2012.09.21 掲載
vol2
井上裕香さん
vol2
大阪市出身。阪神・淡路大震災でボランティアを経験。2004年、中越地震の時に神戸でのボランティア仲間が、小千谷市にボランティア団体を立ち上げ、その団体の活動に参加。現在は見附市在住。看護師として高齢者施設に勤務しながら、東日本大震災被災地の復興支援のためのボランティア活動を行う「ボランティアネットにこにこ団」などの活動を行っている。
2012年10月5日から7日まで、新潟県見附市で、今年で5回目となる野外音楽フェスティバル「青空キャンプ」が開催されます。私が青空キャンプ実行委員会代表を務めさせていただいてから3回目の開催になります。関西から新潟に移住してきて驚いたことの一つに、地方都市である新潟の文化的な環境の貧しさと、豊かさです。
単館ロードショウの観られる映画館、コンサートホール、劇場、ライブハウスなどがいくつもあり、複数の情報誌でそのプログラムやアーティストが詳細にチェックできる。大型書店から専門書店などにも不自由しない。全国紙の新聞、雑誌、TVの情報のほとんどが身近な場所のもの。それが「日本では当たり前」の環境ではなく、「大都市とその近郊都市」に限られたものであることに、住んでみて初めて気付かされました。それを「不便」「つまらない」と思っていた状況に転機が訪れたのは、アフリカ音楽のライブを主催したことからでした。
関西の友人から、新潟でのアフリカ音楽のライブの開催に協力してくれないかという話が2007年の秋にありました。新潟ではなかなか好きなアフリカ音楽を聴く機会がなく、寂しい思いをしていたのですが、その時「そうか、なければ自分から作ればいいんだ」と思い、承諾。ライブは最後にはお客さん総立ちで踊る楽しいものとなりました。そこから、新潟で音楽イベントを通して繋がっている仲間とたくさんの出会いがありました。
2005年以前からの付き合いのある友人は1人もいないこの新潟ですが、こうやってniiGETに寄稿させていただくようになったのも音楽イベントを通して知り合った方を通じてですし、ボランティアネットワークにこにこ団でも、宮城県に一緒に行ってくれた仲間のほとんどが音楽イベントつながりです。
よそ者ながら、ほとんど成り行きで、といっていい状況でしたが青空キャンプの実行委員代表という大役も仰せつかることとなりました。
大きなホールや、大手の興行会社が仕切るイベントこそ少ないものの、というか、それらが少ないからこそ、地元に住む人々が、自分の好きなものを楽しむために行っているイベントが新潟にはたくさんあります。
大きなものでは、この9月2日に開催された三条市の「楽音祭」、10月に旧川口町で中越震災の追悼を主旨として開催される「Song Of The Earth」、毎年冬に開催される十日町の「豪雪JAM」、旧片貝町の「祭る」などですが、他にも素敵な定例イベントや単発のイベントが多数あります。
そして「青空キャンプ」。見附市にある大平森林公園という、見附市と三条市の市境にある低山に囲まれた、広葉樹林と赤松などに囲まれた里山を利用した自然公園を会場として行っています。
公園のキャンプ場にテントをはり、自然の中でコンサートやDJプレイ、エスニック雑貨や手作りの洋服、食べ物の屋台などを楽しむことができます。しかもこのイベントが入場料無料。
自分たちが企画・立案し、各方面の協力を仰ぎ、協賛してくれる個人や企業を集める。そして当日は自分たちもお祭りを思いっきり楽しむ。
イベントの成功を金額や動員数で測るのではなく、そこでできた繋がりや、共有した想いや楽しかった気持ちをさらに育てていく、地元に根差した成長型のイベントとでもいうべきお祭りが「青空キャンプ」だと思っています。
昨年は東日本大震災のボランティアブースを出したり、バイオディーゼル発電や太陽光発電なども活用し、その場、その時だけを楽しむのではなく、できるだけたくさんの人と楽しさを共有し、それができる世界が続いていくためにどうすればよいのかも一緒に考えていく場面も設けることができました。
人と人とのつながりの濃厚さは、こういったイベントを行う時には必要不可欠なものですが、日常では辟易させられてしまうこともしばしばです。交通の不便さなどは今もイラっとしてしまうことも、あるのですが、だからこそ広い駐車場や会場が市などの協力もいただきながら、確保できます。
新潟ならではの楽しみや可能性はこの連載でも書ききれないぐらいあると感じています。
記事中でも紹介されている、今年5回目となる野外音楽フェスティバル「青空キャンプ」が新潟県見附市の大平森林公園で開催されます。開催日は10月5日(金)が前夜祭。6日(土)・7日(日)に本祭が行われます。入場はライブ、キャンプすべて無料です。
主催:青空キャンプ実行委員会 後援:見附市
住所:「大平森林公園」 新潟県見附市内町1417-1
できるだけゴミをださない自然にやさしいお祭りを目指すという主旨から、マイカップ、マイ箸、マイ食器などご持参くださいとの事。ボランティアスタッフ、その他のお問い合せはイノウエさんへ。yukainoue1117@gmail.com (TEL/FAX 0258-84-7477)
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