2024.08.21 掲載
リモートワーカー
西連地 志穂さん
新潟県糸魚川市出身。筑波大学大学院で博士課程を修了後、日本原子力研究開発機構に就職。その後、博士研究員として国立研究開発法人や大学で勤務し、糸魚川大火をきっかけにUターンを決意。フルリモートで研究ができる環境を求めて金属素材や電子材料などの開発から加工、リサイクルまで扱う素材メーカーに就職し、2023年にUターンを実現。夫と3人の子どもとの5人暮らし。
【Q. もともとご出身が糸魚川ですね。】
糸魚川で生まれ育ち、大学進学を機に茨城県のつくば市へ移住して、そのまま茨城で研究職に就きました。
高校生まではどちらかというと「糸魚川は海と山しかない。CMで紹介されているようなショップや商品もないし、外に出たい」という気持ちが強かったですね。
【Q. Uターンのきっかけを教えてください。】
もともとは将来Uターンしようとは考えていませんでした。しかしある時、職場で北陸新幹線開通を機に糸魚川に旅行する話が出て、私が旅行プランを練ることになったんです。その時に糸魚川のジオサイトを調べたりしていたらすごく面白くて。そんなふうに糸魚川への興味を持ち始めた直後の2016年に糸魚川大火が発生。これが人生の大きな転機になりました。
テレビ画面の向こう側で、子どもの頃によく買い物をしていた商店街が燃えていたことがショックで言葉を失いました。さらに年間500人ずつ糸魚川市の人口が減っていき、母校の小学校も廃校になったりしている現実。一方で、私は旅行プランを立てていた時に糸魚川の魅力を強く感じていたので、「このままではいけない。私が戻って何かやらないと!」と思い、2017年に糸魚川に戻る決心をしました。
【Q. お仕事について教えてください。】
大学時代に化学の研究の面白さに目覚めて、社会人になってからはずっと研究職一筋。研究が大好きで、常に仕事に対する充実度は100%以上です。
Uターンを決心してからは、パソコン一台で研究ができて完全リモートワークができるデータサイエンスへ転向。化学のキャリアも活かせる現在の職場に出会い、2020年に転職しました。当時はまだ完全リモートワーク用の制度が整備されていなかったこととコロナ禍ということもあり、少し時間はかかりましたが、2023年にようやくUターンすることができました。
現在はAIを使いながら材料開発のためのデータ解析に携わっています。
【Q. ご家族にとってUターン生活はいかがですか?】
Uターンから1年経って、夫も3人の子供たちも、みんなそれぞれ馴染んでいっています。
夫は以前から農業をやりたいと話していたこともあり、今は楽しそうに農業法人で働いています。虫取りが好きな次男は、家の周りにたくさんバッタが飛んでいるので「この家、最高だね!」と喜んでいます(笑)。
休日は家族でプールに行くことが多いですね。リモートワークで運動不足になりやすいので、いい運動になっています。
また、イベントにもよく出かけます。糸魚川は初夏になると毎週のように週末どこかの集落でお祭りが行われているので、そこへ家族みんなで遊びに行ったりします。街中のマルシェイベントでは買い物するだけではなく、夫婦でコーヒーショップを出店したこともあります。
【Q. 糸魚川の生活環境はいかがですか?】
糸魚川市による移住者へのフォローが充実しています。金銭面では特に移住者向けの賃貸住宅に対する「UIターン促進家賃支援事業補助金」は最大2年の補助があり、とても助かっています。
またUターン前からビデオ会議で相談に乗ってくれたり、保育園の申請も柔軟に対応してくれるなど、住環境の整備を親身にサポートしてくれました。
現在は糸魚川駅周辺に住んでいますが、このエリアはスーパーがたくさんあるので、今まで住んでいた場所の中で一番便利だと感じています。子育て環境としても、子ども用品の専門店もあるので不便は感じていません。仕事面でも、糸魚川駅には新幹線が止まるので、出張にも便利なロケーションです。
そして何より、糸魚川は絶景だらけなんです。奥行きのある山の風景や海の綺麗さ、遠くに能登半島が見えることもあります。時間によっても、日によっても、季節によっても、いつも景色が変化するので散歩がとても面白いです。
【Q. Uターンして気づいたことや、変化したことはありますか?】
気づいたことといえば、何といっても心から尊敬できる人たちが糸魚川にたくさんいることです。
例えば、80代でも20kgもの荷物を背負って足速に山登りをする人や、農業に従事している若い人の中にもすごいと思う人がいたり。そんな「人」や、その人たちが取り組んでいる「コト」を知ること自体が非常に楽しいです。だからこそ、私もこれから色々なことができそうだなと、期待がとても膨らんでいます。
それに先述の景色の美しさも、高校生の頃は気にも留めてはいませんでした。しかし県外に出てあの景色が当たり前ではなかったことを知り、Uターンしてからは日常の中で自然の美観を味わう楽しみを知りました。
【Q. Uターンを考えている方にメッセージをお願いします。】
移住して一年が経って、子どもたちも環境に慣れてきたので、いよいよ街のためになることに挑戦したいと思っています。なので、本当に期待だらけ!
まずは山の整備に関わっていきたいと思っています。
糸魚川はたくさんの尊敬できる人と素晴らしい景色から刺激をもらえる場所ですよ。
「仕事がないからUターンできない」という声も多いですが、リモートワークをぜひ検討してみてください。市内にコワーキングスペースもありますし、リモートワークの人が増えると、会社の人とは会えなくてもリモートワーカー同士のコミュニティができて、きっと助け合えると思います。
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