2010.12.28 掲載
有限会社グリーンファーム清里 販売・総務・園芸担当
松本伊代さん
24歳 上越市
福島県福島市出身。宮城県の農業短期大学で、稲作、園芸、畜産など、1次産業を広く勉強する。短大を卒業後、「有限会社グリーンファーム清里」に就職するため、母親の実家でもある上越市清里区に移り住む。東京のNPOと協力し、同社で「国際援助米」の栽培を手掛ける。海外に米を寄付することで、夢だった「食を通じた国際貢献」を清里で実現している。
卒業後は、勉強したことを生かし国際的な仕事をしたいという気持ちがあり、海外で仕事をすることも視野に入れていました。しかし実践的な農業経験が自分には足りないと感じ、修行する意味も込めて国内で就職することを決めました。
新潟への就職は、母親が今の会社を紹介してくれたことがきっかけです。今の会社は、農業の中でもとりわけ稲作に力を入れているところでもあり、私が特に学びたい分野でもあったので、お世話になろうと決意しました。
清里地区にある約120ヘクタールの田んぼを管理して、米づくりをしています。従業員12名でそれだけの田んぼを管理するので、農繁期はとても大変です。私は主に春は田んぼの水管理、夏は草刈り、秋は収穫後の乾燥調整などの後工程作業を行っています。お米の収穫後には、野菜の収穫、真冬には除雪作業の請負もやっています。事務所には、直接お米を買いに来てくださる方もいらっしゃり、いつも賑やかです。
東京のNPOと協力して、海外に援助米を送る活動を行っています。毎年約1トン程度のお米をアフリカのマリ共和国というところに寄付をしています。清里に来た際に、同様の活動に取り組んでこられた方にお会いする機会があり「うちでもやりたい!」と、社長に直接交渉しました。社長は私の気持ちに理解を示してくれて、やりたいことをやらせてくれます。
私は昔から農業に強い関心がありました。幼いころ、貧困にあえぐ外国の子供と、食べ残しを廃棄する日本の姿を目の当たりにし、「私にできることはないだろうか」と漠然と意識していました。その頃から、「食」と「国際貢献」が、私の中のキーワードとなっていました。ずっと夢見てきた食を通した国際貢献を、この地域で実現できたことに感謝しています。
知らない土地に住むことになるので、友人ができるかどうかがとても不安でした。職場に同世代の方がいるとは思えませんでしたし、移住してからさびしい思いをするのではないかと心配していました。しかし地域の夏祭りで同世代の方と仲良くなったり、所属するボランティア団体の中でのつながりもあり、たくさんの友人に恵まれています。今では、週末に友人とアルビレックス新潟の試合を観戦するのが楽しみのひとつですね。
この地域に来てからは、本当に人の出会いに恵まれています。私の夢を語ることで、多くの方が協力してくださって、メディアへの出演、援助米の活動、毎日新聞の実施する「毎日農業記録賞」でも入賞することができました。これら全てが私に目をかけてくださった方がいてこそ実現できたことです。また、清里の夏まつりの主役に抜擢されたりと、地元の方からも受け入れてもらっています。
上越市は海と山に囲まれ、冬はウインタースポーツ、夏はマリンスポーツとバーベキューと、土地柄をいかした遊びが豊富だと思います。新潟に来てからは、学生のころよりも海で遊ぶようになりました。
※写真、左から2番目が松本さん。
新潟に来てから、私はお会いする方々に私の夢を語り、そのたびに人とのつながりが生まれ、夢を形にすることできました。新潟に来てからは、やはり夢は思い描くだけでなく、語るものだと感じています。また、地元じゃないからこそ何でもできるという気持ちもあるのかもしれませんね。自分の生まれ育った場所じゃ照れくさくて言えないことも、新潟では何でも言える。アウェイの土地で夢を叶えるのも面白いと思います。
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