2013.01.16 掲載
古本いと本(古書商)
伊藤かおりさん
24歳 新発田市
関川村出身。高校を卒業後、東京の大学で栄養士の勉強をする。大学3年生の時に、母から送ってもらった「新潟生活」を読み、新潟へのUターンを考える。新発田市の企業に1年7か月勤め、退職後、本屋として開業する。
小さいころから本が好きで、一人の時間を大切にしていました。その一方で、都会での一人暮らしへの憧れもあって、地元の高校を卒業後は、東京の大学に入りました。人との出会いや様々な情報に満ちている都会での生活はとても刺激的で、充実した日々を過ごすことができました。そんなある日、お盆に帰郷する道中、電車に揺られながら車窓から見る田園風景の緑に、とても穏やかな気分になり、幼かったころを思い出しました。卒業後は、新潟に戻ってみようかな?と思い始めたきっかけは、田舎の風景を新鮮に、そして、懐かしく感じたからだったように思います。
直接言われたことはありませんが、一人娘ということもあって、両親は、できれば新潟に帰って来てほしいと思っていたようで、ある時、「新潟生活」※を郵送で届けてくれました。新潟で就職先を見つけられるのか、悩んでいた時期で、考えを整理するために役に立ったように思います。WebサイトのniiGetへもアクセスして、Uターンをした先輩の情報を参考にしました。他県で勉強や修行をして、新潟に戻り、地域の魅力を再発見し、活き活きと仕事をする人たちを見て、前向きな気持ちになりました。また、SNSの新潟コミュニティに登録し、Uターンの就職活動をしているメンバーと知り合って、情報交換をする中で、新潟の良いところを確かめながら就職活動をすることができました。
※「新潟生活」:県の県民生活課が発行する情報誌。
その後、新発田市の食品メーカーに就職することができ、食物健康学科で勉強をしていたこともあり、第一希望だった開発部に配属が決まりました。新発田での一人暮らしの中、やりがいのある仕事に打ち込んで充実した日々を過ごしてはいたのですが、自宅と会社の往復の日々で視野が狭まり、もっと自分と違う働き方をしている人と交流したいという気持ちが芽生えました。仕事を続けながら、新潟市で行われている「朝活」への参加や、古本市での出店などを通して、多くの人と出会い刺激を受けました。自身でもイベントを主催したり、お手伝いをするうちに、本への関心が高まり、本を生業にすることを決心して、会社を退職しました。
新発田で生活する中で、商店街でお店を開きたいなぁと感じるようになり、退職後は、新潟市西区にある書店まで修行に通い、お店を始める準備をしました。そんな時に友人の紹介で、敬和学園大学が経営する「まちカフェ・りんく」内のまちカフェ・サロンの市民スタッフとして、古本コーナーを担当することとなりました。現在は、新発田の商店街を利用してくださる方々と、古本を通じてコミュニケーションすることで、様々な刺激や感動を得る毎日です。
新潟へUターンするにあたって、不安だったことは、知り合いや友人が少ないことでした。そのため、Uターン直後は、のんびり一人で新潟市のカフェめぐり、本屋さんめぐりを楽しんでいました。そうして、新潟で行われている「朝活」や「古本市」を知り、イベントに参加する中で面白い人たちと巡り合うことができました。都会では、競争が激しく、情報が溢れていて、何かをしたいというそれぞれの想いも、埋もれてしまいやすい面があると思います。都会よりも穏やかなムードの中で、顔の見える関係だからこそできる楽しい仕事や生活が、新潟にはあると思います。
■古本いと本は新発田市の駅前にある敬和学園大学「まちカフェりんく」内にあります。新潟県新発田市諏訪町1丁目3-21 電話 0254-24-6588
※店名の「いと本」の由来は2つ
1.あだ名が「いとぽん」だった。
2.「いと」=「糸」とかけて、人と本、人と人をつなぐ場所を創りたいという想い
から付けられたそうです。
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