【座談会参加者】
新潟県と学生U・Iターン就職促進に関する協定を締結する県外大学のキャリア支援ご担当者様
●大東文化大学 キャリアセンター事務室 Tさん
●金沢学院大学 就職支援部 Uさん
●神奈川工科大学 キャリア就職課 Aさん
大学のキャリア支援担当者の視点から、Uターン就職を考える学生を支えるご家族が、どのように就職活動をサポートすべきかをテーマに座談会を実施しました。変化する就活環境や、Uターン就活をめぐる動きと課題、そして家族だからこそできる適切なサポートについて紹介します。
前編では、大学のキャリア支援担当者の視点から、Uターン就活を取り巻く環境の変化や、キャリア支援の現場から見えてきた学生の状況について整理しました。
後編では、そうした変化の中で、ご家族がどのような心構えで就職活動に向き合えばよいのか、また、日々の関わりの中で意識したいポイントについて考えていきます。
前編はこちら▶https://niigatakurashi.com/niigata_u-turn_backnumber/109158/
【Q.近年の就職活動で課題だと感じることを教えてください。】
●金沢学院大学 Uさん
近年は、就職活動をエージェント任せにしている学生が増えている点に課題を感じています。どの業界でも人材不足が続き、売り手市場といわれる状況の中で、「なんとかなる」「誰かがなんとかしてくれる」と受け止めてしまっている学生が少なくありません。
本学では、まずエージェントの仕組みをきちんと伝えたうえで、就職活動の主体はあくまで自分自身であること、企業は自分で探すものだという点を指導しています。エージェントは企業と取引関係にある立場であり、必ずしも学生側だけに寄り添う存在ではないということを理解できていない学生も多いと感じています。
●神奈川工科大学 Aさん
本学でも、エージェントの利用方法について課題を感じています。メディアで目にする機会が多く、登録や利用のハードルが低いことから、深く考えずに利用してしまう学生が増えている印象です。
エージェントはあくまでビジネスとして成り立っているサービスであり、その点を学生自身が理解したうえで活用する必要があります。一方で、エージェントの普及に伴い、大学のキャリアセンターの利用は減少傾向にあります。私たちとしては、学生がより主体的に相談できる場として、キャリアセンターを知ってもらい、利用してもらう機会を増やしていくことが重要な役割だと考えています。
●大東文化大学 Tさん
学生自身のスケジュール管理は、大きな課題だと感じています。就職活動が本格化する大学3年生は、就職活動準備に加えて授業やインターンシップ、アルバイトなどで、日々忙しく過ごしています。
特に本学では、約半数の学生が奨学金を利用しており、返済を見据えてアルバイトに力を入れている学生も多いです。そうした忙しい状況の中で、限られた時間をどう使い、就職活動を進めていくかが重要になります。その点が、現在の就職活動における大きな課題だと考えています。
【Q.Uターン就職を希望する学生への支援で、どのような工夫が必要だと考えていますか?】
●大東文化大学 Tさん
近年は、地方と都心部の給与差が広がってきており、Uターン就職を選ぶメリットをより明確に伝える必要があると感じています。都心部では初任給が年々上昇している一方で、地方では同じスピードで追いつくのが難しいのが現状です。
そのため、単に「地元に戻る」という選択肢を示すだけではなく、Uターン就職だからこそ得られる働き方や暮らしの魅力を丁寧に伝えていくことが重要だと考えています。Uターンを希望する学生が納得感を持って進路を選べるよう、メリットをきちんと整理し、分かりやすく伝えていきたいですね。
【Q.印象に残っているご家族の関わり方を教えてください。】
●神奈川工科大学 Aさん
ご家族の過干渉によって、かえって学生が不安を強めてしまっているケースがあります。内定後に「親が納得してくれない」という相談を受けることも少なくありません。学生自身が希望して内定を得たにもかかわらず、ご家族の意向が理由で話が進まなくなってしまう状況は、やはり心苦しく感じます。
そのため本学では、ご家族の方に対しても、就職や就職活動について日頃から学生と早い段階でコミュニケーションを取っていただくことの大切さをお伝えしています。
●大東文化大学 Tさん
私自身が特に印象に残っているのは、親世代の価値観や経験がキャリア観に強く影響してしまっているケースです。そうした状況を防ぐため、本学ではご家族の方に対して、「自分たちの世代と今とでは就職環境が大きく異なる」という点を丁寧にお伝えし、その違いを理解したうえで学生と向き合っていただくようお話ししています。
ご家族も学生と一緒に学ぶ姿勢を持ち、過度に口出しをするのではなく、あたたかく見守っていただければと思います。
●金沢学院大学 Uさん
本学では、年に4回、保護者懇談の機会を設けていますが、そこで強く感じるのは、親子間のコミュニケーションが圧倒的に不足しているという点です。そのため学生には、まず親としっかり話し合ったうえで就職活動を進めるよう指導しています。
