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ニイガタビト

無駄な経験などひとつも無い

2013.08.14 掲載

vol2

恩田富太さん

長岡市在住

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 長岡市新組地区出身。親戚から譲り受けて読んだ司馬遼太郎の小説『峠』に、古里長岡が描かれていたことをきっかけに、遅咲きの郷土愛に目覚める。10年間の東京生活からUターンし、広告デザインなどの仕事の傍ら、御当地伝記マンガ『長谷川泰ものがたり』の制作に参加。
(参加市民活動)
・「郷土の偉人 長谷川泰を語る会」漫画班
・「千桜塾」(若者に向けた郷土史講座)塾長

古里の先人に共感して

「長男だから」というのを理由に、10年間の東京生活からやや諦めがちに長岡に帰郷する間際のことです。長く押入で寝かせていた司馬遼太郎の『峠』を、僕は気まぐれに手に取りました。はたしてそこには、江戸や西国への遊学を経て、長岡に戻り活躍した河井継之助の姿が生き生きと描かれていました。
その『峠』は、関東に住む親戚のご老人から贈られた上下巻です。すでにカバーも無く、黄褐色になるまで読み込まれた文庫本には、若き日に職を求めて上京したご老人からのメッセージが託されていたのかもしれません。

 物語には男心にとても共感するものがありましたし、古里への関心を得ることもできました。これが後に郷土史の市民活動を行うことの原点にもなりました。そのお礼を伝える前にご老人が亡くなられたのが、今でも心残りです。

災害と後悔

 在京当時から僕は広告デザインを仕事にしていましたが、長岡では当然仕事が少ないと承知しており、同職を続けることは諦めていました。しかし、東京表参道の「新潟館ネスパス」でUターン支援を受け、幸運にも長岡市の広告代理店に再就職を決めての帰郷となりました。
帰郷したのは、2004年の1月です。その年は夏に7.13水害、秋には中越地震という大変な災害の年になりました。僕の住む新組地区は水害で広く浸水しましたし、地震でも多くの家屋が被災しています。我が家も地震では半壊の憂き目に遭い、その時1週間ほどは車中泊を余儀なくされました。

 その翌年には、再就職した広告代理店を、災害後の家族の体調不良を理由に辞職することになりました。それからは、家業と広告デザインの外注スタッフという、二足の草鞋を始めます。
その後にも中越沖地震が続き、帰郷しての数年間というものは「何故こんな場所に帰ったのか」という後悔が拭えませんでした。決意の帰郷をしておきながら今思い返すと情けないのですが、心は相当に挫けてしまっていました。

妻と共に地域活動に参加

 そんな生活の中での心の支えは、遠距離で付き合いを続けていた現在の妻でした。彼女は昔から歴史が好きで、自費出版で歴史漫画を描いていました。昨今の言葉では「歴女」と呼ばれるような人です。結婚以前に数回長岡訪れているのですが、当時の僕にはちんぷんかんぷんだった長岡の歴史を、当地の住人よりも楽しんでいました。
彼女とは、僕の帰郷後5年を経て2009年に結婚。同じ頃、地元長岡市新組地区の活動団体「郷土の偉人 長谷川泰を語る会」では、知られざる偉人、長谷川泰を伝記漫画にする企画が立ち上がっていました。僕の妻はまさにうってつけの人材であり、その為の結婚かとご近所にからかわれたものでした。

 結婚、そしてそれと同時に始まった漫画作りで、僕は再び古里への関心を取り戻しました。この活動は、関東からわざわざ雪深い長岡に移住してくれた妻が、地域にとけ込むきっかけになる。そして漫画の主人公、長谷川泰は何と、僕が帰郷の際に共感したあの河井継之助を師と仰ぐ人物だったのです。僕の取材に掛けるモチベーションは、大変に強いものでした。

無駄な経験などひとつも無い

「デザイナーにとって無駄な経験などひとつも無い」。僕がデザイン専門学校から新卒で仕事に就いた時、師匠から頂いた言葉です。伝記漫画作りの1年間というものは、まさにその言葉が身に沁みるような経験を繰り返しました。各所への取材においては、災害後に会社という組織を離れて独り営業をした経験が活き、編集においては広告代理店時代の出版の知識が活き、装幀においては当然デザインの技術が活きます。

 どうせ人間は思う様には生きられないからと、惰性で働いていたような時期もありました。しかし、ともあれ続けることにはやがて意味が生まれるのかもしれない。例えば効率的な働き方も、楽しい生き方も、言わばその方法を「デザインする」ことによって生まれるのです。もしも、まるで異なる仕事を始めたとしても、今までのデザインがまた活きてくるのかもしれないという、あの時の師匠の言葉が再び心に響きます。
次回は、伝記漫画の出版を縁に広がった現在の活動について書かせて頂きます。

長岡市新組地区の「郷土の偉人 長谷川泰を語る会」のブログ

※御当地伝記マンガ「長谷川泰ものがたり」は、文信堂書店(長岡駅ビルCoCoLo内)などで販売しています。
TEL:0258-36-1360 ‎

長谷川泰先生と新組地区へのリンク

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