2013.03.19 掲載
胎内市出身のまみやゆうきさんは、高校卒業後に数年間東京で生活した後、Uターンし、「文療(ぶんりょう)作家」として短編小説や童話の創作を始めました。
現在はイベント等で、お客さん一人一人のために言葉を書いて贈る活動を展開。「言葉で人を元気にしたい」という思いのもと、日々作品を書き下ろしています。
私はもともと音楽に興味があったので、高校卒業後は上京して、アルバイトをしながら音楽活動に励みました。
4年ほど東京で生活した後、Uターンし、就職をしたのですが、体調を崩してしまい1年半ほどで退職しました。その頃出会ったのが、詩人の相田みつをさんの作品です。相田さんの言葉に感銘を受け、言葉の力の偉大さを実感したこの体験から、私自身も言葉を使って表現することで、人を元気にしたいと思うようになりました。
その後、別の仕事に就きながら短編小説や童話を創作し、コンクールに応募したり、出版社に送ったりしました。作品を送った出版社の方から、「良い作品を書くには、外の世界に触れることが大事だ」とアドバイスをいただいたことがあったので、異業種交流会にも参加し、様々な分野で頑張っている同世代の人達と情報交換をするようにもなりました。
そのような活動を続けていたある時、結婚する友人のために仲間内で絵本を作成する機会があり、私は文の創作を担当しました。その作品を実際に結婚式で朗読したところ、多くの出席者の方から「とてもよかった」「感動した」という言葉をいただき、その場で「自分のことについても何か書いてほしい」と頼まれました。そこで、一人一人を見て思い浮かんだ言葉をポストカードに書き、ご本人達に渡したところ、大変喜んでもらうことができました。それがきっかけで、たまたま会場にいらしたイベント企画の仕事をしている方からも声を掛けていただき、今度開催するピアノコンサートのイベントで、お客さんのために作品を書いてほしいという依頼をいただきました。
ピアノコンサートのイベントを初めとして、その後も様々な方から依頼をいただき、お客さんのために作品を書く活動に励みました。活動の機会が増えるうちに「書くこと」への気持ちが強くなっていったので、職場を辞め、この活動に専念する決意をしました。
現在は、イベントに出向いて作品を書くほかに、出産祝いのメッセージやウェルカムボード、飲食店の看板文字の創作なども行っています。また、インドネシアのバリ島でも活動を行ったことがあります。海外でも、言葉を書くことはコミュニケーションのツールになり、作品を通して相手と打ち解けることができると実感しました。
言葉は、日常生活の中に自然と息づいているものだと私は考えているので、美術館に展示するような崇高な作品というよりは、受け取った人に素直に喜んでもらえる作品を書きたいと思っています。
また、言葉を贈るという行為は、その人の心をケアできる効果があるので、医療と通ずる面があると思います。この考えから、私は自らを「文療作家」と名乗り、言葉の力で人の心を癒やすことを原点に活動しています。「いかにその人が感動し、前向きになってくれるか」を第一に考えているため、たとえ報酬がなくても依頼があればどこへでも行き、作品を書いて渡しています。今まで出会った方々とのご縁によって、私は今の仕事ができるので、今後もあらゆるご縁を大切にしようと思っています。
実際に、作品をきっかけに「人生が変わった」「前向きな気持ちになった」という感想をお客さんからいただいた時に、この仕事をしていて本当に良かったと実感します。また、書き上げた作品を渡す瞬間にお客さんの表情を見て、私の伝えたいことが相手の心に届いたと実感した時にも、やりがいを感じます。
今後はさらに、人と接することが苦手な人や、精神的に不安定な状態にある人が、自分に自信を持って活動できる場も作りたいです。そのために、具体的に何をすれば良いのかはまだ分かりませんが、まずは私自身が色々な経験を積み、世の中に意見を発信できる存在になりたいです。
新潟は良い意味で、必要なものが程よく揃った「中途半端な都会」であり、「小さな東京」とも例えることができます。さらに、他の地方に比べて新幹線や高速バスなどの交通手段が発達しているので、首都圏まで短時間で移動できることも魅力です。
また、新潟には、モチベーションや能力に溢れ、様々な分野で頑張っている人が多いという印象も受けます。一方で、そのような人たちが交流し合う機会が少ないので、「点」となって独立している個々をつなぐことで、皆が今以上の力を発揮できる環境を作っていく必要があると感じます。特に今は、フェイスブックなど、インターネットで簡単に発言できる手段があるので、新潟の若者達もそのような手段をより活用し、自分自身や新潟の魅力を発信してほしいと思います。
「どこでチャレンジするか」よりも先に、「何のために、何をしたいのか」を考えることが大切だと思います。やりたいことが決まらないままでは、たとえ都会で生活したとしても何も得られませんし、反対にそれが決まっていれば、どこへ行っても挑戦はできると思います。
新潟は東京よりも田舎だから挑戦できる場はない、という訳ではなく、やる気次第でできることは沢山あります。特に、現在県外で学んだり、働いたりしている方々は、そこで培ったものを持ち帰り、ぜひ新潟に還元させてほしいと思っています。
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