2010.10.27 掲載
(財)山の暮らし再生機構 地域復興支援センター栃尾サテライト 地域復興支援員
杉崎 康太さん
27歳 長岡市
神奈川県出身。東京都内の大学及び大学院で都市計画を専攻。中でも中山間地における地域づくりをテーマに、在学中は全国各地の中山間地で地域づくりインターンを経験。卒業後、関東圏で発行されるフリーペーパーを発行している会社で働き、在学中の経験を仕事に生かしたいとの思いから、地域復興支援員になることを決意。住民の声に耳を傾け、地域の元気に貢献する。
学生時代に中山間地の地域づくりを専門に勉強をしていましたが、特に関心を持つきっかけとなったのが、地域づくりインターンとして熊本県小国町を訪れた時のことです。小国町は、若者が積極的にまちおこしに参加していて、とても活気のある町です。小国町の人々は地元を誇りに思っている。当時自分が住んでいた町とは対照的で、新鮮な感動を覚えるとともに、中山間での地域づくりに魅力を感じるようになりました。
卒業後は、地域づくりについてもっと深く学びたいという思いから大学院に進学しました。大学院に在学している間は、群馬県みなかみ町で地元の方たちと一緒に地域づくりを進めていました。ここでは、以前おもちゃ屋さんだった空き店舗を利用し、住民の居場所づくりを行っていました。この取り組みも更に地域づくりに関心をもつきっかけとなりました。
卒業後もこの経験を生かしたかったのですが、地域づくりを仕事にするなんて、私が学生の時にはなかなか出来ることではなく、サラリーマン生活を送っていました。そんな折、新潟で地震からの復興に取り組む先輩から、地域復興支援員のお話をいただきました。会社勤めを続けていても、地域づくりへの思いが消えることはなかったので今の職に就きました。
私の務める「地域復興支援センター」は、山里の魅力を暮らしに生かし、新しいまちづくりモデルを作ろうと設立された「財団法人山の暮らし再生機構」が設置しています。私は、栃尾サテライトの「地域復興支援員」として、このまちの地域づくりをお手伝いしています。住民のみなさんからニーズを聴き、このまちに誇りをもてるよう色んな仕掛けを施すことが仕事でしょうか。例えば 昨年からは、我々が地域づくりインターンを企画し、関東の学生を受け入れています。学生は、普段の暮らしからは想像できない田舎の営みに素直な感動を覚え、また住民との交流を通して栃尾に愛着を持つようになります。地元の方々は、そんな学生たちを見て、普段当たり前だった物事に目を向けるようになり、地域づくりに主体的に関わってくれるようになってきました。
関東からの移住には、さほど苦労はありませんでした。東京から高速バスで3時間ですし、それほどかしこまらなくていい。ただ、言葉の壁に苦労しました。当たり前ですが、皆さん、地元の方言で会話をします。栃尾に移住し始めた時は、会話のニュアンスをなんとなく判断するのがやっとでした(笑)だけど、まったく分からないわけではないので、すぐに慣れましたね。
新潟の天候は間違いなく他では味わえないですね。四季の変わり目をはっきり認識することができる。自然との関わりをすごく意識しながら生活できることは、魅力的なことだと思います。それから栃尾にインターンにきた学生たちは、自然よりも何よりも住民の方々の暖かさに魅力を感じるようです。インターンを終えても、毎月遊びにくる学生もいます。自然や歴史、そして人の温もりを感じることができる地域なのかもしれません。
休みの日は、栃尾を出て街中に出かけることが多いですが、地元の方と釣りに行くこともありますよ。夏は渓流釣り、冬になればウインタースポーツもある。住み始めたころは、毎日がレジャー感覚でしたね(笑)
関東からの移住であれば、あまりかしこまらずに挑戦できるのではないでしょうか。高速バスでも、栃尾周辺は東京から3時間とちょっとですし、距離的な問題はあまり感じません。関東に住む方の通勤時間と比べれば、意外と近く感じるのではないでしょうか。
この栃尾地域は、中越地震の影響により世帯数の減少が急激に加速しました。高齢化率も非常に高いです。地域の高齢化は、今後都市部でも深刻になってくると思います。これから社会に出ていく学生も、地域づくりインターンなどに気軽に参加していただき、栃尾の魅力を肌で感じてもらいたいですね。
このページをSNSで共有する