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ニイガタビト

子供達に親父の背中を見て育って欲しい

2010.04.28 掲載

たいない自然学校代表

佐藤陽志さん

36歳 胎内市

 旧中条町出身。県外の大学に進学し、卒業後は新発田市や新潟市の会計事務所に勤務。25歳で結婚し、28歳で第1子が誕生したことをきっかけに、自分の生き方について考えるようになる。30歳で退社し、静岡県のホールアース自然学校にインターンとして5年間勤務。2009年4月に胎内市にUターンし、5月に「たいない自然学校」を開校。現在は農業を営みながら、自然体験プログラムを企画実施。妻、子供3人、両親、祖母の8人家族。

2回のUターン

 大学卒業後の最初のUターンは、農家の長男ということもあり、最初から新潟に戻るつもりでした。新潟市の会計事務所で働き、結婚して子供が生まれました。「この子には親父の背中を見て育って欲しい、自分のようになりたいと思って育って欲しい」と思いました。そう考えたとき、会計事務所でこのまま働いていていいのかと考え始めました。
 そんなときに仕事の関係で静岡県にあるホールアース自然学校を見つけ、代表の広瀬敏通さんにお会いしました。現実をシビアに感じている人が周りに多い中で、広瀬さんは自然学校という仕事でご飯を食べ、子供達に囲まれていてとても楽しそうでした。それで実際どんなことをしているのかとても興味が沸き、そこで開催されている自然学校講座に参加しました。
 参加してみて、こういうことを僕が胎内でやらなければならないと思うようになりました。広瀬さんは環境教育に関して確固たる考え方を持っていました。僕自身子供の頃に自然の中で遊びましたが、環境や自然のことを教えてくれる人はいなかったので、子供達に言葉できちんと伝えて、体験させる人が必要だと感じました。
 会計事務所に勤めながら、実家のある胎内市で少しずつその準備を始めようと思ったら、ちょうどホールアース自然学校でスタッフの募集があり、採用されたので、将来的に地元でそういう活動を始める前提で、修業のつもりで静岡に行きました。

事業を立ち上げることについての不安や心配

 元々家が兼業農家で農業を生業としているので、米はあるんですよね。田んぼは一町弱で、このうち販売用は半分程度なので、農業だけで生活が成り立つほどではありません。でも、人生を楽しく生きられたらいいなと考えているので、人並みの収入が欲しいとは全く考えてはいません。最低限、家族と家が維持できるのはいくらくらいだろうと少し考えるくらいですし、自給自足ができればいいと考えています。
 自然体験活動に関しては、最初はお客さんが参加してくれるかどうか心配はありました。

仕事の内容

僕自身は子供の頃は自然の中で遊び、自然の恵みを享受してきましたが、子供達が同じように自然の恵みを享受し続けられるかと考えたときに、環境問題に携わりたいと考えるようになりました。この辺は豊かな自然はありますが、自然科学のことや、地球環境問題がどのように自分の生活と関係しているかということは、子供達や僕達世代もあまり知りません。それについては何かのきっかけを通して伝えたいと思っています。
子供達に環境問題を身近に感じてもらうには、楽しく自然の中で遊んでもらって、自然を好きになってもらうことが先決だと思っています。好きになれば自然を守りたいと考えるようになると思うので、たいない自然学校で、様々な自然体験プログラムを企画したり、コシヒカリを一緒に作ったり、まずは楽しく遊ぶことを考えています。
静岡から戻ってきて胎内市で自然体験プログラムを始めた当初、学校の校長先生に「よくぞ始めてくれた。」と言われました。町場の子供達にはそういう機会が全くないということをおっしゃっていましたね。参加者も胎内市の方が多いです。
胎内市ではグリーンツーリズムに力を入れていて、最近は行政の様々な事業にも関わらせてもらっています。例えば小学校5年生を対象とした農村民泊の受け入れを市がコーディネートしていて、そこでは講師をさせていただいていますし、一農家として子供達の受け入れもしています。他にもトレッキングの案内とか、まちおこし事業とか市からいろいろ声をかけてもらっています。

地域の魅力

 日本一小さい櫛形山脈はトレッキングにとてもいいですよ。山の上級者には足ならしになりますし、初心者にとっても適度に身体的負荷もあります。また、山の植物も見ることができます。飯豊山にもつながっていますし、胎内川は飯豊山から流れてきているんです。

休みの過ごし方

 自営業なこともありはっきりした休みはありませんが、休日は子供とサイクリングに行ったり、山に遊びに行っています。他には、小屋を作ったり、農業をしていたり、体がきつければ休んだりしていますね。

これからの構想

地球環境問題の面からも、自給自足ができたら一番いいと思っています。現在ログハウスを自力で作っていますが、そこも生活の展示スペースとして活用し、自分の生活が暮らし方の一つのモデルとして発信できたらいいですね。

若者に向けてのメッセージ

 新潟は米どころなので、若い人にも農に携わってもらいたいですね。半農半Xという考え方もありますが、自分の命をつなぐ食べ物を作るということを実践してみたら、そこから考え方や暮らし方も変わると思います。また食料自給率や環境の問題なども考えるきっかけを与えてくれると思います。

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