2011.03.22 掲載
十日町市地域おこし実行員会 事務局員
多田 朋孔(ともよし)さん
33歳 十日町市
大阪府出身。大学を卒業後、企業コンサルティング会社に就職。その後、大阪から東京の組織開発コンサルティング会社に転職。仕事を通じてNPO団体と出会い、ボランティアに関わるようになる。中でも十日町市池谷・入山集落に惚れ込み、移住を決意。2010年2月から同集落に家族3人で移住し、集落の可能性を追求している。
前に勤めていた会社が、社会貢献活動の一環で「NPO法人ジェン(JEN)」に寄付を行っていました。ジェンは、主に海外の災害や紛争地域の自立支援を行う団体ですが、中越大震災に見舞われた十日町市の池谷・入山集落の復興支援も行っていました。そんなつながりで、ジェンが池谷・入山集落で行うイベントによく参加するようになりました。2009年の5月、田植えボランティアに参加してから、毎月東京から通うくらい好きになっていましたね。
「十日町市地域おこし実行委員会」の代表から、この地域にかける思いを聞く機会があったときのことです。
「ここでの活動は、池谷・入山集落を持続可能な農村にすることだけでなく、この集落の取り組みを通して、全国に農村の可能性を示していくこと。そのために、後継者不足や食料自給率などの諸問題に立ち向かって活動している」という説明を受け、ピンときたんです。当時は、リーマンショックに揺れていた時期でもあり、これまでの経済活動に疑問を感じていて、なんとなく社会をどうにかしたいと考えたときでした。また、総務省の「地域おこし協力隊」に委嘱され、当面の経費も確保することができました。思いとタイミングがちょうど一致したおかげだと思っています。
田植えや稲刈りをはじめとしたボランティア体験の調整、イベントの企画・運営、集落で作っているお米の直販、長期滞在者の受け入れ、廃校となった分校の改修など、内容は様々です。ボランティアによる稲作の体験は、地元住民の皆さんにも協力をお願いしなければならないので、細やかなコーディネートが必要です。また、ここで採れるお米は本当に美味しくて、直販は年々売り上げを伸ばしています。毎日、ほぼ休みなく過ごしていますが、池谷・入山の元気、ひいては地域おこしに貢献する仕事なので、やりがいを感じています。
この集落に住んでいる方が、外の人たちに対して非常にオープンであることですね。よそ者がきても嫌な顔をしなく、いろんな考えや価値観を受け入れてくれるので、新しい取り組みに次々にチャレンジをさせてもらっています。
また、新潟にきて驚いたことが、自分の目で景色の移り変わりをはっきり知ることができるということです。例えば東京であれば、どこもかしこもアスファルトで、季節の移り変わりをあまり目にしません。でも新潟では、それぞれの「季節らしさ」が目の前に飛び込んできます。これには本当に驚かされましたね。
田舎暮らしを考えている方の中には、田舎に来れば人との関わりを避けて暮らせると考えている方もいるかもしれませんが、農村での暮らしは都市部以上に人になじむことが重要です。人とのコミュニケーションが好きで、積極的な姿勢で地域住民と接していかないと生活は成り立たないと思います。私はこれまで農作業経験がなかったので、地域の人に教えてもらいながら、関係を築いていったところがあります。いかにその地域の方々と仲良く生活できるかが最重要です。あと、集落の宴会の際に一芸を持っていると地元の人たちとの距離がぐっと縮まりますよ。私は機会があると三味線を披露しています。地域の方たちと積極的にコミュニケーションを取り、充実した生活を送っていただきたいと思います。
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