2008.01.11 掲載
座談会:就・転職支援企業担当者が語る
池田 泰秋さん(新潟県中小企業家同友会事務局長)会は創立25年、共同求人活動は20年を迎える、全国4万名、新潟県内では500名の中小企業の経営者が会員。
西嶋 弘重さん(株式会社広報しえん常務取締役)ウェブ「にいがた就職応援団ナビ」、「にいがた就職応援団キャリア」を管理運営。合同企業説明会などを新潟、首都圏で実施。
三本さやかさん(株式会社リクルート新潟支店プランナー)県央エリア、新潟市内の企業を120社ほど担当している。ご自身も第2新卒、Uターン経験者。
□近年、求人倍率が高くなり企業にとって採用は厳しい状態になっていると聞きますが、第2新卒の求人はいかがでしょうか?
池田:2006年8月過ぎから、求人を出しても人が来なくなったと会員から聞くようになりました。新卒を採れない企業が既卒者を採用するようになって、各社とも人材確保に苦労しています。特に機械・製造・電気などの業界では若い人へ技術を伝えなければならないので深刻な問題です。
三本:新潟県では 20代を対象とした求人ニーズはたくさんありますが、「第2新卒」で明確に打ち出している求人はしていないという印象を受けます。当社では2007年1月より第2新卒を対象とした「リクナビNEXT 第二新卒」を転職サイト「リクナビNEXT」内に開設致しました。転職サイト「リクナビNEXT」では、現在、転職希望登録会員数200万人を超える方から登録いただいています。しかし、北信越の方はそのうち3%と、6万人ほどにとどまっております。
西嶋:企業側の第2新卒のニーズはあるのですが、どこに対象者がいるのかがわからなくなっています。新卒だと大学を通じて広報しますが、第2新卒は対象が広いこともあり情報が伝え切れていない感じはします。
池田:これまで新卒者対象としていた合同企業説明会を今年は既卒者も対象として「にいがたJOBWEY」を開催しましたが、盛況でした。新潟で正社員として働きたい人は多いし、親御さんからの問い合わせもありました。
三本:近年は、転職についてマイナスイメージは少なくなってきましたから、第2新卒は受け入れられると思いますよ。
池田:企業が採用できなくなったのは雇用情勢が変わってきたということもあります。求人のフリーペーパーの増加で、求人情報がどんどん出てきたので、「いつでも就職できる」けれど派遣社員やアルバイトばかりで「希望する会社がない」という印象を若者が持っているのではないでしょうか。
西嶋:企業姿勢は即戦力の採用です。ただ、第2新卒のニーズも高く、経験よりも可能性で採用する企業が増えています。
三本:やってきた技術というよりも、社会人としての経験は評価のポイントになると思います。
池田:技術とか能力はわからない部分が多いので社会経験を重視すると思います。しかし、前職を「辞めた」理由は聞かれると思います。
西嶋:Uターンという転職理由は良いですね。その目的が達成すれば仕事を頑張りますから、企業側もできればUターンの方を採用したいと思っています。
□戻ってきて欲しいと思っている親御さんにとっては、今がチャンスだと思いましたが、就職情報をどのように得たらいいのか、本人・親御さんの心得やノウハウなどありますか。
また、転職してUターンとなると年収などの問題がいろいろあると思いますが。
西嶋:今はネットの時代ですから、転職情報は調べればたくさんあります。問題は情報を入手した後で本人が行動するかどうかにあると思います。親御さんは、なぜ戻ってきてもらいたいか本人に明確に伝え、地元情報として求人や地域の情報を伝えてあげると良いかも知れませんね。ただ転職は本人がまず行動することが重要です。
三本:私自身、カナダから新潟の就職情報をネット検索した経験があります。やる気があれば、情報は取れる。行動を起こす際に、いきなり会社訪問は大変でしょうから、合同企業説明などを上手に活用するのもいいのでは。既卒の人でも新潟の企業を知るという目的で、新卒対象の説明会に足を運ぶのもいいと思います。また、そういった主体性を評価してくれる会社は多いと思います。
西嶋:年収もそうですが、勤務地や転職時期、仕事内容で折り合わないということも多々あります。転職条件がすべてかなう人は少ないです。転職において何が重要なのかしっかり考えて活動すると良いとも思います。
池田:Uターンして実家に帰るとなると家賃がいらないですし、年収だけでなく生活費トータルで考えてほしいですね。
三本:当社では広告の部分で、勤務地の近くの平均家賃や食費などを暮らしの情報として出したりして、職場の周辺環境を想像できるように努力しています。
池田:東京でも契約社員やフリーターですと平均で年収200万円以下だと思います。しかしそれが新潟で正職員になると年収300?400万円に増えるわけです。中小企業がたくさんある新潟県では、U・Iターンして、再チャレンジが可能だと思いますよ。
三本:「就農」といった選択肢も、新潟なら可能な働き方だと思います。
西嶋:進学の際は親御さんと相談して進路を決めた方が多いと思います。就職に関して事後報告が多いと聞きます。社会人になるとどうしても親御さんと話をする機会が減ります。Uターンや転職を考えたときくらいは親御さんに相談して将来のことを話し合っても良いと思います。
三本:自分がUターンしたときに、どんな生活になるのか想像できるような事例があると話しやすいんじゃないでしょうか。
西嶋:新潟には本当に魅力的な企業がたくさんあります。ただ、親御さんの中には知らない企業情報をお子さんが持ってくると反対する方もいるようです。もし、お子さんが調べてきた企業を知らない場合には、すぐに反対するのではなく、まずはその企業のことを調べて判断してほしいものです。
池田:親御さんには「新潟で働いて地域に貢献してほしい」「一生食べていける技術を身に付けたらどう」、という言い方をしてほしいですね。新潟県には本当にすごい技術をもっていたり、すばらしい商品をつくっている会社がいっぱいありますから。
※第2新卒とは?大学や専門学校等を卒業して就職し、短期間(おおむね2―5年程度)のうちに転職を志す者の事(出典:フリー百科事典「ウィキペディア」)
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