2011.08.23 掲載
佐渡地域の方と東京の学生との交流により「佐渡を元気にしよう」と活動を行っているNPO法人・地域自立ソフトウェア連携機構(MSCO)の高橋正視さん(東京工科大学兼任講師)をご紹介します。
新潟県十日町市生まれで、東京育ち。幼少の頃は夏休みになると、母親の実家のある佐渡の東海岸で毎年のように長期間過ごし、佐渡のすばらしい自然に触れて育ったとのこと。
高橋さんの専門分野は「計数工学」。東京大学工学部計数工学科を卒業された後は、通商産業省(現・経済産業省)に入省し電子計算機専門職としてシステム開発に従事したほか、国家試験の情報処理技術者試験も担当されていたとのこと。
30歳で通産省を退官した後は、都立高校の教師へ転身、数学を指導しながら、コンピューターを利用した教育システムを研究していました。
その後に40歳になってから、コンピューター教育ソフトを開発する会社を起業したという、大変ユニークな経歴の持ち主です。
高橋さんは、地域再生・自立の基盤としてのソフトウェア技術のあり方を探求し、これを開発・普及するための事業を行うためNPO法人「地域自立ソフトウェア連携機構(MSCO)」http://www.msco.jp/を、独立系ソフトハウスの仲間とともに立ち上げました。
MSCOが発足したのは平成15年(2003年)で、当時は全国に約3,300の地方自治体があり、平成の大合併が行われようとしている時期だったそうです。
MSCOは自治体、NPO、地域住民とのコラボレーションを行い、地域における住民サービスのための社会教育の推進、人材の育成及び地域に根付いた豊かな街づくりを推進することも目的として活動を続けています。
高橋さんは東京工科大学http://www.teu.ac.jp/の関係者の求めに応じて、同大学で「ボランティアの理論と実践」という講義を担当されていました(現在は「行政メディア論」を担当)。
平成19年(2007年)からは、毎年、夏休みを利用して東京工科大学の多くの学生とともに、トキの野生復帰の活動(休耕田をビオトープ(トキのえさ場)、トキの止まり木作り等)のため毎年来島しており、これまでに来島した学生は延べ200名を超えます。
学生は自分で旅費を捻出して佐渡に渡り、約1週間滞在するわけですが、野生復帰活動などを通じて、地元との交流を深める動きをする学生の姿が多く見られようになっています。このボランティア活動に参加すると大学の1単位を取得できるということが学生にとっても魅力的で、当初の参加動機はそこにあるという学生も確かにいるようですが、住民の方々が温かく歓迎してくれているし、トキが自然繁殖するかもしれないという期待感もあって、多くの大学生が満足して東京へ戻るそうです。
ボランティア活動に対して学生の意識は非常に高く、地域貢献、環境保全のほか、自分自身の成長、人生経験としてよいと捉えている学生が多いようです。学生たちはこのボランティア終了後、この経験を生かしたいと自分自身でメニューを組み、東北に泊まり込んで被災地支援活動をする学生や、佐渡でボランティアをする学生のチューター役を担う学生も出てきています。
また、学生だけでなく、受入先の地元住民も学生たちが農山村に入ってくることで、学生たちにノコギリの使い方を教えたり、農業への思いを伝えたりといつも以上に元気に作業をしています。いい意味でよそ者が入ることで、新鮮な視点でこれまでの地域や暮らしを見つめ直すことができるようです。
来春には「佐渡トキ検定」 http://www.sado-toki-kentei.comを「アンドロイド」の情報端末で実施予定とのこと。この検定は、例えば、東京の大学生と地元の方々とが、トキと佐渡に関する知識を共有することにより、地域間交流・世代間交流を深めることを当初の目的として企画されました。
トキ関連の活動の他にも、8月27日(土)に佐渡東海岸で開催される「岩首竹灯りの集い」http://iwakubi.d2.r-cms.jp/や、9月3日(土)の「第10回佐渡ジュニアトライアスロン大会」でのお手伝いを行います。
また、荒れ果てている上横山共有林を「どんぐりの森」に再生し、緑豊かな森林を後世代に引き継ぐ取り組みのお手伝いも地元の方々と一緒に行います。
(9月4日東京工科大学による間伐・下刈、ビオトープ整備)http://donguri.d2.r-cms.jp/。
このように、東京工科大学の学生やMSCOは積極的に地元・佐渡の方々と関わりながら地域をもり立てる取り組みを進めています。
今後は、佐渡以外の地域でもプログラムを考えているといいます。多くの学生さんが地域に入ることで、学生、地元の双方に新たな気づきが生まれることも考えられます。参加希望の学生が集まり、それを歓迎してくれる地域が現れれば、どこでも定期的に活動が継続できるでしょう。この活動に皆さんも参加してみませんか。
このページをSNSで共有する