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ニイガタビト

仕事と暮らしが近いからこそ、人間らしく生きていけるのだと思います。

2008.11.19 掲載

NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部

二羽雅史さん

31歳 上越市

長崎生まれ。高校まで長崎で過ごし、東京の大学に進学。農業系出版社に1年、事務機施工会社に2年務めたのち、NPO法人木と遊ぶ研究所に入所。NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部の立ち上げに携わり、現在まで同法人スタッフ。

Iターンしたきっかけ

自然に関わる仕事をしたいと思っていました。東京は住むところではないなと感じ、どこかに自分に合う場所があるはずだと、転職のために情報収集をしていました。そんな時、出版社時代の同僚から、木と遊ぶ研究所での求人情報を得たので、まずは現地に行ってみようと事務所を訪ねたのがきっかけです。行ってみたら、「で、いつからこれるの?」と言われて。当時は、環境教育などの自然に関わる仕事を生業としてできる場所がほとんどなかったので、まずはやってみようと思いました。また、大学時代に日本全国をツーリングしていたのですが、直江津は毎年くる場所だったので、なにか縁を感じたというのもあります。

Iターンする際に不安、心配だったこと

収入の面では非常に不安でした。また、NPOに就職するということへの不安も大きかったと思います。今でもNPO=ボランティアという認識で見られがちですが、当時はNPOもまだ出始めの頃でしたので、「ボランティアが仕事になるのか?」ということもよく言われました。私としては、ただやりたい仕事をできるのが、たまたまNPOだったというだけのことでした。しかし、そこは周囲の人にはあまり理解されなかったかもしれません。NPOで大丈夫?とかNPOって何?という質問はよくされましたので。
NPOで仕事をしてみて、一番面白いのは、“作り上げる”感覚があるということ。東京では、誰かが枠組みを決めた中での仕事をしていましたが、ここでは、自分がやりたいと思うことを自由に企画して作り上げていくことができます。最初に持っていた不安は、今ではやりがいのある仕事が出来ている満足感に変わっています。

役にたった相談機関、サイト

インターネットはいつも活用していました。環境教育分野の情報をよくチェックしていましたが、当時は、そう数多くの情報はありませんでした。田舎暮らしの雑誌や自然の仕事に就く本みたいなものも読んでいましたね。でも一番は口コミだったと思います。出版社時代の同僚が地方を回っていたので、生の情報を常にもらっていました。いい情報があったら自分で足を運んでみるようにしていました。

仕事の内容

かみえちご山里ファン倶楽部(以下かみえちご)で指定管理者として運営している上越市くわどり市民の森を担当しています。年に25~30のイベント企画、草刈りや散策道整備など施設の維持管理、来客対応、小中学校や町内会などの団体の受入れや、運営に関する全てのことをしています。また、かみえちごの他の仕事として、夏休みの子ども向けの川遊び、森遊びなどのイベント企画、市の無形民俗文化財に指定されている小正月行事のお手伝い、この地域の伝統的な炭焼き技術を記録・伝承するために、炭焼き窯作りから始めた炭焼き、冬には道路除雪の業務もします。昨年は、山里景観に花を添えようと、桜の苗木を配布する助成事業に応募し、この地域に350本の桜の苗木を地域の皆さんと一緒に植樹しました。とにかく、この地域に関わることで、良いと思うことは何でもやってみようという趣旨で活動しているので、説明しきれないぐらいの雑多な仕事をやっています。
仕事とプライベートを分けるような意識はなく、自分の仕事と暮らしは切っても切れない関係にあると思っています。田んぼや畑、古民家改修や炭焼きなど、この地域だからこそある仕事を、地元の人たちに教わりながらやっていますが、それは仕事としてだけではなく、自分の暮らしを良くすることに直結しています。ここでは、仕事と暮らしが近いからこそ、人間らしく生きていけるのだと思います。

地域の魅力

なんといっても“人のあたたかさ、つながり”です。ここにはかつての日本の原風景があると思います。この桑取に住む人たちの力強さといったらすごいです。よくしゃべり、よく働き、そしてよく飲みますね。一人ひとりが独特で魅力的な人ばかりです。全国の農村を見て回ってきましたが、このような地域はありそうでいて、他にはないと思います。かみえちごのスタッフは、20-30代の全国から集まった男女8人。環境教育、中山間地の活性化などを、地域に根ざして取り組みたいと思う若者が集まっています。桑取の人たちか見たら、自分たちは“よそ者”ではあるのですが、みなさんよそ者を受け入れて、なんでもやらせてくれる温かさがあり、いつも有り難く感じています。地域の中で、もちろん上手くいかないこともありますが、その上手くいかなさも含めてこの地域が好きです。この場所で関わっている仕事の一つ一つが自分の力になるまで、この地で腰を据えてやっていきたいと思っています。

休日の過ごし方、お気に入りの店

休みの日には車で1~2時間くらいの範囲で遠出をするようにしています。ここからだと、新潟市に買い物に出るのと、金沢にいくのとではそう時間が変らないので、観光も兼ねて金沢に足を運ぶこともあります。別の土地の自然を見に行って、帰ってくることで、さらに桑取の魅力を実感するということもあります。
地元でよく行くのは、「くわどり湯ったり村」ですね。温泉のお湯もよく人気がありますよ。宿泊時の懐石料理も地元の素材を使っていてとても美味しいです。料理長が藪の中から食材を手にして、でてくるという現場にも遭遇します。地元食材を使った懐石料理は日帰りレストランではいただけないので、宿泊がお勧めです。

くわどり湯ったり村へのリンク

若者へのメッセージ

若いうちに動くということですね。自分の場合は、独身という身軽な立場だったからこそ、こうしてIターンできたと思います。能動的に動いて、自分のやりたいことができるチャンスをつかんでください。
連絡先
特定非営利活動法人 かみえちご山里ファン倶楽部
〒949-1734 新潟県上越市大字増沢962番地1
TEL・FAX:025-541-2602
HP:http://homepage3.nifty.com/kamiechigo/

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