2011.03.28 掲載
地域における人材、ノウハウ、施設、資金などを活用して地域コミュニティの活性化に寄与するビジネスが広がりを見せています。これらは地域で暮らす人のアイディアと熱意によって生まれるものともいえます。地域を豊かに、そして元気にするビジネスを創り出していきませんか。
4年前に村上市にUターンし、空き店舗を活用して村上市中央商店街振興組合がオープンしたカフェ&レストラン・マーノマーノで店長を務める竹内きょう子さんにお話をお聞きしました。
「マーノマーノは単に飲食を提供するだけでなく、地域の宝物を発掘し、地域と人をつなぐ役割を果たしたいと空き店舗を利用してオープンさせたお店です。カフェレストランのほか、ギャラリー、ファーマーズマーケット、クラフトカフェなどもやっています。観光地だけをクローズアップするのではなく、普通に村上にある魅力を引き出したいですね。行ってみたいと思わせる光るものがあるとお店の色が出て活気づきます。最近では岩船産の酒米を使った生パスタを開発し、村上風イタリアンを楽しんでもらっています。」
(竹内さんインタビュー続き)
「働くことは私のライフテーマです。自分たちが楽しまないといい接客やいい雰囲気は作れないと思います。もちろん仕事なのだから楽しいことばかりではありませんが、仕事は自己表現する舞台であり、自己実現できる場です。仕事を洋服に例えるなら、起業は窮屈な服を着るのではなく、オーダーメイドで好きなファッションを着ることができる場所といえますね。若い人の感覚も求められています。スマートでなくていいから、がむしゃらにやってほしいですね。一生懸命な姿は周囲に伝わり、理解してもらえます。とくに新潟は頑張っている人への手助けが大きい地域だと思います。いいと思ったらまず動いてみてください。やる前にあきらめてしまう人も多いけれど、やらない理由は言い訳にしかなりません。3ヶ月でもいいから実績を作って、多くの人に見てもらい、感じてもらい、味わってもらうことが大切です。大きな仕掛けを考えて動けないよりも、まずできることから実際に動いてみるといいですよ。」
次に平成21年7月にオープンした“まちの駅糸魚川ぷらっと”の駅長、五十嵐哲夫さんにお話をお聞きしました。
「「空き店舗で何かしたい。」と糸魚川市本町通り商店街振興組合の方たちと話し合いを重ね、これまでにありそうでなかった機能を持たせた、ひと・テーマ・まちをつなぐ交流拠点「まちの駅ぷらっと」をオープンさせました。駅長としてインフォメーション対応、商品販売、企画展実施のほか、外国人観光客へのツアー通訳などをしています。地域の方たち、そして糸魚川を訪れた方たちと触れ合い、糸魚川を元気にすることにやりがいを感じています。
自主自立していくためにオリジナルブランド第1弾として「ひすいウォーター」を開発しました。糸魚川ジオパークの一つ、小滝川ヒスイ峡のわき水を使った商品。こういった商品からも糸魚川をPRしていきたいですね。」
(五十嵐さんインタビュー続き)
「田舎だから何もないと思われるかもしれませんが、むしろ有りすぎると思います。海や山が近く、世界ジオパークに認定された美しい景観を四季を通じて楽しむことができます。食材は加工しなくてもおいしいものばかりですが、若い人たちの感性で糸魚川の食材を生かした創作料理を開発したらおもしろいと思います。最近では「糸魚川ブラック焼きそば」や「糸魚川南蛮エビ料理」のプロジェクトなどご当地グルメでも非常に盛り上がっています。新潟県は広いので、皆さんが活躍できる場が必ずあると思います。まずは情報収集をしてみてください。自分の人生ですので、楽しくするのも全て自分次第です。失敗を恐れず壁にぶち当たってみてください。肝心なのは失敗から何を学ぶかです。」
次に4年前に新潟へUターンし、農を多様な視点で捉え、農業界に新しい風を吹き込んでいる坂井涼子さんにお話をお聞きしました。