仮にご家族から「好きにしていいよ」と言われた場合でも、その言葉をそのまま受け取るのではなく、「自分はこう考えている」「このように進めたい」と自分の意思を改めて伝えたうえで行動するよう促しています。あえてそのプロセスを踏ませることで、親子のコミュニケーションを意識的に生み出すようにしています。
●インタビュアー
就活では、親や家族の意向を押し付けるよりも、世代の違いを理解しながら対話を重ね、学生が自分の意思を言葉にできる関係づくりが大切なんですね。
【Q.就職活動において、ご家族の方に意識してほしいことは何ですか。】
●大東文化大学 Tさん
まずは、世代間のギャップがあるということを認識していただきたいです。たとえば、以前は電機メーカーが安定しているといわれていましたが、現在はIT系の職種に人気が集まるなど、就職を取り巻く状況は大きく変わっています。
そのため、学生から就職について相談を受けた際に、最初から否定するのではなく、一度話を聞いてほしいと感じています。自分で考え、選択するプロセスこそが重要なので、どのような内容であってもまずは受け止め、意思を尊重したうえでアドバイスをしてあげてほしいですね。
●金沢学院大学 Uさん
Uターン就職を希望している学生は地元を離れて生活しているため、どうしても地元の情報に触れる機会が限られてしまいます。そのため、ご家族の方には、代わりに地元の情報を収集し、必要に応じて伝えてあげてほしいと考えています。
地元で開催されている就職イベントや説明会の情報は、離れていると意外と届きにくいものです。そうした情報を共有することは、ご家族としてできるUターン就活の大きなサポートの一つだと思いますので、ぜひ意識して取り組んでいただければうれしいです。
●神奈川工科大学 Aさん
就職活動は、学生自身が考え、選び取っていくことが何より大切です。そのため、ご家族の方には、まずは温かく見守っていただきたいと思います。
そして、どのような企業であっても、内定を得たときには、まずはしっかりと褒めてあげてほしいですね。そのうえで、必要に応じてアドバイスをする。そうした関わり方が、学生にとって大きな支えになるのではないかと感じています。
●インタビュアー
世代の違いを理解して否定せずに話を聞き、必要な情報をそっと補いながら、学生の選択を信じて見守ることがご家族に求められているんですね。
【Q.就職活動に取り組む学生へのエールをお願いします。】
●金沢学院大学 Uさん
就職活動は、多くの学生にとって初めての経験です。すべてを一人で抱え込まず、必要なときには周囲を頼ることも大切だと思います。そのために、私たちキャリアセンターがあります。
皆さんの話をしっかりと聞き、一緒に調べ、考えながら、就職活動をサポートしていきます。Uターン就職の場合は、実際にその地域にいないと分からないことや、すぐにはできないこともありますが、「今、自分にできることは何か」を考え、一つずつ行動していきましょう。
もし迷ったり、分からなくなったりしたときには、ぜひ気軽にキャリアセンターに相談してください。皆さんが納得のいく選択ができるよう、最後まで伴走します。
●神奈川工科大学 Aさん
就職活動は、自分自身と向き合う大切な時間です。周りと比べることに振り回されず、自分が何を大切にしたいのかという価値観を忘れないでほしいと思います。
Uターン就職を考える場合は、地元企業について徹底的にリサーチすることが欠かせません。できるだけ早い段階から情報を集めることが重要ですので、伴走者であるキャリアセンターを積極的に頼ってください。情報を集めたうえで、Uターンするかどうかを判断するという選択も、もちろん一つの答えです。一人で悩み続けるより、まずは相談してみること。その一歩が、納得のいく就職につながるはずです。
●大東文化大学 Tさん
情報があふれる時代だからこそ、正しい情報を見極めることが大切です。キャリアセンターがしっかりと把握していますので、いつでも気軽に話をしに来てください。
また、就職活動の早期化によって、心身ともに疲れてしまうこともあると思います。適度に息抜きをしながら、メリハリをつけて取り組んでほしいです。キャリアセンターはもちろん、ご家族の方々も含めて、皆さんを全面的にサポートしていきます。
●インタビュアー
就職活動は一人で抱え込むものではなく、キャリアセンターや周囲を頼りながら、自分の軸を大切に進めていけばいいんですね。
Uターン就職を含め、今の就職活動は早期化やオンライン化・情報過多などにより、学生一人ひとりが異なる状況で進んでいます。そうした中で大学キャリア支援センターが大切にしているのは、就職先を決めることではなく、学生が自分の言葉で考え、納得して選択できるよう伴走すること。距離のあるUターン就職においても、大学が情報と人をつなぐ役割を担い、学生の視野を広げる支援を行っています。
ご家族に求められているのは、過度に口を出すことでも、すべてを任せきりにすることでもありません。世代間の違いを理解し、意見を否定せずに話を聞き、必要な情報をそっと補いながら、学生の選択を信じて見守ることです。大学とご家族が同じ方向を向き、適切な距離感で寄り添うことこそが、学生にとっての「ちょうどよいサポート」につながっていきます。
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