2012.11.27 掲載
vol1
新潟市岩室観光施設 いわむろや勤務
小倉壮平さん
新潟市
vol1
2002年の冬に武蔵野美術大学の学生として岩室温泉に関わり9年。現在「新潟市岩室観光施設いわむろや」の館長として施設の管理運営、地域活動や岩室の観光について仕事をされている。
2010年3月に新潟市にある岩室温泉にきました。
岩室温泉は弥彦・多宝山の山裾にあるなんだかホッとする小さな温泉地です。東には越後平野、西には峠一つで日本海という多彩な自然も魅力です。そこで、観光施設の管理運営を中心に、地域活性や観光について仕事をしています。小さな地域だからこそ一人一人の存在感が大きく、都市とは違うところに仕事のやりがいを感じています。
東京出身の私が岩室温泉に出会ったのは2002年の冬。武蔵野美術大学在学中、「アートサイト岩室温泉*」というイベントのスタッフに参加したのが出会いでした。岩室温泉としても同大としても初の試みでありましたが、以来2年に一度のイベントとして定着し、さらに「いわむろのみらい創生プロジェクト(2006-2009)*」や「わらアート(2006-)」など共同事業が展開していきました。私は2度目のアートサイト岩室温泉にも参加し、それらが未来へのターニングポイントになっていきます。
*1)
「アートサイト岩室温泉」での経験を買われ、「いわむろのみらい創生プロジェクト」に専任職員として入職しました。岩室温泉を舞台にしてグランドデザインを学ぶというもので、学生らは岩室温泉のコンセプト、あり方、デザインなど、あらゆる角度から住民の方と意見を交わしました。今にして思えば、私はそれらの学生活動をサポートする担当という立場から岩室温泉を包括的に学ぶことができた、非常に大きな経験でした。
前述の「いわむろのみらい…」が終了し落ち着いたころ、今度は「観光施設の運営に力を貸してもらえないか」と声をかけていただきました。実際には行くと決めるまでは少し時間がいりました。何も専門的技術を持ってない私が、一体何ができるのだろうかとそこは本当に悩みました。
しかし、この9年の間に携わってきたことを振り返れば、学生の時に温かい賄いをつくってくれたばあちゃんたちの笑顔、グッと握手して迎えてくれた感触などたくさん思い出が浮かびあがりました。そこから、一緒に活動した仲間たちの思いを生かすには、自分しかできないこともあるのではと思うようになり決心しました。恩返しの気持ちもありました。
*2)
実際に働いてみると、「これやったら〇〇さん喜ぶかな」とか「〇〇さん、あれしたいって言ったな」とか、一人一人顔を浮かべながらの仕事になりました。岩室温泉に関わった学生が数百名いた中から私は稀なケースだと思いますが、誰かに頼りにされて仕事できること(それも一人ではなく地域の大勢のために)、それ以上に有り難いことはないと思っています。こういう地域に近い仕事があることに感謝し、日々楽しむよう心がけています。
*1)アートサイト岩室温泉は、同大の卒業制作作品を岩室温泉の旅館・ホテルに持ち込んで展示することを核としたイベントです。次回は、来年3月16日-24日にアートサイト岩室温泉2013開催。
*2)岩室温泉では、2005年に市町村合併で岩室村から新潟市となり、街路灯の立て替えや公園整備など数々のハード環境の整備が行われ、その目玉として2010年にオープンの観光複合施設(現:新潟市岩室観光施設)の建設がありました。
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