2016.02.16 掲載
vol4
川崎 哲也さん
vol4
7年前に関川村に移住。現在、奥さまとお子さん4人の6人家族。農業を始める前は国家公務員という経歴を持つ。仕事柄、様々な外国人と接するなかで、自分自身の生き方に疑問を感じ始め、衣食住の中で何ができるか考え、食に興味を持ち『農』の道を選ぶ。
関川村は、県北でも雪の多い場所。さらに同じ村内でも私の住む集落は、豪雪地帯。この冬は暖冬と言われていますが、周りはきれいな雪景色。屋根の上に1m以上積もると雪下ろしが必要で、1月末に一度雪下ろしをしました。近々また雪下ろしが必要な感じです。
そんな雪深い冬「川崎さんは冬、何をしてますか?」とよく聞かれます。田畑は雪の下。農作業はありません。
答えを先に言うと「毎年状況は違うけど、基本的に家事・育児をしながらゆっくり好きな事をしている」です。秋に収穫した穀物や豆の調整作業(殻をむいたり、ゴミを取ったり、食材を食べられる状態にすること)を時々しながら、英会話教室の準備をしたり、読書や音楽演奏も楽しんでいます。
妻も、今年の冬は翻訳・通訳の仕事をいただきましたし、また村のガイドブック英語版も作成中です。「ゆっくり好きな事をしてる」と言っても、子供が4人もいれば、常に何か起きていますので、何だかんだ言っても一日一日はアッという間に過ぎていき、やる事(やりたい事)がたくさんで、冬の暮らしも飽きることはありません。
もう一つ、楽しい冬の大切な仕事。
はっぴぃふぁーむの会で、今年の活動計画を立てること。
我が家は、関川村内の農民仲間で構成された「はっぴぃふぁーむの会」に所属しています。メンバーは、年齢も経歴・職歴も、思想も国籍も様々。会の目的に共鳴した6家族20名で構成している会です。その目的とは「自然と調和した食と農を楽しみながら、関川村から元気と幸せを広げていく」こと。
田畑や経営体は家族単位で別々ですが、会の仲間同士で普段から、食・農の情報交換をしたり、人生や家族の事を語り合ったりして個々のメンバーの成長を促しています。また対外的には、農体験会、料理教室、講演会、音楽ライブなどのイベントも開催し、村内外の人にも「元気と幸せを発信しよう」と活動しています。
身土不二(身体と大地は一緒、できるだけ近辺の食材を食べる)、旬の食材、そして食への感謝の心。和食は世界遺産に登録され、伝統的な日本の食事とその作法は、世界から注目を浴びています。でも、普段私たちが食べている物・目にする食事は、どんな食事ですか?
昨今は、食と人の健康・精神状態、そして世の中の在り方の関係もが再認識されてきています。You are what you eat(あなたは、あなたが食べたものそのもの)と言う言葉もあるように、食が人の心と身体を育み、その心身・行動で世の中は作られます。
自然栽培で食べる人にも大地にも優しく、シンプルな料理法で素材のエネルギーを活かす。食べてくれる人を想い、心を込めて作る。大地の恵や作り手に感謝しながら食べる。自然と調和した優しい食が、優しい人と世の中を作っていく。
そんな思いで、今年もはっぴぃふぁーむの会では、食と農を通じて、世の中のハッピィに貢献していきたいと思います。
そんな暮らしで食べていけるのか?とよく聞かれます。繰り返しになりますが「働く」とは「傍を楽にすること、周りの人をハッピィにすること」。その思いを支えてくれる人たちのお陰で、私たちは食べていけています。おかげさまで幸せに生きています。ありがたい人生です。
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