2013.03.06 掲載
vol4
野本和香奈さん
長岡市
vol4
長岡市出身。県外の大学に進学し首都圏で就職。東日本大震災がきっかけでボランティアに目覚め、退職。現在、長岡市でNPO法人の立ち上げ、運営相談など地域のNPO活動を支えている。
私は新潟出身ですが、大学時代と社会人になってからの1年間を新潟県外で過ごしてきました。俗にいうUターン組です。ある一定期間、新潟から離れてよかったなと思うことは、新潟を外から見る「よそ者」体験ができたことだと思います。まちづくりの現場では、まちづくりを行うのは「若者・馬鹿者・よそ者」だとよく言われます。私も「よそ者」を体験したことで、新潟の良さに改めて気付くことができました。特に、都会ではなく地方だからこそできること―たとえば、ちょっと車を走らせれば素晴らしい景色を望める場所に行けたり、毎日地元のおいしいものを食べられたり、小さな単位の人間関係の中で人の温かさを感じられたり―そのような当たり前のことにありがたみを感じられようになったことは、私の「よそ者」体験の大きな収穫でした。
そんな「よそ者」体験を通して、新潟の良さに改めて気付いた私が、地域に貢献したいという思いを行動に表した結果が今の形―NPO法人で働くこと-でした。おそらく、地域に貢献するという形は公務員になる、地元企業に就職するなど様々あると思いますが、私はNPO法人を選びました。それは「地域社会に貢献するというミッション」に基づいて、一番やりたいことができるのがこの場所だと思ったからです。大変なこともありますが、おかげで自分の好きなこともやらせてもらい、やりがいのある仕事をしているなぁと日々感じています。今は、地域で活動するまちづくり団体や個人の方々を広く社会に発信することが、自分の使命だと思っています。
最近はまちづくりに関わる講演会や研修、地域の会合などで「若者」と接する機会も多くなりました。たとえば、土日のみ開講の農業体験スクールを開きたいという20代前半の女性や、里山保全活動を人々の就労の機会にさせたいと考えている30代前半の男性などです。彼らの話を聞くたびに、私もとてもわくわくします。それは、誰かのためにこの夢を実現させたいという思いが彼らの中にたくさん詰まっているから、そして彼らがキラキラした顔でその夢を話してくれるからだと思います。彼らを見て私も勇気をもらい、もっと頑張ろうという気持ちになります。
この1年間のコラムを通して、私自身も新潟で、そしてNPO法人で働くことの意義を改めて振り返ることができました。特にNPO法人で働くということは、まだまだ社会的に認知の低いものだと思います。今後も、新潟という小さな単位から少しずつ発信するということを大切にしていきたいと思います。
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