2008.02.07 掲載
株式会社 柳自動車
柳 卓人さん
31歳 朝日村
岩船郡朝日村生まれ。関東の大学を卒業し就職するも26歳で帰郷、実家の自動車工場に就職。腕を磨くために猛勉強する日々を送る傍ら、友人らと結成したクリエイト集団「1129(Double-one Twentynine)」で故郷にまつわるモノづくりにいそしむ1児の父。
高校の頃までは都会志向でした。田舎には何もないと思ってましたし。それで関東の大学に進学してそのまま一度就職したんですが、外に出たからこそ地元の良さに気づいたというか、いつかは新潟へ帰りたいという思いが次第に強くなっていったんです。それで26歳のとき、家業である自動車工場に就職を志願したところ、てっきり喜んでくれると思った両親に渋られて(笑)。車屋は各種の保険を扱うことから、まずは地元の保険会社で3年間修行することを条件に許してもらいました。
漠然とした不安はありましたけどそれほど心配はしてなかったですね。地元に戻れば仲間もいましたし。彼らと近況報告を交えながら色々と情報交換できたことは心強かったです。でも両親に就職の条件を出されてハローワークに行った際には、あまりに多くの人がいるので仕事がないのかと一瞬不安になりましたが、選り好みをしなければ仕事はたくさんあるんだと分かりました。
僕の場合「相談機関」の代表的な存在はやはり友人でした。それに今はインターネットが普及してますから特定のサイトを活用するというより、調べたいことがあればその都度ネットで調べていたという感じです。
生まれ育った小さな町ですから、慣れ親しんで知り尽くしていると思っていたのに、歴史や文化については殆ど知らないことに気づいたときは軽いショックを覚えました。それと自然。海、川、山、食。季節や時間の流れを感じるなんて、今までにはなかったことです。方言も楽しい。それらは全て魅力ですし「強み」とも言えます。今ではそんな村上の歴史と自然と方言をモチーフにしたTシャツやバッグを友人達とデザインし販売しています。でも商品販売が本来の目的ではなくて、それらは村上の「イイモノ発信」の媒体でしかないんです。要は自分達のルーツは地元なんだってことを伝えたくて。渦中にいると幸せや物の価値ってなかなか実感できないと思いますけど、媒体が変われば見る目も変わりますよね。今後を担う人達には少しでも素敵なモノを残していきたいし知って欲しいと思っています。
基本的には保険の営業をメインとしています。自動車保険だけかと思われがちですが、損保や生保も扱い、昨年からは代理店業務を任されるようになりました。
保険営業はライフコンサルティングの意味合いが強いので、お客様のニーズにどれだけ応えられるか、そして万一の時に「使える」ものであるかが非常に重要です。保険のしくみや他社の保険商品の内容なども常に勉強していかなければなりませんし、時代やニーズに応じて商品内容が頻繁に変わることもあるので結構大変です。でもお客様にご納得頂けて、笑顔で感謝されたりすると本当に嬉しいですね。営業はつくづく「人対人」なんだと実感する瞬間です。
一方、車の営業はまだまだ未熟。社長は成約までの時間がとにかく早く、「その車のどこが優れてるとかいう話はカタログを見ればいいだけだ。その車と生活することでどう生活が楽しくなるか、そこを話すんだ」と。その車で夢を語れるかどうか。そのビジョンを魅せる話術やスキルを早く習得して、人間としても大きくなりたいと思っています。
昼間は妻の実家へ行ったり娘と遊んだり。後は大抵「1129」のクリエイティブ活動の時間に充てています。みんな仕事を持つ身なので時間帯は決まって夜です。特に土曜の夜はよく集合して、次回のTシャツやフリーペーパーのデザインを企画制作したり。バンドもやってるので月1くらいでライブをやってます。また最近はなかなか行けないんですがサッカーの試合観戦も。「1129」のメンバーは全員サッカーと焼肉が大好きなんです。実は2003年にアルビがJ2優勝した際に「カルビレックス新潟」を発足させて、勝手にオフィシャルTシャツを作っちゃいまして(笑)。これが「1129」の前身なんですが、それをきっかけに“知ってるようで実は知らない”村上の「イイモノ発信」のデザインを始めました。今では村上を別の視点から探るための“探検”に出掛けることもあります。
手塚治虫先生の受け売りですが、「夢はふたつ以上持て」ですね。「人はひとつだけの夢につまづいた時、自分を追い込んでしまうが、ふたつ以上あれば他方の夢に進むだけだ」との意味です。そして僕は「バラ色の人生」よりも「今よりちょっとだけ楽しくなる生き方」がしたいと思っています。自分に課すハードルを高く設定しすぎずに。
もしも都会に出たいと思うなら出てみればいいし、戻りたいと思うなら戻ればいい。すると見えなかったことが見えてきたりする。悩んで進んで、悩んで進む。失敗したら、後悔せずに反省だけ。自分をあまり責めないでください。人生すべてが、正しい方向に進んでいるはずだから。
“僕らが生まれた小さなこの街。これから何を生み出そう。僕らを育ててくれたこの街で、いったい何ができるだろう。”この言葉を若い人たちへのエールとして送りたいと思います。
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