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ニイガタビト

歩きたいと思う商店街

2014.03.06 掲載

vol4

伊藤かおりさん

新発田市在住

vol4

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 1987年生まれ。新潟県関川村出身。学生時代は東京で4年間栄養学の勉強をし、卒業後はUターン就職。食品関連会社に1年半勤めて退職し、内野駅前のツルハシブックスで本屋修行をする。その後、2012年7月から新発田市駅前商店 街・まちカフェりんくの一角で、古本いと本の活動を開始しました。現在は古本販売の他にも、「本」を切り口に、人と人の間にコミュニケーションが生まれるイベントを企画している。

自分が歩きたい商店街は、どんな場所だろう?

 みなさん、自分が住む町に商店街はありますか?普段、そこを歩くことはありますか?歩いても、通勤・通学のためで、ほとんど立ち止まらない。車で通るだけ、という人も多いのではないでしょうか。
そもそも、自分が歩きたいと思う商店街は、どんな場所だろう?そう思いめぐらし、思いついたのが、町中のお店に小さな古本コーナーをつくるというアイディア。この春から少しずつですが、既にある商店街の素敵なお店とコラボしていきます。一体どんなコラボをするのか・・・をお話する前に、まずは私の活動拠点の新発田の商店街はどんな場所なのか、ご紹介することから始めます。

「昔はよかった」から「これからが楽しみ」な場所にしたい

  古本いと本として活動を始めて約2年。活動拠点は新発田の商店街です。前回の記事では、古本屋の気ままな日常について書きましたが、私は商店街にあるまちカフェりんくというカフェの一角の古本コーナーとして活動しています。ここで1日、本を整理したり、散歩途中に立ち寄ってくれる方とお喋りをしたりと、気ままな日常を送っています。しかし、平日でも休日でもそうなのですが、人通りは少なく、車はよく通るのですが、通りが賑わっている雰囲気は残念ながらありません。お客さんからはよく、「昔はあんなに人が歩く商店街だったのに。寂しくなったわ。」という話を聞きます。人がたくさん歩き賑わっていた頃の商店街を知らない私は、なかなか返答に困るのですが、それでも何かできることはないかと日々悶々としていました。
そんなある日、ハタと気づいたのです。「そういえば、私自身があまり商店街を歩いていないよな」と。もっと人が歩くようになればいいのに、と思う前に、自分がまず歩いてみよう。そう思い立ち、定休日にぶらりと散策へでかけました。

全長2キロの商店街を歩き回ってみた。

 軽めの鞄を肩からさげて、ちょっと寒い冬の日に黙々と歩いてみました。駅前商店街からスタートして、全長2キロのアーケード街を寄り道しながら歩くと、昔ながらのお菓子屋さんや喫茶店、八百屋さんや和菓子屋さん、カフェやギャラリーなどなど、気になるお店が目に付きます。商店街の一本脇道をはいると、新発田川という川が流れていて、川沿いを歩くとまた渋いお店がポツリポツリと。アンテナを張って歩けば、面白そうなお店はかなり目につきます。アーケードの下なら、雪でも雨でも関係なく歩ける環境。だけど、ふと立ち止まったり、店内に入るに至るかと言われると、ちょっと勇気が出ない。個人商店が多い昔ながらの商店街は、お店に入るにも敷居を感じてしまう。「常連さんだけ来るようなお店だったらどうしよう。」「入って何も買わないで出たら失礼かもしれないし・・・」なんていらない心配をしてしまって、結局入らずに通り過ぎてしまうことも。そんな経験、誰しもあるのではないでしょうか。
そこで、一歩立ち止まるキッカケがあったら、思わず人に話したくなるような意外な切り口があったらいいな。例えば、商店街にある色んなお店に合わせて、本を選んで置いてみたら、面白いよな。そんな風に思いながら、新発田のミニ散策は終了しました。

自分が歩きたくなる商店街は、こんな場所。

 散策を終えて感じたのは、立ち止まるキッカケや店主さんと話すキッカケがもっとあればいいのに、ということ。素敵なお店はあるけど、初めて来る人には一歩が踏み出しにくい。スケッチブックを机に広げて、どんな商店街なら歩きたくなるのか、ひたすら書き出してみました。

 そこで思いついたのが、街中が小さな古本屋になるというアイディア。例えば八百屋さんには、野菜にまつわる本や食のエッセイ、農業の本があったっていい。和菓子屋さんであれば、お茶の本や器の本、和菓子職人のエッセイがあっても面白そう。お店のテイストに合わせて、店主さんの想いを聞きながらそこにマッチする本を選びお店を引き立てる。普段は本が無い場所に、突然本が現れたら、面白いと思いませんか?「この本は一体なんですか?」なんて、店主さんに話しかけるキッカケにもなる。もちろん、そこに置かれている本は買うこともできて、古本と商店街のお店を両方楽しみながら、街歩きができたら―。

 そんな商店街になったら、思わずワクワクしませんか?そして、そんなイメージをしていたら、嬉しいことに今年の4月からまずは1店の雑貨屋さんとコラボをすることになりました。お店のスタッフさんと何回かお話して、お店の伝えたい想いを聞き、そこに並んでいる商品が引き立つような本を30冊程選書。4月からお店に並ぶ予定です。自分のできることは小さいことですが、まずは一歩前進。 商店街全体を活性化するなんて大きなことはできませんが、まずは最低限、自分が思わず歩きたくなるような仕掛けをしていけたらと思っています。

 今回でこのコラムの担当は最後ですが、これからも少しずつ出来ることから「本」を切り口に活動していきますので、今後もご期待ください!

◎こんな気ままな古本屋の日常は、ブログ「メモのすすめ」にて日々発信中です! イベント情報や、古本屋の日常、新発田のおすすめ情報もアップしているので、ぜひ読んでみて下さい!

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