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ニイガタビト

アートを通して体感する越後妻有の暮らし
- 冬の芸術祭とサポーターたち -

2009.01.23 掲載

“食”をテーマとした「新潟デスティネーションキャンペーン」を始め、新潟県も舞台となる大河ドラマ「天地人」、45年ぶりに開催される「トキめき新潟国体」、広大な新潟の里山を舞台に、3年に1度開催されるアートの祭典「大地の芸術祭」・・・・2009年は、1年中まるごと新潟県をお楽しみいただける「大観光交流年」です。
今回は、7月~9月に開催される「大地の芸術祭 アートトリエンナーレ2009」の冬のミニ版「越後妻有2009冬」の見どころと、「大地の芸術祭」を“寝食”の面で支えているスタッフの活躍を紹介します。

今年も雪とアートのお祭りへ「越後妻有2009冬」

 日本有数の豪雪地「越後妻有」(十日町市、津南町)。11月下旬に雪が降り始め、3月までの約半年の間の営みは雪とともにあります。多いときで3mにも降り積もる雪、見渡す限りの雪景色・・・越後妻有の冬は、濃い緑が生い茂る夏とは対照的なモノクロームの景色と静けさがひろがります。雪によって多くのものが閉ざされるなか、培われてきた独特の文化や集落で行われる伝統行事、生活の知恵が暮らしのなかに今も息づいています。
 「越後妻有2009冬」はそんな妻有の冬と文化を、雪に挑むアート、小正月などの地元の伝統行事や昔ながらの遊びとともに紹介し、地元のみなさん、そしてアーティストやサポーターも加わって交流を楽しむ、冬を新たに彩るプログラムです。冬の越後妻有をいっしょに体験しませんか。

アーティスト、集落のみなさんといっしょに小正月

(1.18仙納集落の小正月 体験レポート)
木の枝を芯に、ワラやカヤ、ススキ、マメガラ等を積み上げて数メートルにもなる大きな歳神を作り、正月飾りなどと共に燃やして無病息災を祈る風習「サイノカミ」。この煙にあたり、火であぶったスルメやモチを食べると風邪を引かないなどの言い伝えがあります。小正月の行事として集落毎に行われてきたものの、過疎、高齢化が進む地域では、こうした小さな絆を確かめ合うような行事が消えていこうとしています。
越後妻有・大地の芸術祭に参加したアーティストの多くは、地域の方々との交流を通じて、この大地に脈々と流れている時の重さと人々の生きる力の強さと、他者をいたわる優しさあたたかさと、何かあってもまぁしょうがないさ、と笑ってやり過ごす大らかさを感じ、その豊かな感情を作品として表現してきました。芸術祭終了後も集落との交流が続いているアーティストやサポーターが多いのも、大地の芸術祭の特徴です。お年寄り世帯が増え子供の数が減った集落で、みんなが集まっての年初の行事をもう一度復活できたらいいね・・・そんな願いが、越後妻有のいくつかの集落では叶いはじめています。きらきら光る雪の輝きと白一色の世界、都会では忘れかけていた自然や土地を敬う小さなおまつりに感動するサポーターやアーティストと、集落の行事に受け入れて下さる地域の皆さんの笑顔。大地の芸術祭というアートイベントを通して生まれ育まれている人と人とがつながりあう力を、サイノカミの炎をみながら考えました。   スルメ、おいしかったなぁ。。。

越後妻有 雪アートプロジェクトその1

2月21日~22日
 日本有数の豪雪地・妻有の思い雪を素材に、トップアーティストたちが創りだす、ひとときの芸術を体験する2日間。「ミオンなかさと」と「まつだい・農舞台」の2会場に広がる雪原で、アートに加え、音楽そして雪上のパフォーマンスを展開します。バラエティ豊かなアート体験、アーティストや地域の方々との交流を楽しみましょう。
詳しくはホームページをご覧ください。
(問合せ:まつだい農舞台事務局 TEL 025-595-6310 FAX 025-595-6311)

主な作品
(アート)
「かき氷マウンテン」(富永敏博)
 雪山をつくってかき氷のように食べる・・・多くの人が小さいころ思い描いた夢が実現する?!ミオンなかさと前の真っ白な雪原に色とりどり、大小さまざまなかき氷マウンテンが出現。いっしょにかき氷の山をつくることもできます。
 会場:ミオンなかさと

「Kiss Snow 2009」(たほりつこ)
 雪のうえに全身を着地させて真っ白な雪にキスをする・・・そっと触れる雪の感触はどんなものでしょうか。ぜひ体験してみては。
 会場:まつだい・農舞台

「渡り鳥の風見鶏」(木村崇人)
 雪が降り積もる棚田の中に、軽快に動く渡り鳥をモチーフにした風見鶏の群れ。雪の上を走る、微妙な冷たい風の方向を、棚田の風見鶏を通して感じます。
 会場:まつだい・農舞台
  
