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ニイガタビト

海のある暮らし
- 海資源×人的資源で創出されるもの -

2010.08.03 掲載

 新潟県の海岸線は、佐渡島、粟島を含めると633キロメートルに達します。また、海水浴場の数も合計73か所あり、全国第2位を誇ります(平成20年7月現在)。
 新潟でマリンスポーツにチャレンジしている方々へのインタビューを通じて、海のある暮らしをお伝えします。

サーフィンの難しさを楽しむ

 風のない穏やかな夕方の聖籠町網代浜。夏は海水浴場としても賑わうこの場所で、仲間と一緒にサーフィンを楽しむ伊藤明さんにサーフィンの魅力についてお聞きしました。
 「友人に誘われたのがきっかけで、10 代の頃から始めました。新潟市西区五十嵐浜にサーフショップがあり、そこで道具を買って、スクールで教えてもらったところ、すっかりおもしろさにはまりましたね。サーフィンは見た目より上達するまですごく時間がかかります。でも逆にそれが楽しい。スノーボードやスケートボードもやっていたのですが、それらよりはるかに難しい分、技術を習得できた時の達成感は大きいですね。波の良い日は、1日に2回、仕事前と仕事の後に、海に来てサーフィンをしています。

新潟でサーフィン?

 「新潟でどうしてサーフィンなの?と思う方もいるかもしれません。日本海は荒れた海のイメージがありますよね。でも、意外と知られていないのですが、新潟の波は危険が少なく、初心者でも始めやすい。それに太平洋側と比べて干満の差が少なく安定しています。荒波というより逆に、波がある日が少なく、あるいは、風が強すぎて波が一定にならないことはあります。あとは、サーファーのためのシャワー施設の充実やサーフツーリズムが新潟にも取り入れられたら、もっとサーフィンの交流人口が増えると思います。」

海資源を大切に

 「海資源を大切にしたいという思いと、先輩たちがやっていた活動を自分たちもやりたいと思い、月1回、海岸清掃を行っています。日頃、サーフィンをしているエリアを中心に、友人やサーフショップのお客さんに呼びかけての清掃活動。新潟は一声かけると協力してくれる人がたくさんいます。サーフィンについても興味を持った人がいれば、いつでも教えたいと思っています。自分の技術を上げて、それを見てくれた人がサーフィンをやってみたくなるようにこれからも研鑚を積み、夢を与えていけたらいいですね。」

佐渡は大きすぎる島

 次に、佐渡の風土とシーカヤックに魅了され、今年1月に愛知県から佐渡島に移住した土門直幸さんにシーカヤックの魅力と佐渡へ移住した理由をお聞きしました。
 「佐渡にはサイクリングやトレッキングで何度か来島したことがありました。離島というには大き過ぎて、その広さと奥深さに感銘を受けました。すべて知り尽くすには、数回のトリップでは無理だなと思い、移住するに至りました。」

移住するに当たって

 「名古屋市でサラリーマンをしていましたが、ぼんやりと田舎暮らしをしてみたいなと思い、NPO法人等、各種団体が開催する農業体験を始め各種イベントに参加するようになりました。昨年度、佐渡のトキ野生復帰活動に参加した時のこと。地元の人にまた来てほしい、活動を手伝ってほしいと言われました。
 ただし、移住するには、集落の人に受け入れてもらえるのかと仕事先があるのかという2つの要素が心配でした。前者については、空き家を貸してもらえ、また、ありがたいことに集落の方々も行事などを通じて受け入れてくれました。後者については、新潟大学の朱鷺・自然再生学研究センターで、トキ野生復帰と生物多様性の研究のお手伝いをさせてもらえることになりました。佐渡は減農薬、無農薬田んぼも多く、また、トキの野生復帰に向けたビオトープ作りも行われています。私もキセン城等での作業を通じて今までに無い数の草刈りを経験させてもらいました。お陰で草刈りの技術は上達したと思います(笑)。」

車で5分走ればシーカヤックができます

 「現在借りている民家の納屋には、車のほか、シーカヤックを置いています。アウトドアが好きで、トレッキング、スキー、自転車を何年もやっていましたが、8年前にシーカヤックを始めてからは、若狭湾横断、能登半島や丹後半島一周などにチャレンジしました。いずれもアウトドアの本質的な部分に触れられ、自然相手に遊ぶというのは同じなのですが、シーカヤックは、自分にとって、「自然の脅威や感動があり、海を通じて自然に対する畏敬の念を感じる事が出来る遊び」だと思います。また、佐渡島は国内屈指のシーカヤックフィールドでもあると思っています。車を5分も走らせるとシーカヤックができる海岸に到着します。
 そして、家にいると、虫の声、鳥の声が聞こえてきます。地域の方々に受け入れて頂け、快適に過ごしています。強いて不便なところをあげるとすれば、名古屋で見られたプロ野球中継がないところくらいです。

終わりに

 様々なスポーツを体験した後にたどり着いたマリンスポーツ。自然相手で、海の波や風ひとつで状況が変わってきます。それが難しく、厳しくも達成感につながり、お二人にとってはすっかりライフワークの一つにもなっているようです。「そこに海があったから」というシンプルな理由で始めるのもいいと思います。新潟は、豊かな地域資源に恵まれた地域。この夏、大自然の中に身をおいて、自分だけのパワースポットを見つけてみませんか。

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