2013.02.05 掲載
vol2
新潟市岩室観光施設 いわむろや勤務
小倉壮平さん
vol2
2002年の冬に、武蔵野美術大学の学生として岩室温泉に関わり9年。現在「新潟市岩室観光施設いわむろや」の館長として施設の管理運営、地域活動や岩室の観光に関する仕事をしている。
新潟に来てから学んだことはたくさんあります。社会人としてのキャリアが2年半ほどしかなかった自分にとって、岩室での1年目は、社会との接点が広がり、それまでの数年間とは比べものにならない社会勉強の日々になりました。
新潟での受入先は設立して間もないNPO法人でした。スタッフが少なかったこともあり、現場責任者として事務局長を任されました。そして、NPO法人による管理が決まっていた新潟市岩室観光施設いわむろやの初代館長という役職もいただくことになりました。観光施設いわむろやは、2010年4月1日に開館を控えた新しい施設で、期待を背負った箱舟でした。首を縦にも横にも振るまもなく重要な役職を担うことになったのですが、東京を出るときにそれなりの覚悟は決めてきましたから、岩室の方々に選んでいただいたのを自信と思うようにしていました。
非常に辛く大変な船出だったという思い出があります。開館2週間前に施設への立ち入りが可能になって、そこから観光案内スペースや売店などの館内の装飾から、各種保健所への申請、自動販売機の契約、出品業者との商談、取材、パート面接等々全てが流れ込んできました。そして、開館するだけで精一杯なのにオープニングイベントも控えており、開館3日前からはほとんど眠れず、この時の緊張感は思い出すだけでゾっとします。右も左も分からないまま、ただひたむきに目の前に起こることを解決していく日々でした。新しい仕事場へのやる気、周囲の期待、そういうものがモチベーションだったと思います。ゼロからイチにする大変さを学んだこの時の経験は、今でも支えになっています。
新潟(岩室)に来て驚いたのは、地域がどんなふうに今動いているのか、見てとることができるということ。行政と地域との関わり方にはじまり、いろんな職業の人が関わり合い、助け合いながら、小さな社会を動かしている様を身近に実感できました。そのため、こうしたら良くなるのではないかと地域のことを考えながら働くことができる、仕事と暮らしがすごく近いところにある、というのが今の仕事の魅力です。
今にして思えば、責任ある立場に身をおいたときにしかできない経験も多く、背中を押し、何も知らない若者に機会を与えてくれた岩室温泉には感謝しています。「社会を知り、人として成長できた」と思います。これは仕事でもって恩返ししていきたいですね。
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