2012.08.30 掲載
五十嵐三恵さんは、高校を卒業後、美容師を目指し、東京の専門学校へ進学。卒業後は、長岡市内の美容室に勤務し、のちに退社。その後、長岡市の精密装置開発・営業会社に就職し、多忙な毎日を送っていたが、観光で東京を訪れた際、偶然受けたタイ古式マッサージに衝撃を受け、自身で学ぶことを決意。
2006年には会社を退社し、タイで2ヶ月間修行。帰国後は、新潟市内のタイ古式マッサージ店に勤務し、2010年に長岡市内で『癒し処のんびり家』を立ち上げる。
「観光で東京を訪れた際に、偶然、タイ古式マッサージを受けたのがきっかけです。今までにないくらいリラックスできて、身体的にも高い効果を感じたので、カルチャーショックを受けました。東京から戻ってきたら、すぐに県内でタイ古式マッサージを学べる場所を調べ、新潟市内に見つけました。昔からマッサージを受けることが好きで、心のどこかでマッサージを仕事にしてみたいという思いもあったので、会社に勤務しながら学ぶことにしました。
その後、タイ古式マッサージを習得することができたのですが、私の中で、どうせなら、やはり、本場タイに行って修行をしたいという思いが強くなっていました。そこで、勤務している会社の社長に退社について相談したところ、社長から、『タイの修行から戻ってきたら、マッサージ店を別部門で立ち上げよう』という提案を頂き、そうであれば、会社を辞める必要もないと考え、そのつもりでタイに行く準備を進めました。元々、様々な分野の仕事を受注していたので、別部門でマッサージ店を立ち上げるという提案に、特に違和感はありませんでした。」
「いよいよ、準備も整い始め、タイへの出発が2週間後に迫った頃、中越地震が起こってしまいました。会社は直接の被害は大きくなかったものの、仕事の流れが変わってしまい、マッサージ店を立ち上げるどころではなくなり、その話は結局、立ち消えになってしまいました。それでも、私の中で、マッサージの道に進みたいという思いが強くなっていたので、最終的に会社を退社し、単身でタイに行き、2ヶ月間修行を積みました。
実際に行ってみると、現地には、タイ古式マッサージを学ぶため、世界各国から多くの人が集まっていました。タイ古式マッサージと言っても、チェンマイ式、バンコク式など、様々な種類があるのですが、一般的な特徴は、指圧とストレッチで全身をほぐし、循環をよくして自然治癒力を高めるというものです。身体が硬い人や運動不足の人にもお勧めのマッサージです。」
「帰国後は、事前に『帰国したら働かせてください』とお願いしていた、新潟市内のタイ古式マッサージ専門店で約4年間勤務しました。長岡市から毎日通いましたが、雪が多かった時以外は、それほど苦労を感じませんでした。仕事が休みの日には、長岡市で友人らにマッサージをしていたのですが、友人が、また友人を連れてきてくれるなど、口コミでお客さんが増えていきました。
2010年の9月に、現在の場所で念願の独立を果たしましたが、独立にあたっては、口コミでお客さんが増えていたこともあり、場所は長岡市内と決めていました。独立した当初は、経営としてうまく成り立っていくのか不安もありましたが、自分がやりたい事だったので、『ダメならアルバイトでも何でもやろう』と覚悟を決めていました。」
「一般的には、ほとんどが女性のお客さんというイメージかもしれませんが、当店のクライアントさんの男女比は、男性35%、女性65%の割合です。いつも心掛けていることは、来店した方にお楽になってもらい、笑顔で帰ってもらうことです。
何事もそうだと思いますが、一度、習得してしまえば、それでいいという訳ではありませんので、昨年も再び1ヶ月間タイに修行に行きましたし、今は、カイロプラティックを学ぶために柏崎市まで通っています。世の中は変化していくので、それに対応できるように自分自身が変化していくことも大切だと思っています。
また、開店してから、タイ古式マッサージを学びたいとお話をいただくこともありましたが、教えている余裕もなかったので、受け入れていませんでした。しかし、そろそろ、受け入れようかなと考えているところです。今後、店の数を増やす予定はないですが、教えた人が各地に出店して、広がってくれればと思っています。」
「新潟には、近所付き合いなど、人とのつながりがありますが、首都圏には大勢の中の孤独を感じます。タイでは、知らない人であっても、道端で目が合うとニコッ笑うので、特に首都圏で大勢の人が無表情で、誰とも目があわず電車に乗っている光景に怖さを感じます。
また、東京には、整備された人工の自然が多いのですが、新潟には、そのままの自然があります。すぐ近くにある里山で登山もできますし、田んぼの近くを走るだけで、とても癒されます。こうした豊かな自然環境があるので、首都圏と比べて時間的・精神的に余裕を持って生活できるのではないでしょうか。」
「まずは、本当にやりたいことは何かを考えてみることが大切です。私自身そうでしたが、やりたいことがあっても、例えば『お金がない』『仕事を辞めることができない』など、できない理由が先に浮かんでしまうと思います。しかし、そこで諦めるのではなく、できない理由をどうすればクリアできるか考えることで、道が開けると思います。行動に移すことで、物事のタイミングが合うようになり、うまく噛み合っていくのではないでしょうか。失敗したら確かに苦しいとは思いますが、それがいつまでも続くわけではありません。失敗しても、笑われてもやりたい事をやるという思いが大切です。」
このページをSNSで共有する