2012.11.01 掲載
新潟市中央区沼垂東にある「ISANA(イサナ)」は、家具屋と喫茶店の両方を営むお店です。お店を経営する中川雅之さん、なぎささん夫妻にお話を伺いました。
雅之さんは大阪府交野市出身。地元の高校を卒業後、新潟大学工学部に進学し、建築について学びました。大学を卒業してからはしばらく新潟に滞在した後、岐阜の飛騨高山にある家具作りの職業訓練校に入校し、1年間勉強しました。その後も奈良で2年間、京都で1年間家具作りの経験を積みました。
一方、なぎささんは新潟市北区出身。新潟大学教育学部を卒業後、メーカーの営業事務として1年半ほど勤務。その後会社を退職し、奈良で3年間染織の勉強に励みました。
関西にいる間にお二人はご結婚。2011年に新潟に戻り「ISANA」をオープンさせました。
「大学時代に私たちは新潟総おどりの立ち上げに関わった経験があり、活動を応援し、相談にのってくれる様々な方に出会いました。『若い人が頑張っているのに、私たち大人が協力しないわけにはいかない』と言って支援をしてくださる方も沢山いらっしゃいました。大阪や東京にもそのような方はいると思いますが、若者が何か行動を起こしたいと思うエネルギーに共感してくれる雰囲気を直接感じられるのは、新潟だからこそだと思います。」
大学で建築を学んだ後、家具職人の世界に飛び込んだ雅之さん。
「建築といえば、家づくりやまちづくりというイメージが強いかもしれません。しかし、規模の大小はありますがモノを組み立てながらつくるという意味では、家具をつくることも建築のひとつだと考えています。家具職人の道を選んだことに迷いが生じる時もありましたが、最近はやっと仕事の面白さが分かってきました。ですがまだまだ毎日が勉強です。」
一方なぎささんは、大学卒業当初は予想もしなかった染織の道へ進みました。
「最初に就職した会社で働いているうちに、自分が本当にしたいことは何なのかと真剣に考えるようになりました。そのような時期に偶然読んだ本に糸を染めている人の絵が載っていて、とてもきれいで感動しました。もともと布や糸が好きだったこともあり、やらないと後悔すると思い染織の勉強をすることを決めました。」
「新潟総おどりを経験したことで人とのつながりを強く感じたので、新潟でなら安心してお店を開けると思うようになりました。そのため、一旦新潟を離れるときも、自分たちのお店を開く場所は新潟にしようと決めていました。沼垂のこの場所には、知人の紹介を通じて出会いました。朝市場が行われていた歴史ある通りの雰囲気に惹かれ、お店を開くことに決めました。」
店内の家具は雅之さんが制作したもの。
「京都にいた頃、シェーカーというアメリカのスタイルの家具について学んだことから、シェーカー家具を置いています。」
喫茶を担当するのはなぎささん。
「奈良では染織の勉強の傍らカフェで働いていたので、その経験を活かしています。新潟に戻る際、最初は別の仕事をしながらお店のオープンを目指した方がよいのではと考えたこともありました。しかし、『いずれは』という中途半端な気持ちではいけないと思い、自分自身もお店に立って専念する決断をしました。」
「何か新しいことを始めたり、珍しいことに取り組むと、周囲の反応をダイレクトに感じられることが新潟のいいところです。『ISANA』を通じて周りの方々に興味を持ってもらえることがとても楽しいです。また、新潟のテレビ番組などでは知っている場所も多く取り上げられるので、とても身近に感じることができます。
大きすぎず小さすぎないまちだからこそ、このような面白さを感じられるのだと思います。」
「『ISANA』がオープンして、11月で1年が経ちます。お店の運営のリズムにやっと慣れてきたので、今後はより一層家具作りや染織に力を入れ、染織の作品もお店に置く予定です。
同じ思いを持つメンバーが増えればもっと楽しくなると思うので、いずれは一緒に働く仲間を増やしたいです。
それから、もっと経験を積んでお店が軌道に乗ってきたら、今度は自分たちが若者に頼りにされる存在になりたいです。私たちが学生の頃、惜しみなく協力してくださった方々のようになることを目指したいですね。」
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