「直売所は基本的にその日に採れたものを販売しているので、鮮度がいいのは当たり前です。スーパーでも野菜は手に入りますが、あえて生産者と近い距離にある直売所へ足を運んでもらい、自分が口にするものがどんなところで作られているのか知ってもらいたいですね。食を知る、食を考える場所であってほしいと思っています。より身近に食を感じてもらうため、収穫体験、作り方教室なども開催。ここでしか買えないものもたくさんあります。野菜を買うだけじゃないプラスアルファが直売所にはあります。いかに野菜を魅力的なものだと思ってもらえるかを考え試行錯誤の日々。メディアへの情報発信のほか、野菜ソムリエの資格を取得し、野菜スイーツも研究中です。」
(坂井さんインタビュー続き)
「ゴールのない仕事なので根気も必要。毎年同じように栽培しても上手くいかないこともあります。そこで、これまでとは違った農作物の提供方法を考えて実践しています。旬の野菜のおいしさを知ってもらいたいこと、もったいないをなくしたいことから、ベジタブルランチという昼食レストランを月2回開催。これからの農家は生産するだけでなく、販売することや付加価値を加えたものを提供していくスタイルがあってもいいと思います。ベジタブルランチは私を含め女性就農者3人で結成した“農業女子”で始めた企画です。思いを形にできる仕事は楽しいですね。
トレンドやニーズを察知するのはもちろんですが、まずは自分の基準を信じてみてもいいと思います。直感でおもしろいと思うこと、自分自身が興味をもっていることにトライする。これからも多くの経験を積んで農業の可能性を広げていきたいです。」
雇われるという働き方を選ばず、自ら起業するスタイルもあります。新潟県の起業チャレンジ奨励事業を活用して起業されたお二人の方を紹介します。
(YU-SAY PLAN(ユウセイプラン)宮川雄一郎さんインタビュー)
「これまでCM製作、広告、販促企画等の仕事に携わってきましたが、いつかは独立したいと思い続けてきました。自分のライフプランを一段ずつ登ってきて、そろそろ起業したいと考えたときに県の奨励事業の話を聞き活用させてもらいました。起業すると大きな組織にいるより迅速に対応できたり、小回りの効く仕事ができたりするというメリットがあります。また、クライアント側に立ってアドバイスできたりすることも多い。何をやりたいのか明確な方は起業してみてもいいと思います。そこでの経験は自分の能力になりますし、経営感覚も身につきます。
新潟で起業する場合のポイントは、一つでもいいので確実な実績をつくること。そうすると信頼されますし、実力があれば仕事は広がっていきます。また起業には人脈づくりも重要。いろいろな業種の人の話を聞く機会があればどんどん参加して話を聞いてみてください。見識が広がるだけでなく、良いネットワークを築くことができます。」
(selfish moggie(セルフィッシュマギー)茂木美由紀さんインタビュー)
「新潟初のセルフ式ネイルサロン専門店を昨年8月にオープンさせました。6年前にUターンしてきましたが、自分のキャリアアップを常に考えていました。アルバイト時代が長かったので、まずは正社員になることを目標にし、その後、起業するため新潟商工会議所が主催する「創業塾」に参加しました。仕事は与えられるものではなく自分で創るものだと思っています。どうしたらお客さんに喜んでもらえるか、どうしたら双方が得をする関係でいられるのかを考え、アイディアを出してはそれをブラッシュアップさせてきました。
自分にはできないと簡単にあきらめるのではなく、できる理由、できる方法を考えてほしいですね。新規需要を探り、私にしかできないことを提供することで選ばれるお店になっていくと思います。好きなことを仕事にするとモチベーションは上がっていきますし、次々にやりたいことが浮かんできます。起業してからは夢中になれる日々を送り、毎日が充実しています。」
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