2014.08.27 掲載
vol2
合同会社 直送計画 代表
谷 俊介さん
新潟市在住
vol2
東京都出身。大学在籍時からITベンチャー企業に勤務。2011年、妻の実家のある新潟市に、高校からの友人や、IT企業の後輩らと共にIターン。独自の視点で、新潟の魅力的な商品を県内外に紹介するショッピングサイト「新潟直送計画」の運営を行っている。
東京で働いていたWEB会社を辞めた時、貯蓄も無ければ、特別なスキルも人脈もなく、実際には先の事はほとんど考えていませんでした。IT企業の新たな在り方を考えるようになって、地域社会とのコミュニケーションの中であったり、地道な人とのつながりの中で成長していくようなIT企業を目指したいという思いがあった中、祖父が新潟出身だったことや、妻の実家が新潟だったことが縁で、直感で仲間を連れて新潟に移住しました。小さな決断ごとには優柔不断な人間ですが、こと大きな決断に際してはインスピレーションに従うことにしています。理由は後でなんとでも付けられます。
「まだ若い、経験を積んでから・・・」「お金だってないだろう・・・」「なんだってまた地方でやろうとするんだ・・・」
いろんな事を言われましたが、なぜか確信めいたものがありました。
「まだ若いからこそ、今しか挑戦できない!」「お金なんてバイトしながらだってやってやる!」「地方だからこそ必要とされる会社の在り方があるはず!」
そんな風に考えていました。
同世代の元同僚や、友人など、4人で新潟に移住しましたが、意外だったのは私たちそれぞれの親族達は思いの他、協力的だったことです。「まぁ、こんな時代だしなぁ・・・」ということだったんだと思います。自分たちの力で生きていこうとすることにむしろ頼もしさを感じてくれている様子すらありました。私たちからすると、自由に生きる道を選択することができた、この時代背景は結果として追い風だったとむしろ思います。
東京から新潟に移住、とだけ聞くと多くの人は、「都会での生活に疲れた人が、雄大な自然と、心あたたまる地域の人々とのふれあいの中で、野菜でも育てながらのんびり暮らす」ような、そんなイメージを持つようです。
僕らが移住した新潟市は、そんな世間の新潟のイメージからするとかなり都会的です。正直自分も、田んぼしかないようなイメージを持っていて、初めて来た時には「結構都会だな…」と感じました。
新潟駅近郊には、大手百貨店や、ファッションビル、ファストフードを始めとした飲食店が立ち並び、そんな新潟駅を中心に、東西、南北にバイパスや幹線道路が整備されています。少し車で郊外に出ると、スノーボードがてら温泉に入ってくることもできる山があり、サーフィンや釣りができる海があり、キャンプやBBQを楽しめる川があり、様々な農作物を育む豊かな平野が広がります。
東京から新幹線で、2時間もかからない距離で、四季がはっきりした、豊かで、恵まれた土地。何より食べ物は美味しいし、レジャーは充実するし、交通は整備され、非常に住みやすく、素晴らしい場所だと感じました。
しかも、東京に比べると家賃は半額~3分の1程度で、生活コストは非常に安く済みます。これはろくに貯蓄もない状態で、事業を開始しようとする若かりし自分にはかなりありがたかったです。
新潟の人に、「東京から移住してきました、良いところですね」、という話をすると、決まって、「ありがとうございます」という声が返ってきます。新潟に来て、新潟の人々と話をする中で、個人的にはそれが最も印象的でした。なぜこの人にお礼を言われるんだろう?という感覚です。
「新潟から東京に上京してきました、東京良いところですね」、と言われても、東京の人はおそらく「ありがとう」とは出てきません。
これは地方であれば新潟に限らないのかもしれませんが、人々のアイデンティティの中に、新潟という土地が密接に組み込まれているような印象です。新潟が好きで、新潟が褒められれば自分のことのように嬉しいし、新潟のサッカーチームの活躍や、甲子園で活躍する新潟の高校球児を見て、奮い立ちます。新潟の人々の地元愛を見て、自分には無いものを感じました。
また、新潟県人は、職人気質な人が多く、寡黙ながら、勤勉で粘り強く、黙々と仕事をする真面目なタイプが多いようです。人前に出て、目立つことをするのを嫌う方が多いと言われます。そのため、新潟の人にお話を聞くと、決まって、『新潟の人は素晴らしい商品を作るのに、売るのが苦手なんだよ。』という話を聞きます。金属加工の職人だった祖父が新潟出身だったこともあり、そんな新潟県民の気質というものには幼い頃から馴染みがあったことに気づきました。
新潟に来て感じた、これら全てのことが、今運営しているWEBサービス「新潟直送計画」の事業化に向けて繋がりました。次回は、その事業についての想いなどを、お伝えしたいと思います。
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