「ワークショップ:雪と小枝で小さな巣穴をつくろう」(大久保英治)
動物たちが冬を越すためにつくる巣穴を、美術家・大久保英治といっしょにつくります。地元の方を案内人に里山を散策して、小枝や木の実を集めたら、巣穴づくりのワークショップがはじまります。
 日時:2月21日(土)10時30分農舞台ピロティ集合 14時30分終了予定
 *要事前予約

「夢の大ぞり」(新潟アート・ユニット)
地元で昔、山の木材を運びおろす際使われていた大ぞりが、昨冬復活しました。今年も皆でミオンなかさとの雪原をよいさよいさとそりを引っ張り、楽しみます。
 会場:ミオンなかさと

「雪原の風神・雷神」(新潟アート・ユニット)
ミオンなかさとの雪原に、奇妙な風神・雷神が舞います。少し変わった景色が生まれ、来場者のみなさんを楽しませてくれます。
 会場:ミオンなかさと

ほか、ミオンなかさとまつだい・農舞台で約15点の作品が展開します。

(その2へ続く)

越後妻有 雪アートプロジェクトその2

(その1からの続き)

(パフォーマンス)
「雪景ダンス『天空郵便』」(新井英夫/Gerry Morita/渋江美加)
 体奏家・新井秀夫とカナダ在住のダンサーGerry Moritaによるパフォーマンス。雪博士"として知られた物理学者・中谷宇吉郎の残した言葉「雪は天から送られた手紙である」から着想された雪上のダンスを披露します。2人のダンサーによる雪原をステージとしたダンスをお楽しみ下さい。
日時:2月21日(土)16:30開演 会場:まつだい農舞台 
鑑賞料:前売1,000円、当日1,500円(ホットドリンク付き)
※公演は約30分、屋外で行われます。充分に暖かい服装でお越し下さい。

(音楽)
 出演:サカキマンゴー(親指ピアニスト)
 アフリカの楽器・親指ピアノの可能性をさぐり続ける「親指ピアニスト」サカキマンゴー。雪の中で聴く、特別な音楽会です。暑い国で生まれた楽器を雪のかまくらで演奏するのは、世界を旅するサカキさんにとっても初めての試み!雪の中、優しい音色をお楽しみ下さい。
 日時:2月22日(日) 11:00、14:00(2回、各回30分程度予定)
 会場:ミオンなかさと
 鑑賞料 1,000円(ホットドリンク付き)各回先着30名
※公演は約30分、屋外で行われます。充分に暖かい服装でお越し下さい。

芸術祭を支えるサポーターたち

大地の芸術祭のシンボルマークには、6匹のヘビのイラストがデザインされています。越後妻有地域には、ヘビを神聖な生き物、守り神としてお祭りを行なう地域もあり、縁起がよいということと、脱皮しながら大きくなっていくヘビに、これからの地域の姿を重ねあわせたこのシンボルマークにちなんで、まだまだ未熟な上に、たくさんのことを学んで芸術祭を通して大きくなろうとしている自分たち自身は脱皮前のヘビ、「こへび」ではないか・・・こうした思いが、「大地の芸術祭」のサポートスタッフ「こへび隊」の名の由来です。
第1回目の芸術祭では、今のように地元に受け入れられておらず、各家々を回ってチラシ配りをしても、追い出されたり、怒鳴られたりして、泣きながら戻ってきたという話は有名です。茶髪にピアスの見慣れない若者が突然やってきて訳の分からないことを言えば、怪しまれるのも仕方ありません。学生たちは、怒られながら訪問するときの最低限のマナーを学んでいきました。
何が出来るか判らないけど、何かできるはず。そんな甘さと気楽さを持ったまま地域、集落に入っていった「こへび」たちに何がやれたのでしょう? 何も、満足にはやれませんでした。作品名などを示したサイン看板を設置しようと出掛けるにも、道具を何も持たず、ただ看板だけを抱えて。段取りとか手順なんて思いもつかなかったのです。途方に暮れていると、見かねた地元の人たちがハンマーを持ってきてくれて打ち付け、力のかかる方向にはゆるまず、簡単にほどける方法でひょいひょいと結んでくれたそうです。ありあまる体力で手伝いに行ったはずなのに、全く何もできず、80歳のおじいちゃん、おばあちゃんに絶対にかなわない自分を痛感しました。
失敗し、涙を流し、自分を見つめなおす。教えてくれて、受け入れてくれる地元の人たちに感謝する。どこかの誰か、ではなく、私とあなた。街に戻れば、記号化された大勢のなかの一人でしかない現実と、叱られながら怒られ呆れられながら、あんたがいると楽しいのぉ、と、じいちゃんがちょっとだけ笑ってくれる、ばあちゃんがきゅうりを山ほど分けてくれる時間。芸術祭の期間が終わっても、こへびたちの中には何度も妻有に通う者がでてきました。天気予報を見ては、世話になったおじいちゃんの家や田んぼ、畑を心配するようになる・・・ボランティアの範疇を超えた関係性が築かれてきたのです。
今では、「こへび」は若者だけではなく、毎週金曜の深夜にバスでやってきて、土・、日曜に芸術祭を見に来るお客様のガイドをやり、日曜深夜のバスで東京へ帰るというハードな日程をこなす年配の方も多くおられます。中山間地域は、都会から助けてもらうだけの地域ではありません。そこには無限の生きる知恵や自然との共生のノウハウが詰まっています。
過去3回の芸術祭の「こへび」として活動し、越後妻有の住民になったサポーターにインタビューしました。

