2013.07.23 掲載
地酒販売店「かじや」
宮崎文徳さん
上越市三和区出身の宮崎文徳さんは、高校卒業後、東京の専門学校で学び、都内のホテルに就職。5年間の勤務を経てUターンした後、実家である地酒販売店「かじや」の仕事に携わる中で、日本酒の魅力に気付きました。
その後、自らホームページを立ち上げ、「かじや」のネットショップを開始。平成24年には、「まさか!酒店」というネットショップも開設し、日本酒を中心としたオリジナル商品を開発、販売しています。
就職した都内のホテルでは、主に接客の経験を積み、一通り学んだと感じたところで上越にUターンしました。それからは実家で日本酒の販売などに携わっていましたが、次第に地酒の魅力に気付き始め、それをお客様に飲んでいただくことに喜びを感じるようになりました。
そのような時、地元の商工会の先輩から勧められたことがきっかけで、「かじや」のネットショップを開設することになりました。ネットショップの運営は初めてでしたが、商工会などで開催される講習会に参加することでスキルを身につけ、自らホームページを立ち上げました。
ネットショップによって、全国のお客様に新潟の日本酒を販売できるようになり、結果として店の売上向上にも繋がりました。一方で、他店との差別化や、新潟の日本酒業界の活性化のためには、既存の銘柄だけでなくオリジナル商品で勝負する必要があるとも感じました。そこで、平成24年秋にネットショップをもう一つ開設し、自ら開発した商品を販売することを決めました。
新たに開設したネットショップは、日本酒に“楽しさ”や“面白さ”を付加した商品を提供することで、お客様に笑顔になっていただくことを目指し、今までになかったことを行う酒店として「まさか!酒店」という店名にしました。
「まさか!酒店」の第一弾商品として、ペンギン型のダンボールクラフトの中に凍らせた吟醸酒を入れた、『ペン吟醸』を開発しました。ダンボールクラフトは、全国のネットショップのオーナーが集まる団体を通じて知り合った、大分県のメーカーに依頼して製造してもらっています。こだわった素材を使っているので値段は少し高めですが、ペンギンのクラフトを解体するとお酒が出てくるというサプライズ感のある商品なので、贈り物用として親しまれています。
その後も、「難を避け(酒)ます(枡)」というメッセージを込めた枡付きの奉献酒や、年賀状や感謝状、似顔絵をラベルにして貼った日本酒を開発しました。感謝状や似顔絵は、注文したお客様ご本人が作成したものをラベルにするので、贈り物として商品を受け取ったお客様には、大変感激していただいています。
また、雪だるま型のケースに上越の雪と日本酒を入れた、『雪だるま豪雪酒』という商品も販売しています。無事にお届けできるよう、詰める雪の量を調節するのに少し手間はかかりますが、身近な自然素材を活かしたこの商品は、雪の降らない地域のお客様から特に人気があります。
最近は、日本酒自体の販売が低迷していますが、他県の酒造会社が力を伸ばして一部で人気となっており、新潟の日本酒のブランド力が落ちているのではないかと感じます。特に20代の若者の日本酒離れが目立つので、若い世代に喜ばれるような意外性を付加することが、新潟の日本酒業界の活性化につながると考えています。
現代は、若者を中心にソーシャルメディアの活用が定着しているので、話題性のある商品であれば、それらの媒体を通じてお客様からも広めてもらえるのではないかと思っています。自分のアイディアを具体的に形にしていく中で壁を感じることもありますが、日本酒を通じてお客様の幸せに貢献するため、粘り強く開発を続けようと思います。
なお、開発する商品のほとんどは、上越市にある酒造会社の日本酒を使用しています。日本酒が美味しいというベースがあってこそ、切り口を変えた魅力の提案ができるので、最高に美味しい日本酒を使わせていただくと共に、地域同士のつながりも大切にしたいです。
商品開発においてはお客様の意見に耳を傾ける必要がありますが、希望通りの商品ではなく、お客様の期待を超えた魅力ある商品にできるよう、努めています。
また、日本酒の製造は酒米作りから始まるので、私も農家の田植えや稲刈りを手伝わせてもらうことがあります。日本酒は田んぼから生まれるということをお客様にも知っていただきたいので、今後は、酒米を育てている田んぼで田植えや稲刈りができるような、体験型のイベントも開催したいです。
これからも、新潟の日本酒業界を少しでも元気にできるよう知恵を絞り、人生をかける覚悟で取り組むつもりです。
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