【座談会参加者】
新潟県と学生U・Iターン就職促進に関する協定を締結する県外大学のキャリア支援ご担当者様
●大東文化大学 キャリアセンター事務室 Tさん
●金沢学院大学 就職支援部 Uさん
●神奈川工科大学 キャリア就職課 Aさん
これから就職活動が始まる学生を持つご家族の皆さまにとって、Uターン就職を含め、どのように就活を支援していくべきか、どのような関わり方が学生にとって納得のいく選択につながるのか、心配事は尽きないかもしれません。
そこで今回は、大学のキャリア支援担当者の視点から、Uターン就職を考える学生を支えるご家族が、どのように就職活動をサポートすべきかをテーマに座談会を実施しました。変化する就活環境や、Uターン就活をめぐる動きと課題、そして家族だからこそできる適切なサポートについて紹介します。
前編では、Uターン就活を取り巻く環境や、キャリア支援の現場から見えている学生の変化について整理します。就職活動をめぐる状況を整理しながら、ご家族が押さえておきたい前提について考えていきます。
【Q.まず、各大学で力を入れているキャリアサポートについて教えてください。】
●大東文化大学 Tさん
本学では、ファーストキャリアがその後のキャリア形成に大きく影響すると考え、新卒での就職支援に力を入れています。特に、大学1~2年生といった低学年のうちからキャリアについて考える機会を設けており、社会との接点を意識した課題解決型の授業なども取り入れています。早い段階から「働くこと」を自分ごととして捉えてもらうことが狙いです。
●金沢学院大学 Uさん
私たちは、就職活動において学生とご家族の関わり方が非常に重要だと考えています。本学では、月に2回、ご家族向けに「就活通信」を発信しています。ご家族の方にも就活環境の変化や学生の状況をリアルタイムで共有することで、家庭での関わり方やサポートの仕方を考えていただくきっかけになればと考えています。
●神奈川工科大学 Aさん
学生がキャリア相談をしやすい環境づくりとして、各学科に就職事務室を設置しているのが本学の特徴です。学生・教員・就職担当の距離が近く、日頃から情報を共有しながら、必要なタイミングで声をかけられる体制を整えています。一方で、キャリアセンターの存在を知らない、あるいは知っていても利用したことのない学生がまだ多いのも現状です。今後は、より身近な存在として感じてもらえるよう、工夫を重ねていきたいと考えています。
●インタビュアー
大学のキャリア支援センターは、就職先を決めるためではなく、学生が自分の軸を見つけ、納得して進路を選ぶために寄り添い続ける存在なんですね。
【Q.次に、Uターン就職ならではの支援や取組があれば教えてください。】
●大東文化大学 Tさん
Uターン就職では、学生が地元から離れている分、いかに情報を集められるかが大きなポイントになります。そのため本学では、Uターン希望者向けの就職ガイダンスへの参加を積極的に促すほか、各地域にあるUターン就職窓口との接点づくりにも力を入れています。
物理的な距離があることで、できることが限られてしまう面もありますが、その分、大学のキャリアセンターではさまざまなつながりやルートを活用して、学生一人ひとりが地元企業と出会えるよう取り組んでいます。
●インタビュアー
Uターン就職は距離の壁があるからこそ、大学キャリア支援センターなどのキャリア支援の方が学生と地元とのハブ的な役割を担うことで、情報と人をつなぐ支援の重要性がより一層高まっているということですね。
【Q.就職環境や学生の行動・意識の変化について、現場で感じていることを教えてください。】
●金沢学院大学 Uさん
本学では、就職活動を控える学生全員、約850名と個別に面談を行っていますが、年々、内定時期が早まっていると感じています。インターンシップ等から早期選考へ進み、そのまま内定に至るケースが増えているのが最近の傾向です。
ただし本学としては、就職活動のスタートはあくまで3月1日(政府や経団連が要請する新卒採用における広報活動の開始日)だと考えています。早期に結果が出たからといって、いわば“フライング”でゴールテープを切るのではなく、3月1日以降も自分の進路と丁寧に向き合いながら就職活動を続けるよう指導しています。
また、Uターン就職の場合、地元に戻って選考を受けることが難しいケースも少なくありません。そうした背景から、近年はオンラインでの選考が主流になってきていると感じています。
●神奈川工科大学 Aさん
本学でも、インターンシップ等を入口とした新卒採用の早期化を感じています。一方で、「情報が多すぎて何から手を付ければいいのかわからない」「スケジュールが早く、ついていけない」と戸惑う学生がいるのも事実です。
そうした状況を見ると、就職活動への向き合い方は、早い段階から動き出す学生と、ペースをつかめずに悩む学生とで、二極化が進んでいるように感じます。
●大東文化大学 Tさん
本学でも、学生一人ひとりの動きが多様化し、いわば「いつでも就活」といえる状態になっていると感じています。中には、大学1~2年生のうちからインターンシップ等への参加を希望するような学生もいます。キャリアセンターでは、多様化が進む学生ひとりひとりの希望に沿って、柔軟に支援を行っています。
