2013.02.13 掲載
vol4
原田義一さん
津南町
vol4
結婚を契機に津南町で農業を始めた原田義一さん。東京都練馬区から約3年前に移住。古民家に住み、家族3人、プラス犬という家族構成。炭素循環農法、自然農法、有機栽培を基本とした農園で、アスパラガス、豪雪ニンジン、大豆・小豆などの豆類、穀物、雑穀といった多品目を生産している。
今年の津南の積雪量は、僕が移り住んでから1番少ないです。屋根の雪下ろしもまだ5回程度で、今までの2桁を超える雪下ろしの回数に比べるとかなり落ち着いています。それでも2メートル前後の雪は、東京の家族や友達には驚きの量であることには変わりませんが。
僕の住む家は河岸段丘の中にあり、山の水が家の前に流れて来ます。これを有り難く利用させてもらい、雪消しに使っています。
津南は水の豊富な地域で、山の各集落は水を利用し、その水の流れで雪を消すことが多いです。その水の豊富さを利用し、水力発電も昔から行われていたと聞きました。そのため、我が家の前に流れている山水で小水力発電を試してみようと思っています。大きな電力ではなく、家で使う一部の電気をまかなえたら自分の中で何かが変わるのではないかと思い、今年の雪解けからはじめてみようかと思っています。
東日本大震災後、エネルギー問題が浮上し、今まで当たり前のように使っていた電気に大きな注目が集まるようになりました。原子力発電所の問題も、僕が初めて知った10年程前は「脱原発」などという言葉は無く、一部で騒がれていた問題でした。それが今、誰でも知っている言葉になりましたね。エネルギーの自給、僕個人にとっても大きなテーマです。
農業を始めたくて東京を離れ、畑を耕すうちに自給自足に憧れ、それに向かって進み始めて4年目。一つの大きな思いが生まれました。それは、新しい集落を作りたいという思いです。
この雪国では除雪という大きな壁がありますが、僕はこの夢は絶対にかなえたいと思っています。大きな地域で物事を変えて行くのではなく、小さな地域でコンパクトに変化して行く。それが今の世の中で、もっとも新しい事や古き良きものへシフトしやすい単位ではないのかと思っています。それを地球の恵みと共に楽しんでシフトし、自分の子供のずっと先までつないで行ける世の中を、ほんの小さなかたちでも良いから発見したい、そう願っています。
具体的にどのような取組をして行けば良いのかははっきりとしていませんが、畑を耕し、薪を割り、星を眺めて人を愛す。そしてそのシンプルなことを共感できる仲間が集まり、小さな規模でコミュニティーを作って行くことから始まるのではないのかと思います。
うまれた時からスイッチ一つで電気がつき、物に恵まれ、たいした不自由もなくここまで育って来た自分。クワを持って土を耕し、まさかりを持って薪を割り、カンジキで雪を踏みながら得た経験は、東京にいた頃の自分とは大きく変化したように思えます。子供が産まれ、もうじき2歳。たくましく育って行く我が子を見ながら、凛と胸を張り、自分の生き方を貫くことを改めて心に刻み、毎日を過ごして行こうと思います。
もし、山に住みたい、畑をしたい、たくさんのお金はいらないから自分のペースで生きて行きたいなど、土臭い生活を求めようと悩んでいる方、是非繋がってください。新しいこと、古き良きこと、一緒に楽しみながらはじめてみませんか?
4回にわたり、ニイゲットのコラムを投稿させて頂きました。下手くそな文章ではありましたが本当にありがとうございました。どこかでお会いしたら「はらやん!!」と声をかけてください。ひげボウボウで手ぬぐいかぶった姿で笑っていると思います。また愛(会い)ましょう!!
このページをSNSで共有する