2022.08.19 掲載
上村 祥太郎さん
十日町市松之山黒倉
◎活動開始
2021年10月
◎経歴
・出身:新潟県南魚沼郡湯沢町
・カナダのバンクーバーアイランド大学留学後、帰国。日本の農業や文化を伝えたいと考え、地域おこし協力隊に興味を持ち、雪と自然が密着した生活を送れる十日町での活動を決意。
◎世帯構成
ひとり暮らし
私は湯沢町出身で、地元の高校を卒業後、東京の外国語専門学校に入学しました。その後、カナダのバンクーバーアイランド大学に留学。5年間のカナダ生活を終え帰国し、ヘルスケア系アプリを提供する会社に就職しました。その会社がたまたま浦佐にある国際大学内にオフィスを持つことになり、そこへの配属を機に新潟に戻ってきました。ここで学生たちと接するうちに「日本の文化を紹介したい」「外国と地方を結びつける仕事をしたい」と考えるようになりました。その後、転職を考えた際に、地域おこし協力隊の存在を知り、十日町に移住するにいたりました。
移住先を選ぶ際に重視したのは『雪』の存在です。これまでに何度か海外の方から日本の文化や農業について聞かれる機会があったのですが、うまく説明してあげることができませんでした。今度聞かれた際にはもっと上手く伝えられるようになりたい。せっかくなら、雪国・新潟の特徴、雪を通した生活や文化を伝えられるようになりたいと考えていました。十日町は雪に根ざした暮らしの文化がある場所だと思い、十日町への移住を選択しました。
2021年10月に着任した際は、稲刈りと籾摺り(もみすり)の真っ只中で、稲を玄米にする仕事が中心でした。冬になると除雪と地域の事務仕事をさせていただきました。春先からは田植えが始まりますし、十日町を代表する『大地の芸術祭』のお手伝いもさせていただく予定です。
実際に十日町に住んでみて、地域の方々が結束して、いかに豪雪地帯で生活しているのかを知ることができました。例えば、冬は「黒倉助っ人隊」という除雪チームを黒倉住民で結成し、当番制で地域の除雪を行います。また、生産組合が結成されており、雪が溶けて田植えがすぐに始められるように、雪がまだ沢山残る4月から浸種など米作りを始めます。また、黒倉には移住者も多く、動きが活発です。「縄文ノ和 黒倉」というグループを立ち上げ、黒倉で収穫したそばを使ってそば祭りを開催したり、大地の芸術祭の作品誘致を行った元協力隊や、温泉から山塩を作っている方もいらっしゃいます。日本三大薬湯のひとつに数えられる松之山温泉の源泉である1200万年前の太古の化石海水を活かしたビジネスがあるなんて、移住してみないと知り得ませんでした。
新潟県が主催する地域おこし協力隊の研修で知り合った他地域の隊員と情報交換をすることも多いです。それぞれの地域で求められる人材や仕事が違うことを知り、自分がこの地域で何ができるのかを、あらためて考えるきっかけになりました。
他の協力隊の方と話をしていると、コミュニケーション能力の重要さを感じます。どこの地域の協力隊でも自ら仕事をつくっていかなければならないからです。僕は活動報告をまとめた配布物を自作し、地域の方を伺っています。お茶をご一緒し、親睦を深めながら仕事のヒントをいただきます。移住する前に抱いていた『こんなことがやりたい』という軸に、地域の方とコミュニケーションを図りながら肉付けしていける力があると、活動がより充実したものになるのではないでしょうか。
黒倉という地域には自然熟成・無添加の山鳩味噌や醤油の実といった美味しい発酵調味料を作られている黒倉のお母さんグループや、ホーリーバジルのお茶を提供するお茶農家さんなど、様々な方々が活躍されています。今はまだぼんやりとしていますが、今後、僕もこの土地ならではの魅力を、国内だけでなく、海外の方々にも広く伝えていく仕事がしたいと考えています。