また、エントリーシートの作成や面接対策にAIを活用する学生も増えてきています。企業側もそうした状況を前提に、面接の場でプロンプトの内容を確認するなど、AIの使い方そのものを尋ねることで本人の意思を問うケースが増えている印象です。
中には、書類は非常によくできているものの、面接になると自分の言葉で語れず、うまく伝えきれない学生もいます。そのため本学では、AIを活用しつつも「自分の想い」であることが何より重要だと伝えながら、そうしたギャップが生まれないような支援に力を入れています。
【Q.Uターン就職を考える学生の就活で、印象的な事例はありますか?】
●神奈川工科大学 Aさん
Uターン就職をうまく進めている学生には、いくつか共通点があります。その一つが、「なぜ地元に戻って働きたいのか」を自分の言葉で説明できることです。なんとなく就職活動を進めているのではなく、事前にしっかりと情報収集を行い、地域や企業の現場を理解したうえで行動している学生が多いと感じます。
●大東文化大学 Tさん
私たちの実感としても、地元について丁寧にリサーチできている学生ほど、優良企業に出会えていると感じています。地元の産業や企業を表面的に調べるのではなく、背景や現場まで掘り下げている学生ほど、自分に合った企業に出会えているのが実情だと思います。
調べる過程で視野が広がり、自分が何を大切にしたいのかも徐々に明確になります。そうした積み重ねが、結果として納得のいく就職につながっていると考えています。
●金沢学院大学 Uさん
本学でもリサーチの重要性を強く感じており、大学1~2年生の段階から業界研究会を開催しています。企業を個別に調べる前に、まずは業界全体を理解したうえで、興味のある分野を絞り込み、そのうえで、新潟のその業界にどのような企業があるのかを調べるよう指導しています。
金沢にいながらでも、Uターン就職に向けた情報収集や就活の本格化に向けた準備として取り組めることは多くあります。そうした行動を後押ししながら、Uターン就職に向けた準備を早い段階から進められるよう支援しています。
●インタビュアー
Uターン就職をうまく進めている学生ほど、「なぜ地元で働きたいのか」を自分の言葉で語れるようになるまで丁寧に調べ、キャリア支援センターでもそのプロセスを早い段階から支えているんですね。
【Q.事例を踏まえたうえで、学生は今後どのような行動が求められますか?】
●神奈川工科大学 Aさん
何より大切なのは、自分から動く主体性です。誰かに言われてから行動している癖がつくと、例えば企業の採用情報を知った時にはすでに応募期間が終わっていた、ということも起こり得ます。リサーチに取り組むこと、説明会やインターンシップ等に参加することなど、就職活動のあらゆる場面で主体的な姿勢が求められています。
【Q.キャリアセンターではどのようなリサーチ方法をおすすめしていますか?】
●金沢学院大学 Uさん
インターネットやSNSなどを通じて多くの情報が得られる一方で、情報量が多すぎて取捨選択が難しくなっているのも現状です。そうした中では、学内のキャリアセンターや、にいがた暮らし・しごと支援センターなどを活用し、対面で話を聞きながら情報を整理していく方法も有効だと考えています。
●インタビュアー
情報があふれる中だからこそ、学生自身が主体的に動き、キャリアセンターなど身近な相談先を活用しながら情報を整理していくことが、これからの就活には欠かせないですね。
【Q.どのような姿勢や価値観の学生が評価されていると感じますか?】
●大東文化大学 T様
評価されるポイントはさまざまですが、チームで動ける学生は特に高く評価されていると感じます。なかでも、チームの中で自分がどのような役割を担ってきたのかを具体的に伝えられる学生は、企業から必要とされる場面が多いです。
また、大企業に就職している学生を見ていると、語学力を身につけている人が多い印象です。ただし、語学力に限らず、これまで多様な価値観に触れてきた経験そのものが、就職活動において大きな強みになっていると感じています。
●金沢学院大学 Uさん
本学の事例を見ていると、特別なスキルがなくても、就職活動をうまく進めている学生は多くいます。スキルの有無よりも、素直さや真面目さ、物事にコツコツと取り組める姿勢が、その後の成長につながると期待され、評価されていると感じています。
●インタビュアー
特別なスキルよりも、チームでの経験や向き合う姿勢が、いまの就活では評価されているんですね。
前編では、Uターン就活を含む現在の就職活動を取り巻く環境や、キャリア支援の現場から見えている学生の変化について整理してきました。
では、実際に就職活動の現場を見ている立場からは、ご家族の関わり方はどのように映っているのでしょうか。
後編では、Uターン就活に向き合う学生を支えるうえで、ご家族が意識したい心構えや、日々の声かけのヒントについて、具体的な視点から掘り下げていきます。
このページをSNSで共有する