2024.03.29 掲載
株式会社テクノクラフト
宝輪 智也さん
新潟市西蒲区(旧巻町)市出身。京都の大学・石川の大学院で省メモリアルゴリズム(少ないメモリ環境でデータ処理するためのアルゴリズム)を専攻し、東京で就職。官公庁向けのサーバーシステム開発に従事。2021年にUターンし、新潟が本社のアプリ開発企業に入社。システム開発のプロジェクトマネージャーとして活躍。妻と二人暮らし。
【Q. 高校卒業後、県外に行かれたのですね。】
中学生の頃からコンピューターに興味があったので高専に進学し、京都の大学に進みました。大学、大学院を通してソフトウェア分野を学び、省メモリアルゴリズムを専攻。知識が生かせることを最優先に考えて東京のIT企業に就職しました。就職先に東京を選んだ理由は、大学のあった京都・石川よりも新幹線で新潟にアクセスしやすい程度の考えで、当時はまだUターンについて考えることはありませんでした。約8年間、官公庁向けのサーバーシステム構築に関わりました。
【Q. Uターンのきっかけは?】
「新潟に帰ろうかな」という気持ちが生まれたのは、母が亡くなり一人暮らしになった父のことが気にかかるようになったからです。少しずつUターンへの気持ちが大きくなり、2021年春に会社を退職し、地元へ戻りました。Uターン後には戻れる実家があるという状況だったので、この時点では仕事はまっさらな状態。のんきに構えていました(笑)。新潟に戻ってから、地元の転職エージェントとハローワークに登録をして就職活動を始めました。
条件は自分の知識や経験が生かせる仕事。前職でGPSを使ったアプリケーション開発に関わっていたので、同じくGPS技術を利用したシステムを手掛ける当社にひかれました。当社の主軸はゴルフカート管理システム開発なのですが、この分野で国内シェアトップの企業が新潟にあるとは知らなかったので驚きました。そのような環境で働けることはとても楽しみでした。
【Q. 現在の仕事内容を教えてください。】
今は、プロジェクトマネージャーとして、ゴルフ場に向けてのゴルフカート管理システムの開発から、開発後の動作試験・評価までを担当しています。活かせる知識や技術がある一方、新たに学ばなければならない技術や言語もあり、入社したばかりの頃は勉強が必要でした。当社は他に先駆けてGPS技術を取り入れたので豊富なノウハウを持ち、無線システムによって安定した通信状態を確保できるという強みがあるので、お客様からの信頼も厚く、やりがいを感じています。
仕事は社内作業がほとんどですが、時には、ゴルフ場に出掛けて動作試験に立ちあったり、先行リリースした製品を搭載してもらった時にはお客様から意見をいただいたりもします。
【Q. 今後の目標を教えてください。】
今はゴルフカートナビのソフト開発にだけ関わっていますが、当社ではソフトを搭載した製品を販売しているので、今後はハード面も見ていきたいです。ハードには容量やスペックの制限があるので、何をどう組み合わせるか、どこに何を搭載するか、予算や作業量まで幅広く見ていくのは、モノづくりとしておもしろそうだと思っています。
【Q. 趣味は祭りと伺いました。】
東京で働いていた時に、青森でねぶた祭を見たのが始まりです。観光客も参加できるというので、ハネト(踊り子)と一緒に踊ってみたら楽しくてはまりました。帰京してすぐに踊りの社会人サークルを探し、それからは週2回の練習、北海道から九州まで各地の祭りへの参加と、祭り三昧です。実は、Uターン後も続けています。新幹線なら2時間ですから、ほぼ毎週東京へ行って練習しています。去年結婚をしたので、家庭の幸せが優先で、最近はちょっと頻度が低くなっていますが、基本的には変わらないです。
【Q.Uターンして変化したことはありますか?】
Uターンして変わったとしたら、和太鼓が加わったことかな。もともと地元の旧巻町の祭りにも関わりたいという思いがあったので、今は和太鼓チームに参加しています。こちらは週2回、仕事終わりに練習に参加しています。太鼓の世界は奥深くて、まだまだ初心者ですが、祭りだけでなく、地元の学校にも演奏に出掛けます。子どもたちに祭りの面白さを知ってもらい、引き継いでもらえたらいいなと思っています。まさに自分がそうだったので。
【Q. Uターンを考えている方にメッセージをお願いします。】
Uターンの一番の良いところは、安心感が得られることだと思います。地元に戻って緊張がほどける「安心感」、年齢のこともあり、離れていると心配が募る祖父母や親にいつでも会える「安心感」など、ほっとすることが多いです。祖父母も私が顔を見せると喜んでくれ、野菜をどっさり持たせてくれます。Uターンして安心したのは自分だけでなかったんだなと実感しています。
新潟にいれば、東京は決して遠い場所ではありません。行こうと思えばいつでも行けるわけだから、「東京じゃないとできない」と何かをあきらめることもないと思います。そもそも「できない」のではなく、知らないだけかもしれませんよ。新潟で自分のキャリアがストレートに生かせることも、国内でトップシェアの会社があることも、Uターンするまで私は全く知りませんでした。帰って初めてわかったことは少なくありません。
新潟で安心してゆったりと暮らし、行きたいと思ったら東京へもどこへでも出かけていく。そういう暮らしを私は気に入っています。
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