誇りをもって食事の準備をしています

越後松之山 体験交流施設 三省ハウス管理人 飛田晶子さん(1)

 大学3年の時に友人に誘われて2000年の芸術祭の手伝いに来たのが最初です。卒業後もアルバイトをしながら大学に通い、こへび隊の活動をしていて、2003年の2回目の時にも来て芸術祭の事務局に入りました。
 スタッフのための宿舎と食事の担当になったのですが、作品に関わるとか、芸術祭らしいことをするのかと思っていたのに、毎日毎日食事の準備と片付けで、いったい何をしに来たんだろうと正直思いました。当時の私は、皆と一緒に芸術祭を作り上げている感覚が持てなかったのです。
00年はバラバラだった宿舎も情報の共有が難しいことなどから、03年・第2回の芸術祭では小学校の空き校舎1箇所になりました。でも、男性は体育館に布団を並べて寝たり、蛾が大発生するなど、数日だったら我慢できることも続いていけば体力的に無理が生じて、体調を崩した人もいました。芸術祭の裏舞台で、寝食の環境の大切さを知りました。
芸術祭が終わった後、東京へ戻って就職しました。編集の仕事だったのですが、なかなかうまく行かず暮らすだけで精一杯でした。中越地震の後、心配して電話したら逆に励ましてもらって、そばや山菜まで送ってもらいました。感激しちゃって、仕事をしながらでも今後も妻有と関わって行こうと思い、2005年からは、まつだい農舞台で取り組んでいる「棚田バンク」のサポーターとして、毎月妻有に通っていました。
そして、06年・3回目の芸術祭もサポーターとして参加しました。
閉校した小学校を改装して宿泊施設にすることになり、地元の人たちと一緒にそこを手伝うことになりました。ようやく全員がベッドで寝泊まりして食事ができるようになったので、スタッフに余裕が生まれ、体調を崩す人や事故などもかなり少なくなりました。それから、地震以降、大人のスタッフが大幅に増えたことも大きいですね。同年代だけだと一斉に行き詰まるんです。
 私自身としては、寝食をともにする環境の重要性がわかったので、誇りをもって食事の準備ができるようになりました。野菜刻みながら、「これも芸術祭の役に立ってるんだなぁ」って。

越後妻有式のライフスタイルが生まれてくればいいです

越後松之山 体験交流施設 三省ハウス管理人 飛田晶子さん(2)

 今は常勤でこの宿泊施設の予約管理、施設管理、食事の仕込みや人の手配などをやっています。地域の人たちは1か月で帰るだろうと思っていたみたいですが(笑)。近くの一軒家の2階を借りて住んでいます。
 これまで、賑やかなイベントの期間だけしか知らなかったんですが、冬の寂しさ厳しさは感じます、やっぱり家族で暮らすところですね。誰かが一日家にいて暖めてくれないと寒くて寒くて。このあたりではごく普通の雪が降っただけでも、私はどうしたらいいのかわからず、地域の人たちに助けてもらいました。ここでは、都会で忘れていた性差を大切にする暮らしがあります。投雪機(除雪機)は男の仕事、私にはさわらせてもらえません。女として扱われるんですよ、何でも男女平等だと教えられて育ったので、新鮮でした。机上の仕事だけだったら、きっと気づくことは無かったろうと思います。
それぞれに役割があって、得意不得意もある、っていうことなんですよね。
 冬囲いも芋掘りも神楽舞も都会の人にとっては、新鮮。みんなで汗をかいて身体を動かすことは、今求められているんだなぁと思います。一方、この施設は地域の人たちが通った小学校でしたから、明かりが点いているだけでも嬉しいと、みんなが応援してくれます。こうした廃校施設を活用して、地元の人も都会から来た人も得るものがあって、山間集落でも困らない暮らしができる壮大な実験ショールームになればいいかな、そこから越後妻有式のライフスタイルが生まれてくればいいなぁと思っています。
●宿泊(平成21年1月現在)
料 金:1泊2食付 大人5,250円 小学生3,780円 幼児3,150円
   :素泊まり  大人3,150円 小学生2,205円 幼児1,575円
食 事:夕食1,575円 小学生・幼児1,050円 朝食525円
● 受付案内窓口
まつだい農舞台事務局
Tel 025-595-6310/Fax 025-595-6311

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