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ニイガタビト

農業が身近にある豊かな暮らし
- 農業を始める、農業法人に就職する -

2008.12.26 掲載

昨今、食をめぐり様々な事件事故が起こり、「安全・安心な食」「地産地消」などに対する関心がとても高まっています。
また、農業は単に食料を生産する産業ではなく、「教育」「食文化」「環境」など地域社会全般に関わる重要な役割を果たしています。
食糧自給率ほぼ100%を誇る新潟県には、生産者と消費者の顔の見える関係があり、農業が身近にある豊かな暮らしがあります。
農のある新潟県で、将来の暮らしを考えてみませんか。

サラリーマン時代より毎日が充実して楽しいです(1)

タカツカ農園 高塚俊郎さん(新潟市秋葉区)

プロフィール
1999年、結婚と同時に利恵さんを連れ、10年間暮らした東京からUターン。2000年には父親から経営を引き継ぐ。水稲975a、果樹(柿、梨130a) 野菜(130a)、加工(ジャム、餅等)の複合経営を展開。新潟県エコファーマーの認証(160号)を受ける。妻の利恵さんは、東京都の文具店に生まれる。2子の母として子育てが主だが、経理と加工部門を担当し、ジャムを開発。

インタビュー
10代の頃は、とにかく東京に行きたくて、東京農大に進学し、卒業してからも東京で損害保険の仕事をするサラリーマンでした。仕事は面白かったし、稼げたので不満はなかったのですが、週末ごとにスキーやアウトドア生活をしているうちに、田舎暮らしもいいなと思ってきました。また、仕事で毎日残業続きのライフサイクルを経験し、子育てをする環境としては故郷新潟のほうがいいな~と考えるようになり、彼女(妻)を説得し新潟へUターンしました。
 帰ってきて農業を始めて、農家の長男のくせにトラクターにも乗ったことが無くて・・・1年目は見習いでしたが、驚くことに2年目に父親が「お前が全部やってみろ」と経営全てを任せてくれました。最近では、インドネシアでAPECの国際会議に参加させてもらったり、年に1回は、JICAの研修の講師で東京まで出向いています。現在は、40歳に向けて経営のスタイルを模索中ですが、サラリーマン時代より毎日が充実して楽しいです。((2)へつづく)

タカツカ農園へのリンク

サラリーマン時代より毎日が充実して楽しいです(2)

タカツカ農園 高塚俊郎さん(新潟市秋葉区)

インタビュー((1)からのつづき)
仕事以外では、農業を通じて自然や文化を考えてもらいたくて、学校に出張授業をしたり、異業種の人と連携し、人と自然が共生する資源循環型のコミュニティーをつくりたいと活動しています。今年は、地元の中学生の総合学習のサポートチームに参加し、プロジェクトアドベンチャーという手法を使って活動しながら、ツリーハウスを制作したりしました。
冬になればスキー場の情報を気にしながら果樹の剪定作業をしていて、コンディションのいい日は、スキー場に飛んでいっています。最高ですよ。

農業も仕事の選択肢として考えてほしいですね(1)

(有)農園ビギン 新谷梨恵子さん(小千谷市)

プロフィール
東京生まれ。子どもの頃から農業をやりたくて、高校は理数系を選択し東京農大へ進学。そこで出会ったご主人と結婚し実家の小千谷へ。ご主人の実家が農家でなかったため、小千谷市内の農業法人に就職。大学時代からの研究テーマであったサツマイモを使ったプリンを開発。夏は農業、冬は加工、農大の後輩たちの研修受入など、多忙な毎日を送る。

インタビュー
農園ビギンの社長さんが冬に出稼ぎしなくてもいいようにと、焼きいも用にさつまいもを作ったんです。それをお菓子にできないかと言われて、まんじゅうや羊羹などいろいろ試してみました。プリンが好評で、臨時職員から正職員にしてもらいました。それで、夏も仕事として農業ができるようになりました。今はスイカ、トマト、カリフラワー、メロンを作っています。コンバインにも乗れるんですよ。
土に触れる生活は子どもの頃からの夢でしたから、毎日楽しいです。楽(らく)ではないです。疲れますよ。でも充実感のある疲れなんです。どうしたらもっといいものができるか、毎日作物の顔を見ながら育てています。穫れすぎても捨てるのはイヤで、どう使おうか一生懸命考える、それが楽しいんです。((2)へつづく)

農業も仕事の選択肢として考えてほしいですね(2)

(有)農園ビギン 新谷梨恵子さん(小千谷市)

インタビュー((1)からつづき)
東京の実家へ帰った時、スーパーで何も買えなかったことがあります。普段、どれだけ新鮮なものを食べているか、旬の感覚というのもこちらでは実感できますよね。
大学の後輩たちの研修を受け入れています。研修以外でも悩みがあると訪ねてきてくれるんですよ。農業が好きな女の子も多いんですが、いざとなると迷うんですよ。私が楽しんでやっている姿を後輩たちにも子どもたちにも見せていくことで、農業を仕事の選択肢のひとつとして考えてもらいたいと願っています。
 大学時代、青年海外協力隊にも参加したんですが、何もできない、日本の農業についても何も知らない自分にぶつかりました。今は日本で一人前になりたいです。農家にはいろんな知恵が蓄積されていますし、大家族で暮らすのも楽しい。だから農家の長男でも自信をもって「家は農家だ」と言ってほしいですよね。

生きものの力を借りて農業をする(1)

(有)斎藤農園 斎藤真一郎さん(佐渡市)

プロフィール
佐渡市青木地区で水稲(15ha)、果樹(リンゴ、柿、桃等3ha)、イチゴ0.2haを栽培する(有)斎藤農園を経営。農家に生まれ、平成8年に農協を退職し農園を設立。「トキの田んぼを守る会」の代表として減農薬、無農薬・無化学肥料の米づくりや、冬に田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」を中心とした生きものと共存する農業を実践。

インタビュー
 長男だし、もともと農業はやりたかった。農協を辞めた頃、ようやく食の安全とか言われ始めていた時期で、農薬を減らして作ってみようと本を読んで勉強しました。周りに減農薬の栽培などをやっている人はほとんどいなかったから失敗もしましたよ。りんごを全滅させたこともあったし、柿の実を全部落としたこともありましたね。
 平成10年にトキが中国から贈られ、いずれトキが野生復帰される日が来るだろうということで、平成13年に7軒の農家で「減農薬栽培」に取り組み始めました。「ふゆみずたんぼ」など、いろいろ試してみたけど、トキ放鳥の今年、佐渡全島で環境に配慮した農業が実践され、先導した役割は果たせたかなと思ってます。((2)へつづく)

生きものの力を借りて農業をする(2)

(有)斎藤農園 斎藤真一郎さん(佐渡市)

インタビュー((1)からつづき)
生きもの調査をやってみると、以前に比べて多様化していることがわかります。生きものを大切にして生きものの力を借りて農業をすることが、トキにも人間にもいいことで、佐渡の農家だからそれが伝えていけるんですよ。
 それから、安全はもちろん、さらにおいしくなるようにしていきたいですね。有機に切り替えて土ができてくるまで3~4年かかりますから、これからですよ。
 「農」は楽しいけど、現実のところ「業」は簡単にはいきません。「業」になると、効率化とか製品管理とか、経済的なことを考えなければならないから難しいですね。でも「農」の部分は、人間の持っている能力の全てを使って生涯現役で楽しめる仕事。農をやって呆ける人はいないし、何があっても生きていけます。将来の食糧危機に備え、都会の人には、農家の友だちをもっている方がいいと言ってますよ(笑)

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