしながら、新しい知識や技術を身につけられる環境です。日々、自分自身の成長を実感しながら仕事に取り組んでいます。
【Q.佐渡での仕事探しのポイントを教えてください。】
私の場合、求人サイトだけで仕事を探そうとすると、希望に合う仕事がなかなか見つかりませんでした。そのため、自分から積極的に行動し、人とのつながりを広げていくことが大切だと感じています。
私自身、地域おこし協力隊として活動したことで、多くの方と出会い、地域とのつながりを築くことができました。そうしたご縁がきっかけとなり、現在の仕事につながっています。妻も同じように、通っていたカフェの店員さんから声をかけていただいたことがきっかけで就職しました。
佐渡のような地域では、人とのつながりが仕事につながる場面が少なくありません。自分がやりたいことや得意なことを周囲に知ってもらうことで、「こんな仕事があるよ」「一緒にやってみない?」と自然に声をかけてもらえることもあります。
こうした仕事の見つけ方は、関東で暮らしていた頃にはあまり経験がありませんでした。だからこそ、人とのつながりを大切にしながら仕事を探していくことが、地方ならではの仕事探しのポイントだと思っています。
【Q.実際に佐渡で働いてみてどうですか?】
2年間かけてさまざまな情報を集めたうえで移住を決めたこともあり、実際に暮らし始めてから「思っていたのと違った」と感じるようなネガティブなギャップはほとんどありませんでした。
強いて言うなら、一緒に移住した妻が最初の1〜2か月ほどは環境の変化に戸惑い、毎日のように泣いていたことですね。その姿を見て、「このままだと関東へ戻ることになるかもしれない」と不安になった時期もありました。でも今では佐渡で仕事も見つかり、私以上に佐渡での暮らしを楽しんでいるので安心しています(笑)。
仕事内容自体は関東で働いていた頃と大きく変わりませんが、心には大きなゆとりが生まれました。佐渡ではスーパーが閉まる時間も早いため、自然と定時で帰る生活になります。島全体がそのような生活リズムなので、暮らしにも自然とゆとりが生まれています。
関東では終電近くまで働くことも多く、終電を逃さないように焦って走り、満員電車に揺られながら帰る毎日でした。時間にも人にも追われる生活だったと思います。
また、私は散歩が好きなので、疲れた時に佐渡の畦道を歩き、自然や生き物を眺める時間が心地よいですね。ビルに囲まれて過ごすよりも、自然に囲まれた環境のほうが自分には合っていると実感しています。
同じ仕事をしていても、働く環境や暮らす場所が変わるだけで、ここまで心の持ちようが変わるのかと、自分でも驚いています。
【Q.佐渡の魅力について教えてください。】
佐渡の魅力は、ご飯のおいしさ、マリンスポーツを身近に楽しめる環境、そして移住者を温かく受け入れてくれる風土の3つだと思います。
まず、観光地の飲食店は「観光客向け」というイメージがあったのですが、佐渡は観光客向けのお店でも本当においしいんです。もちろん、暮らしているとそうした新鮮でおいしい食材や料理を日常的に楽しめるので、とても贅沢だと感じています。
また、海に囲まれた佐渡では、カヤックやSUPなどのマリンスポーツを気軽に楽しめるのも魅力です。マリンスポーツインストラクターの資格を取得すれば、アクティビティガイドとして新たな仕事に挑戦することもできます。
そして何より感じているのが、移住者を受け入れる雰囲気があることです。佐渡には全国さまざまな地域から移住してきた方が多く、外から来た人にも寛容です。私が所属している会社や趣味のコミュニティも、地元の方と移住者が半々くらいの割合なので、自然と交流が生まれています。初めて移住する方でも地域に溶け込みやすく、新しいコミュニティに入りやすい環境が整っていることも、佐渡ならではの魅力です。
【Q.佐渡への移住で活用した支援制度はありますか?】
「定住体験住宅」を利用しました。これは、家具・家電付きでWi-Fi環境も整った「さど暮らし体験住宅」に最長6か月間住むことができる支援制度です。Iターン希望者であれば利用でき、移住体験だけでなく、移住後の住まいや仕事探しの拠点としても活用できます。
一般的な賃貸住宅よりも家賃が抑えられているので、とても助かりました。現在はさらに人気が高まっているようですが、私が移住した2024年当時も、半年前に申し込んでようやく入居できたくらいだったので、利用を考えている方は早めに申請することをおすすめします。
また、最大100万円が交付される「移住・就業支援金」もあります。私は要件に合わず利用できませんでしたが、移住を検討している方はぜひ確認してみてください。そのほかにも、関東で開催されている移住フェアに参加したり、夏と冬に一度ずつ佐渡を訪れたりしながら、実際の暮らしをイメージしながら準備を進めました。
移住は、思っている以上にエネルギーが必要です。だからこそ、「本当にここで暮らしていけるのか」をじっくり考えることが大切だと思います。自分がやりたいことだけでなく、「地域から何を求められているのか」という視点も持つことで、移住後の暮らしをより楽しみながら続けられるのではないでしょうか。
実際、私たち夫婦は想像していた以上に佐渡での暮らしを楽しむことができ、2026年5月には中古住宅を購入しました。これからも佐渡で暮らしていこうと決めています。
【Q.これから挑戦したいことを教えてください】
正直、佐渡での暮らしが楽しすぎて、野心がまったくなくなってしまいました(笑)。
関東で暮らしていた頃は、周りと比べてしまい、「何者かにならなければ」と焦る気持ちがありました。その延長線上で独立を考えていた時期もあります。でも今は、家族と楽しく過ごしながら、仕事では少しずつスキルアップし、できることを増やしていければ十分だと思っています。今の幸せを大切にしながら、この暮らしを続けていきたいですね。
妻も「今が人生で一番楽しい」と話しているくらい、佐渡での暮らしを満喫しています。これだけ豊かな暮らしを与えてくれた佐渡には、とても感謝しています。だからこそ、少しでも余裕ができたら、今度は自分が佐渡に恩返しをしていきたいです。
最近は観光地としての注目も高まっていますが、佐渡の本当の魅力は、実際に暮らしてみて初めて分かるものだと感じています。忙しい毎日に疲れている人ほど、一度佐渡を訪れて、その心地よさを感じてもらえたらうれしいですね。
【Q.Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。】
Iターンを成功させるためには、「自分が実現したい暮らし」や「叶えたいこと」を大切にすることはもちろんですが、それと同じくらい、地域に溶け込もうとする姿勢も大切です。むしろ、「自分が地域やそこに暮らす人たちのために何ができるのか」という視点を持つことが、充実した移住の実現につながるのではないでしょうか。
佐渡は、移住者を受け入れる体制が整っていて、地域の方々も温かく迎えてくれる場所です。だからこそ、お互いに歩み寄りながら、地元の方と移住者が一緒になって地域を盛り上げていけたら素敵だと思います。
私自身、千葉で暮らしていた頃は地域でのつながりはほとんどありませんでしたが、佐渡では数えきれないほど多くの方と出会うことができました。人とのつながりが自然と広がっていくことも、この島ならではの魅力だと感じています。
ぜひ佐渡で、自分らしい暮らしを見つけてみてください!
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